餌図鑑/Pet's food picture book

Fruit Fly Medium/ショウジョウバエ培地


時代も移り変わり、時は2011年の暮れに書き始めたこの頁に、2012年の暮れに加筆修正を加えています。小型餌昆虫は、一部の繁殖家が維持してはいるものの、一般的に販売されることが実に少なくなってしまいました。ショウジョウバエもまた、現在では、種親の入手にもいささか手間取る感すらあります。ただ、ヤドクガエルを取り扱っているところに頼めば、購入できるとは思いますが。

 一般的でなくなっても、全くなくなったわけではないし、今後もなくなることはないのでしょう。管理人が持っている二十年以上前の飼育の本にもショウジョウバエを餌として使う方法が書かれており、それを初めて読んだときは、殖やすことでショウジョウバエを餌として使えるということに驚いた記憶があります。そこには、種親は「夏ぐらいに、バナナを入れた瓶を用意し、屋外で収集する」とあり、バナナとジャガイモと黒砂糖を煮込んでぐずぐすにしたものを瓶にいれ、その中にハエを入れておくと殖えるので、それを使う、みたいな内容でした。必要性があれば、ひとはどうにか入手するか、代替品を用意するもの、ということでしょうか。車輪の再発明みたいで、非効率である気はしますが。

 しかし、捕獲した普通のショウジョウバエより、フライトレスやウィングレスといった、飛ばない品種のほうが圧倒的に扱いやすいので(それに安心して使えます)、これらは手放したくないところです。培地がより一般的になれば、より飼育者も増えて、そうなったら、常に出回るようになったりしないかな、とか思ったりします。

 さて、昔話はさておき、ここでは培地の話です。売られている培地の話はさておいて、自作について書いてみましょう。

 前述のバナナの話もあるように、ショウジョウバエは繁殖させるだけならば、容易な昆虫です。ですが、であるからこそ、最高の効率で、最高の栄養価を持つショウジョウバエを育成する培地はいかなるものであるか、加えてそこにコストの観点を含めたとき、その最適解が如何なるものであるのか、それは或いは、その時々で移り変わっていくものであるのかもしれません。

 2015年になってこれを追記していますが、現在だと管理人は、ほぼすべてを市販されている培地(AA ,RA)を使っています。このサイトではよく触れていますが、作業時間が短いことを、長年続ける上で重要視しているからです。保存料も含まれていますが、そのため安心して木パッキンを足場として利用できますし、お湯で作る培地だとカビやダニの問題とも殆ど無縁です。加え言うと、それで増やしたショウジョウバエ単体でアイゾメヤドクガエルとかは殖えているので、栄養価としても問題はないのではないでしょうか。(もちろん、サプリメントをダスティングはしていますが)。



icon■■調理培地か、簡易培地か?

 ショウジョウバエ培地は、大雑把に、その作り方で二種類に大別されます。
 材料を煮立たせて作る調理培地と、水を加えるだけで作れるよう選んだ粉末素材からなる簡易培地と便宜上呼ばれているものです。

 こうした培地に限らず、何か一つのジャンルにおいて、二種類以上のものが営々と存在し続けている理由はどのようなものでも大抵決まっていて、それはそれぞれに一長一短があるからに他なりません。例えばフタホシコオロギとヨーロッパイエコオロギのように。ショウジョウバエの調理培地と簡易培地もまた同様、前者は大量に安価に培地を仕込むにあたってアドバンテージがあり、後者は短時間で仕込めるという、小規模繁殖に於いて金銭的なコストパフォーマンスを上回るであろう魅力があります。

 定期的に仕込みを要する培地にあって、手軽さは何物にも代えがたい魅力ではないでしょうか。調理培地は材料をいちど煮立たせるので、材料をそれほど選ばなくても、カビの心配が少ないというメリットがあります。簡易培地はカビや細菌などの混入に敏感であるため、培地の材料の品質はもとより、繁殖させる容器の清潔さに注意を払う必要があります。具体的に言えば、調理培地であれば沢山の容器を一度に洗って、そこらへんに積んでおき、それをそのまま使用することができても、簡易培地の場合は、使用直前の清潔さが重要になるため、洗い貯めておいたものを順次使っていくと、いくら培地をちゃんと保存しておいてもカビが発生してしまうことがあります。理想は、ちゃんと洗ったものを使用前に洗浄することですが、これは水道代が勿体ない気がしますし、毎回洗うのは手間の嵐です。一回に三分の手間も、一週間に二回仕込むとして六分、一ヶ月で二十四分、一年間で約六時間です。

