天空の青

By: C

7月 03 2008

Category: Field and Travel, Plants&Flower, 雑談

Aperture:f/3.5
Focal Length:50mm
ISO:100
Shutter:1/100 sec
Camera:E-3


メコノプシス・グランディス/ Meconopsis grandis (長野県下伊那郡 大鹿村 中村農園にて)

 これを見たいからといって、ヒマラヤに行くのは、流石にちょっと僕には出来かねますが(いえ、ヒマラヤに行くなんて有り得ないという意味ではなく、ヒマラヤやチベットも行ってみたいけど、どっちかというならそれよりは、スリナムへ行ってアズレウスを見る計画を優先させると思う、という意味で……まぁ、そんな計画は欠片もありませんが(苦笑))、日本でも栽培しているところは幾つかある………ということで、今回長野へ足を向けた理由の三つのうちの一つです(ハッチョウトンボ、青いケシ、ハコネサンショウウオで三つ)。
 ちなみに旅行会社が企画する青いケシを見ようツアーってのはあるんですが、青いヤドクガエルを見ようツアーってのはありません。世間のなんと厳しきことよ<当たり前です。

 そもそも、この属についてはテレビや本で知っているというぐらいしか知りません。だから一度実物を見てみたいな、と思っていたぐらいで、またそんな詳しい訳でもなかったりします。
 読み物としては『ヒマラヤの青いケシ』が、写真集としては『ヒマラヤの青いケシとその仲間たち―メコノプシス栽培への挑戦 』が良いのでしょうか。後者はついこの間出たやつ。まぁどっちも最近の本ですよね。
 どっちも良い値段しますが……どちらか片方ではやや物足りないような感はあります。写真に主眼を置くなら後者なので初見の人や知人洗脳用(笑)には良いでしょうが、僕が選ぶならば情報量として圧倒的であり読み物として面白い前者でしょうか。現地写真もあるし。まぁ、そもそも方向性が違う本だし、僕は両方持っているのであり、つまりはどっちも欲しかったわけですからね、選ぶのは意味がないと言えば意味がない。

 そもそも、これをメインとする書籍はそんな出ていないっぽいので、選択の余地があまりないですし。洋書ならば別でしょうが、此の手の世界を知るべく洋書に手を出すと、深すぎる泥沼という気がして……ま、手に入りにくいというのが手に入れていない最大の理由ですが(絶版とか。まぁ、古本としてはあるようなので、手に入れる方法はなくはないですが)。

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メコノプシス・グランディス/ Meconopsis grandis (長野県下伊那郡 大鹿村 中村農園にて)

 やや紫が入ってしまっているもの。なんでも気温や、地温が高いと赤が差して紫になってしまうのだとか。咲いてから後も、日差しに曝される期間が長くなると同じく紫になるそうです。
 ただ、産地によって幅が広く、花の色にしてみても、ネパールに産するのはかなり濃い紅紫色が多く、チベットやブータンのものが青いのだとか……となると、見に行くならやはりチベットですかね………。

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メコノプシス・グランディス/ Meconopsis grandis (長野県下伊那郡 大鹿村 中村農園にて)

 こちらが紫になったと思われるもの。花弁の萎れ具合からすると、それなりに開花してから時間が経っているように感じるので、或いは、開花当初から紫だったのではなく、咲いてから日差しの影響で色が紫になったのかもしれません。
 栽培時の平均気温とか、最低気温とか色々要因はあるそうですが、いずれにせよ何かしらの要因がズレると、紫にもならないで、白っぽくなるものもあるのだとか。ただし、真っ白な花となるとこれがまた非常に珍しいそうですけれど。

 同じ栽培条件でも、咲く時期の気温で色が違ってしまう(例えばかなり暑い時期に先に咲いた華は紫になってしまい、暑い盛りが過ぎてから咲いた花は青かったりする)というのは、なんともなんとやら………これを、それもまたまた面白い、と思う人が挑戦するのかもしれませんですね………。

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メコノプシス・ホリデュラ/ Meconopsis horridula (長野県下伊那郡 大鹿村 中村農園にて)

 メコノプシス属で最も高山に根を下ろすとされる種。標高4000m以上にしか棲息せず、最高7000mにも花を咲かせる正しく高嶺の花です。対策して見に行かないと高山病になりそうです(少なくとも僕はなるような気がする)。
 それだけ涼しいところで過ごすので、生育まで数年を要して一回花が咲けばそれで終わりなタイプ。ちょっと開花してから見に行くのが遅かった感じでしょうか。

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メコノプシス・ベトニキフォリア/ Meconopsis betonicifolia (長野県下伊那郡 大鹿村 中村農園にて)

 元祖”ヒマラヤの青いけし”――という英名ですがヒマラヤには産しないなぞなぞ感漂うメコノプシス。主に中国の雲南省に生えているとか。あとはミャンマーとネパール。
 この属の植物はケシと呼ばれてはいますが、ケシ科なだけで、所謂栽培してると怒られてしまうようなケシとは属からして違います(ケシ属ではない。いえ、ケシ属でも栽培してよいやつありますが)。いや、なんか、人に写真を見せて、「このケシ綺麗だったよ」という会話したときに、「ケシって栽培して良いの?」とか言われたもので。まぁ一般的にはそんなものなのでしょう。

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メコノプシス・カンブリカ/ Meconopsis cambrica (長野県下伊那郡 大鹿村 中村農園にて。ウェールズのケシ)

 タイトルからは外れていますが、同属ですし、折角なのでオマケ的に。
 アイルランドやイギリスといった欧州に産するもの。比較的栽培しやすいのだとか。見掛けたことがあるのでは?

 中村農園のある大池高原、大鹿村への行き方等の情報はこちら。
 ただ、本気でメコノプシスのみなので、まぁ、山歩きが好きで自生している植物だけでもかなり愉しめる!というような人が行くのがよいかと(でもかなりの人が見に来てましたけど)。そうでないならば、箱根湿生花園とか、百合が原公園とか、かなり色々なところが栽培しているようなので、最寄りで栽培しているところを探すのがよいのではないでしょーか。