ミスティングシステムのつくりかた/Misting System

◇◆  ミスティングシステムのつくりかた、目次 ◆◇

このページについて/About this page
 ▽ポンプについて
 ▽接続について
 ▽PISCOのチューブ・フィッティングについて
 ▽flobalのチューブ・フィッティングについて
 ▽ノズルについて
 ▽自動給水貯水槽について
 ▽ポンプとの接続
 ▽ネジを刻んでみよう(好みのノズルを作ろう)
 ▽インチチューブか、ミリチューブか、それが問題かもしれない。
 ▽振動によるノズルの破断について
 ▽タイマーについて
 ▽終わりに
 (各項目のタイトルをクリックすると、トップの目次へ戻れます)。

iconこのページについて (>>menu)

 此の頁は、ミスティング・システム(ミスト・システム)のつくりかたについて書かれたものです。
 ミスティングシステムは、ヤドクガエルの飼育で有名になっていますが、それ以外のあらゆるカエル、樹上棲トカゲやヤモリ、イモリ、樹上棲のヘビなど、さまざまな生き物の飼育に利用できる便利なツールです。飼育ケースを改造する必要はありますが、それに見合うだけの利便性があるかと思います。管理人は、森林棲の樹上棲トカゲやヤモリ、地表棲のヤモリやトカゲの飼育にも、ミスティングシステムを使っています。これがなければ飼育できない、ということは勿論ありませんが、あればあったで便利です。十年以上、飼育を続けることを考えるなら、あったほうが良いと管理人は考えています。だって、例えばですけど、三、四日ぐらい、風邪で寝込んだことってありませんか? そういうときにあったら便利じゃないですか。

 作り方といっても、別に旋盤を使って金属から削り出すフルスクラッチの工作とかではなく、たんに市販の商品を組み合わせて、ミスティングシステムを構築しよう、というだけものです。ここでは、管理人自身が幾つかの製品を購入して組み合わせ、試行錯誤した経験をふまえ、一番オススメだと思われた製品の組み合わせを紹介しています。性能や入手しやすさはもちろんですが、コストもオススメするにあたって重要な要素として考えました。ポンプまわりで安いもので数千円から、高くても一万円ちょっと。ノズルはどういったものを使うかにもよりますが、一個あたり千円ちょっとぐらいになっています。入手方法を工夫すれば(為替が有利な時ならば、海外から輸入するとかすれば)、より安く入手することも可能かもしれません。

 ただし、このページを参考にして何かトラブルになったとしても(水漏れしてパソコンが壊れたとか、階下の人からうるさいと怒られたとか、ポンプが火を噴いたとかあったとしても――いや、もし火を噴いたらポンプメーカの問題になると思いますが――)、管理人は責任は持てませんのでご了承下さい。もちろん、トラブルにならないよう、いろいろな状況を想定して、文中に書かれていないとしても、チェックはした上で書いてはいますが。

iconポンプを選ぼう (>>menu)

 ミスティングシステムには、水道圧よりも高い圧力で水を押し出せるポンプを使います。ヤドクガエルの飼育で使うような、細かい霧状の噴霧をするノズルを使用するには、水道圧では足りないからです。普通の霧吹き程度であれば、つまりノズルの仕様や数、経路の長さや次第では、水道圧でも足りるでしょう。水道は圧力こそ低いですが流量には余裕があるため、散水ノズルなどを使用するなら、水道直結でシステムを組むことが可能です(ただし、これは地域により大きくことなるので、低圧の地域ではこの限りではありません)。

 しかし、粒子を細かく、また自在に、また数を多くしていこうと思うと、高い圧力が必要になります。これは、経路が長くなればなるほど顕著になります。なぜなら、長い経路の内部の水圧がほぼ一定でないと、先端のノズルからは上手く水が噴霧されないからです。経路を長くしても、どこでも安定してミストを出すには、経路全体に圧力を加えられる十分な性能がポンプに求められます。

  ポンプ、というと、お風呂の水抜きに使うポンプや、池、熱帯魚の飼育などに使われているポンプなどが身近でしょう。ですが、こうしたポンプは、流量こそあるものの、圧力を出せる構造ではないため、今回のような用途には使えません。詳しくは省きますが、ともかく、そういったポンプとは構造が異なるタイプの、圧力を出せるポンプが必要です。

 必要な圧力は、ノズルに依存しますが、同時にノズルに水を運ぶ経路に用いるチューブの耐圧も考慮しなくてはなりません。このあたりの兼ね合いで、当ページでは、0.7-1.0MPha弱ぐらいの圧力を出すポンプを使っています。問題は、この圧力を出せるポンプは日常生活用品にはまずなく、入手するのが意外に面倒だということです。

 もちろん、日常生活といいましたが、町の至る所で使われてはいます。水道施設のような大がかりなところでなくても、マンションやビルなどにもあるでしょうし、井戸の汲み上げ用ポンプにも規模が小さいとこの手のポンプが売られているようです(残念ながら、圧力がミスト用にするには足りないのですが)。このように、用途別に様々な圧力に設定されたポンプが世の中には沢山あるのですが、一般家庭で必要とされることがないので、欲しいと思って購入しようとしても、そこらへんではあまり売っていません。そういった業種の方ならば簡単に手に入るものではあるのでしょうが。その上、できるだけコストを安くしておきたい、となると、世に溢れるポンプの中から、用途に向いた製品であり、かつ、個人でも入手しやすいものを探す、ということになります。