 簡易培地と調理培地、それぞれのメリットデメリットは、その運用方法や、一度に仕込む量により増減します。例えば、試験管一本分の調理培地を作るのは手間が掛かりますが、1L以上の量を仕込む場合、簡易培地との差は価格を加味すると逆転するかもしれません。

 ですから、どちらの餌を選ぶのがよいか?というのは、繁殖の規模、サイクル――つまりは、仕込む人間の生活スタイルに如何に合致するか、によるといえましょう。

 さて、どのようなもので培地を作るべきでしょう? バナナと黒砂糖? 羊羹をベースに水ようかんっぽくしてみる? 実は、この業務用の絹ごし羊羹とマンゴーゼリーなどの果実ゼリーを使って作る培地はお手軽なのですが、これで繁殖まで持っていった!という自信がないので、ここではまず、「少なくとも、この餌だけでヤドクガエル繁殖できたな~」というものを紹介していきたいと思います。
 尚、培地の処方は、色々な本なんかで見た処方と、経験的に色々やってみて、こんな感じだと良く殖えるっぽいな、という経験論に基づく推測と実践の積み重ねで(いきあたりばったりともいう)やってみているだけで、この栄養素がショウジョウバエには良い、とかそういうことを管理人は理解していません。科学的ではないですね。

□培地の材料を集めよう 

 基本は、

炭水化物(デンプン)+糖類+蛋白質

 の三つ。

 これらを、利用するにあたって、餌はある程度の固形物であることが望ましいので、寒天で固めます。
 タンパク質は栄養価を高めるためで、必須というわけではなく、極論を言ってしまえば、じゃがいもだけでも殖えることは殖えます。保存剤は、入れなくてよい、という意見もありますし、入れた方がよいとも聞きますが、主観的に、蛆が速やかに発生するならば、入れなくても問題はないです。


左が乾燥ビール酵母、右がコーンミール
□穀類

◇コーンミール(玉蜀黍粉末)

 日本人には馴染みの薄い食材かもしれません。主食として利用されないので、やや割高ではありますが、製菓素材として小袋で販売されているものを購入することができます。探せば、大袋で購入することもできるでしょう。大袋はかなり安価です。とはいえ、500gで250円ぐらいなので、小袋でちまちま買うのでよい気がします。

◇マッシュポテト

 マッシュポテト。無論、普通のジャガイモでも問題はありません。生のジャガイモを茹でて、ミキサーにかけるなどしても培地になります。ただ、それだけの手間暇をかけるのは、餌として長期にわたり仕込み続けることを考えると、オススメしかねます。既に加熱加工処理されたフレーク上、あるいは粉末状のマッシュポテトが販売されていますので、それを買い求めるのがよいでしょう。ただし、フレーク状の場合、空気が内部に残りやすく、混ぜるものやマッシュポテトの製造工程における清潔さにもよりますが、そこからカビる要因になります。簡易培地に使う場合は粉末状のほうが何かと良いと思っています。

 釣りの練り餌や撒き餌として、マッシュポテトに蛹粉や魚粉などが入った製品があります。これらも培地になりえますが、魚粉や蛹粉が入っている為、ただ水を加えただけでは十中八九、カビて腐敗して大変なことになります。加熱した水を加えても、一週間以上、常温で管理するにあたっては発酵か、腐敗か、何かしらの問題が出てくるので、保存剤を入れる必要性があるでしょう。安価ではあるのですが、蛹粉や魚粉が発酵した際の臭気はそれなりのものがあるので、個人的には選択肢として却下です。

◇コーンスターチ

 コーンスターチは安価なデンプン質、つまりはマッシュポテトやラスポテトの代替品です。だいたい価格でマッシュポテトの1/4ぐらいまで下げられますが、粒子が細かすぎるため、多く入れすぎると培地が固く締まって、培地の体をなさなくなります。培地を寒天で固める、保水剤や増年多糖類で、培地全体の滑らかさ、柔らかさが確保できるときであれば、水増しの素材に使えなくはありません。つまり、調理培地では使えないことはないです。しかし、金銭的コストカットよりも、入れることで生ずる手間暇のデメリットのほうが多いようにも思うので、入れるときは一考の余地があるでしょう。

□タンパク質

◇乾燥ビール酵母

 乾燥ビール酵母は、乾燥酵母のたぐいの中では、もっとも入手しやすいものかと思います。昨今は、健康ブームに押されたのか、ちょっと入手が楽になった感がありますが………基本的に出回っているのはエビオスなどの人間用のもので、飼料用のものは出回ってません。一般ルートで扱っているものは、健康食品扱いの、人間用のもので、此はハエの培地に使うには高すぎます。そうなると、動物飼料用がベストになるのですが、残念ながらこれらは一般に広く販売されているものではありません。

 甲虫の幼虫飼育用として、オークションで小分けにされて販売されているものは、販売者によって、いろいろなメーカのものがあるようで、正直なところ、かなり微妙なクオリティのものも出回っているようです。調理培地であれば多少のクオリティの低さは許容範囲ですが、簡易培地に使う場合は、精製がしっかりしていることが前提なので(でなければカビの原因になります)、どんなものでも良いというわけではありませんから、注意が必要です。

 管理人が使っているのは業務用のキリン関連会社の乾燥ビール酵母で、昔は錦鯉用(その餌のミジンコ用)、あるいは鳥類の餌の配合用としてペットショップで20kg袋が販売されていたのですが、最近はあまり見かけなくなってしまいました。大きな錦鯉取扱店などであれば、取り寄せてくれる可能性はありますので、問い合わせてみるのも手かもしれません。

◇乳清タンパク

 乳清プロテインは、乾燥ビール酵母に比べて安定して購入しやすい蛋白源です。一般ベースで入手しやすいものは人間が摂取する用途のものであるため、やや高価であるきらいはありますが、ショウジョウバエだけでなくイエバエなどの繁殖効率を上げることも期待できます。ただ、乳清タンパクだけを購入するよりも、糖質などの比率を計算する必要はありますが、粉ミルクとして入手したほうが簡単であるかもしれません。

◇イースト(パン酵母)
 お菓子職人さんが友人に居る人向け。生イーストだったら、その場合手に入りやすいと思います。粒状のイーストを使う意味はありません(コスト的に)。

 他にも、乳タンパク、小麦タンパク(グルテン)、などが入手可能ですが、やはりコスト的に割に合わないだろうと思いますので、省略します。

□糖類

 簡易培地であればグルコース(葡萄糖)が最適だと思われますが、調理培地の場合は、安価な黒砂糖とかで問題ありません。氷砂糖、グラニュー糖、黒砂糖、三温糖、上白糖、色々試しましたが、完全に培地を沸騰させるように心掛ければ、別段、どれでも問題ないというか、殖え方にはそれほど差がないような気がしています。強いて言うなら、黒砂糖や三温糖では、菌が発生した場合の匂いがきつくなる感がある、という所でしょうか。ただ、臭いは蛆が速やかに発生すれば問題には殆どなりませんし、簡易培地との二層式でほぼ防ぐ事も可能です。よって、値段や好みで決めればよいでしょう。管理人は、近所のスーパーマーケットで定期的に安売りする上白糖をまとめ買いして使っています。

□粉ミルク

 いわゆる粉乳。タンパク質、脂肪、糖質(乳糖)、各種ミネラル、ビタミンなど、様々な栄養素が理想的に配合されているので、餌昆虫飼育では重宝する素材です。入手の面倒な乾燥ビール酵母などと異なり、入手しやすいのも魅力的なのは乳清タンパクの項目で述べたとおりです。加えるだけで様々な栄養素、微量元素を補うことができます。極端に言えば、マッシュポテトに粉ミルクを入れただけでも十二分に培地として使えるほどです。

 欠点というか、注意点として、保存をしっかりしないと、単体でもコナダニが沸きますし、これを入れた培地は尚のことコナダニが沸きやすくなります。缶で売られていますが、開封したら、冷蔵庫で保管するのがベストです。他の粉とは別に、水を加える直前に粉に配合すると良いでしょう。

□糊料

 東京都保健福祉事務局によると、増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料は、『増粘安定剤は使い方によって、少量で高い粘性を示す場合には「増粘剤」、液体のものをゼリー状に固める作用(ゲル化)を目的として使う場合には「ゲル化剤」、粘性を高めて食品成分を均一に安定させる効果を目的として使う場合は「安定剤」と呼んで』区別されるようです。

 ゼリーには、増粘多糖類で固められたものと、ゼラチンで固められたものがあります。たらみのゼリーは増粘多糖類、ブルボンのゼリーは、ゼラチンで固められています(1999年頃調べた時はそうでした)。尚、寒天の場合は寒天と記述され、寒天をゼラチンとは書きません。ジャムに遣われるものはペクチンですが、これは粘度や弾性を上げるものの、ゼラチン等のように固める迄には到らないようです。

 他にも、グァーガム、キサンタンガム、カラギナンなどが菓子類に遣われています。

 一般に入手し易いのは、

・寒天(テングサ)
・ゼラチン(現在は豚由来のみ、かな? 脊髄から作ります。以前は主に牛由来だったので、牛アレルギーの子どもなどは、此が遣われた食品を食べることが出来なかったりとかあったです。今はBSE問題から、豚にシフトした模様。この辺、ちょっと笑い話があるのですが、まぁ今回は割愛)

 の二つでしょう。
 此処で不思議なのは、ゼラチンを培地として遣う、という記述が、見受けられない事です。価格として、寒天の方が優勢という訳でもないのですが、ゼラチンを遣う、という記述を殆ど見ません。
 此は推測の域を出ませんが、ポリプロピレン容器を遣って培養する場合、ゼラチンで固めると、ゼリーよろしく、逆さまにした時そのままつるんと出て来てしまう、からかもしれません。(簡易培地のつなぎとして入れる場合であれば、ゼラチンは有効です)

 入手はし辛いですが、植物性由来(海藻抽出物)としてカラギナンもあります。此は、増粘多糖類と呼称されるものですが、種類があり、組み合わせにより異なった質感が得られるので菓子やアイスクリームに於いて力を発揮しているようです。ただし、入手が中々難しいので、培地には向かないでしょう。

 寒天にしろゼラチンにしろ――というか、多くの糊料に共通して言えるのは、六十度前後で融解させ、冷却することで固化するという性質を有しているということです。

 すなわち、此らの用途は調理培地に限定されます。但し、寒天は粉末が細かいと辛うじて、20度の水でもそれなりの効力を示しますが………

 ゼラチンにしろ寒天にしろ、小袋ならばともかく大袋では入手しづらいものでしたが、最近は業務用寒天、などで検索すれば通販で簡単に購入できます。良い時代になったものですね。

□保存剤

 プロピオン酸とか。僕は使った事無い(一般的に手に入りづらい)ので割愛。
こんなのに入れておきましょう。
開いてると吸湿してしまいます

 保存剤とはちょっと違いますが、ドライイーストを完成した培地の上に少し撒いておくと、これ自体がハエの餌になると同時にカビなどを抑制すると言われています。実際抑制します。

 但し、入れすぎると逆に無意味で、表面を覆ってしまい、蛆が湧かなくなってしまうので、気をつけてください。この辺は、まぁ慣れればどれぐらいがよいかが分かります。強いて規準を言うなら、一平方センチあたりに三粒から四粒とかかな? ごめんなさい、適当に云いました(そんな極端に外れてはいないでしょうが)。

 保存料に位置するのかよく分かっていませんが、海外では酢を加えることもあるようです。これはハエには確かに良いようですが、臭いがなかなかステキなことになるので、オススメしていいものか………。

icon■培地制作(レッツ・クッキング!)

 以下の方法は、僕が実践している方法です。入れる順番だとかは、此通りで無ければ絶対に作れない!とか、此通り作らないと爆発する!とか、此通りに作らないと呪われる!とか、そういう事はありません。寧ろ、そういう事があったら僕がその方法を知りたいです。

 僕は毎日或いは二日に一度此の培地作りをするのですが、大体一日に水一リットルを使って作る感じです。休日は二リットルですが。
 こんなに大量に作らない………という人は、簡易培地に頼った方が、総体的に安いでしょう。

 此の理由は、先ず、僕があまりに重いものは持ちたくないので、一度に一リットル程度を作るのが限界だという事です。重さ的に、素材だけで1250gありますからね。

 では、材料を用意して下さい。尚、調理の写真はありません。心で見て下さい。

◇調理処方箋/レシピ

 水           1000ml
 乾燥ビール酵母   80(60-80)g
 コーンミール          90g
 糖類        90(70-100)g
 寒天             7-10g


 管理人が基本的に作っているのが先頭の数値ですが、此は絶対的なものではないです。括弧内の数字で適当に作っても培地になります。乾燥ビール酵母に関しては、カスリショウジョウバエの場合はこれぐらいで良いですが、キイロショウジョウバエではもうちょっと少なめの60gで十分かもしれません。

 では、調理開始です。火傷と火事をしないように気をつけましょう(お約束)

 先ず、前提として、育成瓶、つまりはハエを育成する、培地を注ぎ込む容器を用意します(後に思うところ記述しますが、まぁ皆様のお気に召すままに。アズユーライクイットですよ)。

1, コップ(計量カップが取っ手があって便利)を用意しまして、ナベの中に水を一リットル入れ、其処から100ccばかりコップに移動します。
此に、寒天を7-8g加え、混ぜておきます。

2, 火にかけ(IHクッキングヒーターでもいいです)、砂糖を入れ、軽く混ぜます。少し湯が沸いて来たら(ぶくぶくしてきたら)、ビール酵母とコーンミールを入れます。この時、素早く棒(僕はガラス棒を使っています。抵抗が少ないので、粘度が上がっても簡単に混ぜられるからです)でかき混ぜます。予め棒で水を回転させておき、其処に粉末を流し込みつつ、更に混ぜるのがコツです。これを上手くやらないと、ダマになってしまいます。どうしても上手く出来ないという場合は、別の場所で水で溶いてから、湯の中に入れてもよいでしょう。


予め混ぜたもの。加熱調理するとはいえ、
保存時は乾燥剤必須である。
管理人は、コーンミールとビール酵母を予め比率で決めて混ぜたものを密閉容器に入れてあります。だいたい、コーンミール1kg分ぐらいを毎回造り貯めています。ちゃんと混ぜておけば、ほぼ問題はないと思います。混ぜるのが得意になってきたら、砂糖も予め中に入れておいてもよいでしょう。沸騰した湯に入れれば、この程度の砂糖はすぐに溶けてしまうので大丈夫です。

毎回重量を計測してはいますが、慣れてくれば、目分量で何グラムぐらいか、ほぼ分かるようになります。人間、結構こういう無駄なスキルが身に付くものです。

3, 砂糖が溶けて全体に均一になっているようだったら、ちょっと火を弱めにし、更にぐるぐるかき混ぜ続けます。煮たって来るにつれて、粘度が上がってきます。沸騰してぐつぐつになる(数分もかかりません)と、吹き零れるので、適度に火を弱めて下さい。十分に粘土が出て、吹きこぼれそうなぐらいになったら、寒天を入れた水を、これまた攪拌しながら、其処へ注ぎ、更にぐるぐるとかき混ぜ、再び煮立たせてから火を止めます。

4, そして速やかに、容器へと注ぎましょう。時間が経つと鍋にくっついてしまい、勿体ないです。この時、耐熱性のゴムペラがあると、鍋にくっついたのを素早く綺麗に取れてよいかもしれません。熱いので、注意して下さい。

注ぎ終えたならば、容器にキッチンペーパー等で蓋をして、後は冷めるのを待ちます。

  保存剤を入れたいならば、火を消した直後に入れるのですが、保存剤を入れなくても、冷えたのを冷蔵庫に入れておけば、3-4日後に使うので問題ありません。ただ、何日でダメになるかは、環境に大きく依存することでしょう。注ぎ入れてすぐに蓋をするのは、高熱時に雑菌が成る可く入らないうちにしたほうが、心なしか長持ちするのではという気がするからです。

  また、最大の問題は、ハエを殖やす餌を、果たして冷蔵庫に保存して、家族の同意が得られるのか、ということでしょうか………僕はというと、使う分作るようにしています。

  冷めたら、ドライイーストを撒くのをお忘れずに。

icon■繁殖用の瓶に就いての考察1-5


ポリプロピレン容器各種。蓋を図の様にカットして使う。カットは縁ぎりぎりまで。
余裕があると、其処の部分が蒸れて濡れ、食い破られてしまう。

◇繁殖用の容器に求められるものは何か?

1・熱湯消毒が可能である(清潔でないとカビが湧いて無意味)

  そもそも調理培地では、かなり温かい培地をそもそも注ぎ込むので、耐熱性は100℃以上が求められます。
調理培地を使う場合ならば、毎回熱湯消毒が必要であるかは別にして、簡易培地を使う場合は、やはり熱湯消毒をたまにはする筈です。

  理想的な材質は、ガラス、ポリプロピレン、ポリスチレンでしょうか。僕はポリプロピレンの容器を愛用しています。他には、ジャム瓶なんかがよいでしょうか。

2・蓋がし易いことが理想

 輪ゴムで止める場合は、形が円形であり、かつ、輪ゴムで無理なく止められるサイズであることが求められます。荘でなくても、理由は後述(5)しますが、円形であるか、楕円形であることが理想だと思います。円形の場合は、直径が10cm以下、理想は8cm以下でしょうか。

3・通気性が必要(蒸れるのは最悪)

 蓋は、容器の口径とほぼ同じぐらいが理想的です。口が狭いと空気が淀んでしまい、中でハエが死んでしまうこともあります。また、蒸れるような場合で、クッキングペーパーを使っている場合は最悪で、水を含んだクッキングペーパーを蛆が容易に食い破ります。


4・洗い易いと嬉しい

 手を入れて底まで洗える事が理想だと思います。
 故に、僕が円形のものを愛用している理由の一つが、此です。四角いケース………例えばプラケなどは、中々よいとは思うのですが、この洗いやすさが、つまり、角のところが洗いづらい訳です。

5・結論として個人的に理想と思われるサイズと形状

 僕が今まで試した容器を列記してみましょう。

1.パスタソースの瓶
2.プラケ PC-1-3
3.パンケース
4.500cc円柱形ポリプロピレン容器
5.小麦入れ(1000cc)ポリプロピレン容器
6.乾物入れ(ポリプロピレン)
7.円形ポリプロピレン容器

 先ず、プラケや小麦入れはよいケースであると思いますが、洗いづらさがマイナスです。然し、プラケなどは輪ゴムを使わなくても、プラケの蓋を活用してクッキングペーパーを挟み込む事が出来るというメリットがあります。但し、此も部屋の湿度が高いと、やや淀むらしく、蛆が食い破ってしまうことがあります。

 ここで、重視すべきものとして、「片手で簡単に持つ事が出来る」という性質を加えたいと思います。

 何故ならば、両手で持たねばならない程のサイズは扱い。そして何よりも………片手で扱える程度のサイズで、かつ、四角くなく丸いならば、”培地が落ちづらい”からです。

 ハエを取り出すべく、ひっくり返したら、培地も一緒に落ちてきてしまった………そんな経験はないでしょうか? インスタント培地をメインで使っていれば、あまりないかもしれませんが、調理培地では固化に寒天を使っているので、綺麗に剥がれ落ちてしまう事があります。支える周囲に対して、底面積が広すぎると、また、力が均一に掛かるのではない四角いケースであればあるほどに此は顕著です。また、円形であっても、面積が広すぎると、やはり支えられずに落ちてきてしまいます。

 ここまでの理由で、僕は、1,4,5,を推奨します。6の乾物入れや7の容器は、大きすぎてよく培地が落下するのに加え、通常の小さい輪ゴムでは固定出来ないサイズだからです

 1と4に関しては、どちらを使うかは趣味だと思います。どちらも使い勝手は同じ様なものでしょう。キッチンペーパーを輪ゴムでするならば、ですが。5の容器の場合、蓋を加工して、それを使ってキッチンペーパーを固定することが条件になります。

  楕円形を潰したようなあの形は、輪ゴムで固定すると、直線部分が甘くなってしまう欠点があるからです。楕円形の形状(正確には楕円ではなく、円を半分にわり、その間に直径と同じ正方形を入れたような感じですが)は手に持ちやすく、また叩く方向にもよるのですが培地が落ちづらいように思います。

icon■蛆が蛹になる為の足場に就いての考察


脱脂綿
さまざまなサイズがあるので、育成瓶に適したサイズのものを選べばよい。

蛆が上陸始める頃に入れる。
写真よりもう少し前がいいと思う。写真では木パッキンを使用しているが、これは調理培地であるため。簡易培地では木パッキンのメーカによってはカビの原因になりやすいので、管理人は現在は使用していない。初期の足場としては30mm角サイズの脱脂綿を入れている。

培地に触れないように入れる。もしくは、立てかけるようにする。鉢底網を活用して、壁面に固定してもよい。

失敗例。
培地に触れて水分を吸い、崩れてしまっている

成功例。
殆どが脱脂綿で蛹になっており、脱脂綿も形を保っている状態

 蛆が羽化する場所の足場、及び、ハエが普段いる足場に就いて。
 不織布、画用紙、ケント紙、鉢底網、木パッキン、等々………何を使うかは個人の裁量に委ねられる処ですが、個人的に一長一短があると思います。

・不織布

  丈夫な分厚いものを使う。使い方としてはケースの壁面に沿うように配置。後から差し込めるものではないので、予め設置したところに培地を流し込む使い方が一般的。だが、下まで入れる必要はなく、寧ろ、表面に乗せるような状態でも問題はないので、培地を作ったところに、一センチほど埋める様な使い方がよいのだろうか。
不織布には素材や製造法を含め様々あるが、植物繊維で出来たものを使うのがよいと思う。接着方式で作られているものを使うのは如何なものか。
問題は、食物繊維でないならば環境的問題と、コスト、及び、入手が容易に出来るかどうか。水分による劣化が殆どなく、足場としては悪くない。ただ、僕はあまり使っていません。

・画用紙、ケント紙
 コストパフォーマンスは悪くない。デメリットは、インクや紙を製造する段階の糊などが、どの様に影響するか。ケント紙はコストパフォーマンスは画用紙より悪いが、インクの心配はない。糊の心配はありそうですが。
いずれも、培地に水分が多い場合、紙が水を吸って軟化してしまい、蛆がその内部を喰い進んだり浸食したりすると、ぐずぐずになって培地の上にパルプのように広がってしまう。但し、此は経験と研究でクリア出来る。
培地を作った後に差し入れる事が出来るが、面積を多くとろうとすると折り曲げねばならず、実はこの折り曲げ作業や、入れるケースに見合うサイズに切ったりするのは(分厚いので)手間。

・鉢底網
 洗浄し熱湯で消毒することで再利用が可能なのが最大のメリット。蛆に喰われる事もない。また水でふやけることもない。だが、蛆が登るには足場として優秀とは言えない。とはいえ、其程悪くもない。一度蛆がつき始めると、その蛆を取っ掛かりにしてどんどんついてくる。問題は、ハエを出そうとしたときに、この蛹が極めて落ちやすい事。何かしら対策を編み出せば、使い勝手が良くなるかもしれない。

・木パッキン
 木を鉋で削ったようなものを、更に縦にシュレッドしたような梱包材の一種。後から入れるのではなく、予め容器に入れておき、其処に培地を注ぎ込むので問題ない。ダメなのは、メーカや、清潔な乾燥環境で保存していないものを使って簡易培地で仕込むと、内部からカビが発生してしまうこと。調理培地であれば、煮沸消毒することになるので、この問題は無視できる。

 以上が、使用に耐えるものたちです。この中から自分がベストと思うものを選んでください。

 管理人は滅菌された脱脂綿を使うのを好んでいます。右上にどんな風に使用するかをつらつらと纏めてあります。この脱脂綿方式を管理人が好んでいるのは、乾燥した脱脂綿に、蛆は好んで入り込み、中で蛹になるという点。脱脂綿が培地に触れすぎる様だと、ぐちゃぐちゃになってしまい使う意味がありませんが、上手く使うと、脱脂綿にぎっしりと蛹を作らせる事が出来ます。そして、これを簡単に取り出せるわけです。とはいえ、蛆が羽化するには一定の湿度が重要なので、出しても、湿度管理が不適切だと羽化しませんが。

  此の手法のメリットは、培地の上の方に蛹が降り積もったりすることがない事でしょうか。乾燥していればほぼ確実に、此処に集まってきます(壁面を辿ったものは、別ですが)。効率の上昇が期待出来ることも一つの長所ですが、もう一つ長所があります。

 それは、数日にわたって産卵させたケースなどで此をやると、数日ごとに脱脂綿を交換していけば、通常よりも多くの蛹を回収出来るという事です。脱脂綿は、別のケースで、底にクッキングペーパーを軽く濡らしたものそ敷き、その上に鉢底網でブリッジを造った上に引っ掛けておけば羽化して来ます。

  培地の表面積に対して、脱脂綿の面積は半分以下になるようにしないと、通気性も悪くなるので、その辺も注意しないと行けません。こうして書くと、結構面倒そうに思うかもしれませんが、遣ってみるとそんなに難しくはありません。ただまぁ、チョットではあるものの、置き方とか置き場所とかの判断には経験がいるとは思うので、試してみてください。上手く行くと、やみつきになる良さがあるかと思います。

 

icon■敢えて項目にする程の事でもないと思うのだが、ついなんとなく項目にしてみた蓋の話

 蓋に輪ゴムを使うのは、個人的に推奨しかねるところがあります。理由は、まぁ一度で使い捨てちゃうのは勿体ないとかそういう話もあるのですが、劣化して弾けてしまうとショウジョウバエがぞろぞろ出てきてステキな世界を形成してしまうってところにあります。

 そうなると、例えば上のほうで紹介しているケースなどは、ポリプロピレン蓋になるのですが、素材はなんであれ、このタイプの蓋をカットして、クッキングペーパーを嵌め込む為のリングとする場合、注意事項が一つあります。

 それは、ケースに対して、必ずギリギリの処までカットしなくてはならないということです。
 図にしますと、


 と、言うことです。つまり、ケース内側に対して出っ張ってる状態だと、そこに触れているクッキングペーパーの所に蒸気が当たって、少しずつ結露し、クッキングペーパーが濡れるという事態になります(おそらく、培地から上がってくる蒸気に対して、ケースの温度のほうが低いからでしょう)。
 そうなると、蛆があっさり食い破ってしまい、たいへんなことになります。どんなケースでも、加工次第で培養瓶になりますが、加工の際に、此は考慮すべきでしょう。

icon■簡易培地への道

 簡易培地というのは通俗的な呼称になりますが、つまりは水を入れてかき混ぜるだけで作れるように配合された培地(メディウム)のことです。お湯を必要としないため、簡単に作れるのがメリットです。

 基本的な素材の選定は調理培地と殆ど変わりません。増粘多糖類などを活用して固形にすることも出来ますが、それらは入手が難しいので、今のところ使用していません。使えたら、いろいろ幅が広がるのですが。

 簡易培地を作る上で重要視すべきは、水分と培地の体積比率が、最低でも2:1になるようなものを作る、ということです。夏場はともかく、乾燥する冬場に水分比率が等分を下回ると、一週間すると上のほうが堅くなることがあります。培地をよく食べるカスリショウジョウバエであれば、粘液が表面を保護しつつどんどん食べていくので問題はないのですが、キイロショウジョウバエの場合は、これがネックになります。堅い表面が、下からウジが上がってくることを阻害してしまうことがあるからです。このあたりは足場にする素材や、育成環境にもよりますので、一概には言えない部分ではありますが、現状、管理人自身は水分とほぼ同体積、できれば一割程度水が多い状態で作れる培地が良いのではないかと考えており、ここに紹介しているのも、そのようなものになります。

(1)ラスポテト&マッシュポテト培地

 ラスポテト 1000g
 マッシュポテト 500-800g
 乾燥ビール酵母 800g
 ブドウ糖 800-1000g

(2)マッシュポテト・粉ミルク培地

 粉末マッシュポテト 1000-1200g
 粉ミルク 400g
 ブドウ糖 250g

  管理人は、ハエを育成するときの足場は滅菌の脱脂綿を使っており、他の素材では試してないので、それらで使えるかどうかまでは分かりかねます(かびやすさとか)。

 素材の購入先ですが、管理人は、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などは、株式会社ナチュラルキッチンがやっている、572310.com(粉に砂糖どっとこむ)で購入しています。いろいろ種類があって一括で買えるので、送料の観点でメリットがあります。シロップとか、けっこう幅広くやっていますし、普通に製菓素材もよく使うので、普通に自分の食事用のものと併せて購入すると良いでしょう。楽天市場にもありますので、そこらへんでわさわさと。

 ラスポテトは、管理人が入手しはじめた頃はAmazonでしか売っていなかったのですが、昨今は楽天でも取り扱いがあるようですね。複数パックがあるので、大量買いをするならば、1kgで1050円までコストを下げられます。

 この培地のレシピは、たぶん、70-80点ぐらいだと思います。このへん使えたらな、という材料はあるのですが、それらを使用していないからです。理由は幾つかありますが、一番大きいのはコストの問題でしょうか。店舗で販売されているものではないので、通販に頼るしかなく、そのようにして複数の場所から材料を仕入れると、送料が嵩んで無視できなくなるからです。

 しかし、そのあたりはあくまで楽になるかどうかという部分で、栄養価的には、上記のもので十二分であると思います。とはいえ、これらは一例に過ぎないであろうことも事実です。飼育している生き物、種類、数、環境によりこのあたりは変わってくるかもしれません。販売されている培地を購入するのが一番楽であると思いますが、自分で考える培地を開拓するならば、試行錯誤してみてください。

 簡易培地への道はまだまだ続く!ということで、こんな良い感じの簡易培地を作った!という成果やアイデアのある方は、是非ブログなどで公開して、ついでに管理人にメールフォームとかで知らせてくれると、管理人がなんか喜びます(笑)

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