 ここで、今後この頁で何度か出てくる部分でもあるので、単位について軽く触れておきます。ミスティングシステムに使うポンプの性能の中で重視すべき圧力ですが、圧力には幾つかの単位があり、ポンプの性能表には、その単位のいずれかで書かれています。
 精確ではありませんが、圧力の単位は、

10 kgf/cm2 ≒ 0.98MPa ≒ 9.8bar ≒ 10気圧

 と、だいたい覚えておけば、ポンプの仕様書を見たときにどれぐらいの性能なのか判断がつくかと思います。

 ポンプの種類や設置方法にもよりますので一概には言えないのですが、必ずしもポンプの性能として表記されている数字がそのまま実効になるわけではありません。例えば、電磁ピストンポンプでは、自体に15barの性能があると、ノズルを接続したときに1.0~1.2MPha (10bar)ぐらいの圧力が出るのに対して、単層モータで駆動するプランジャーポンプでは、性能の数値がほぼそのまま出るようです。試してはいませんが、構造からしてベーンポンプなども性能の数値そのままの圧力を発揮できそうです。このあたりは、ポンプの性能の上限ぎりぎりで駆動させているか、それとも余力のある状態で駆動させているか、というのも関わってくるかと思いますが。

 いずれにせよ、ポンプには性能として出しうる最高圧力が表記されているので、それがポンプを選ぶ判断基準にはなるでしょう。例えば、高圧洗浄機を改造してポンプに使えないか、という問いがあったとすれば、あれは最低でも4.0MPhaぐらい、高いものでは7.0MPhaぐらいの圧力で水を出す仕組みになっているので、使えない、という風に答えられることになります(ただ、3.0-5.0MPhaあたりの圧力で仕様する微細噴霧ノズルが国内で出回っていますので、そのノズルを使うならば使えなくはないかもしれません。ただ、それらはドライミストなのでミスティングと呼ぶには細かすぎる感もありますし、高圧すぎてPISCOなどのチューブフィッティグは使えなくなってしまい、経路にはステンレス管などの別のものを用意しなくてはならなくなります)。

 このページで紹介されているノズルやチューブを使用してミスティングシステムを作る場合には、性能表に、「10~kgf/cm2」「1.0MPha」「10bar」「75-100psi」「max125psi」あたりの数値があるポンプが適しているかと思います。

 また、以下で紹介している三つのポンプ――電磁ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ、プランジャ式ポンプ(家庭用電動噴霧器のポンプ)――は、性能はそれぞれ差違はあるものの、水を吸い上げる機能があります。ただ、積極的に汲み上げる為に設計されたポンプでないのも確かなので、あまり負担にならないよう、ポンプを貯水タンクより上に設置するときは、どれぐらいの時間で水がポンプまで到達するか、検証したほうがよいでしょう。

 管理人のところでは、なるべく同じ高さか、低い位置に設置しています。上に設置したこともありますが、せいぜい数十センチ程度の高さだったと記憶しています(そもそも地震を考えると、ポンプを上に設置するメリットがない)。ただ、低い位置だと、万が一ポンプとの接続が外れたときに、サイフォンの原理で水がえんえん出てしまうという危険性があることは意識すべきでしょう(貯水タンクに自動で給水される仕組みにしておいた場合、ひたすら水が出続けるので、たいへんです)。そのあたりを良く勘案して、どのように設置するか決めるべきでしょう。管理人は結束バンドを使ったりチューブフィッティングを使ったりして、まず外れないという風にして接続しています。

 基本的にこの手のポンプでは逆流が発生しないようで、一端、ポンプまで水が入っていれば、起動したときには前回、吸水口付近まで来ていた水をそのまま吸い込みます。そのため、一度ポンプをタンクより下の位置に置いて簡単に吸水させ、それから位置を決めるという手も有効かと思います。汲み上げられる高さはポンプの仕様(性能)次第で、一概には語れません。使ってみた感じ、けっこう行ける印象があるのですが、まぁそうでないポンプもあるだろうし、空転させすぎて壊れてしまった!とか怒られても困りますし………ポンプ次第、ということで。

 ところで、ポンプへの給水を、貯水タンクの中にギアポンプを設置して、ミスト用ポンプと同時に動かし、アシストするという方法も知られているのですが、管理人自身はこの方式を検証したとまでは言えないので、ここでは触れません。まぁ、取り敢えず、管理人のところでは、アシストしなくても問題なく十年ぐらいどのポンプも働いているので………。

▽電磁ピストンポンプ(ノズル数3-7個以下)

 イタリアのULKAのポンプは、電磁ピストンポンプと呼ばれるポンプの一種で、エスプレッソマシンなど一般にも幅広く使われており、廉価な製品であることも含め理想的なスペックであるため、Vivaria Projectsを始め、複数のメーカから出ている小規模ミスティングシステムではこのポンプが主流となっています。

 欠点はその構造上、駆動音が大きくなることと、長時間連続駆動が不可能なことです。型番にもよりますが、基本的には一分間駆動させたら休ませなくてはならない仕様なので、タイマーには一分間刻みで設定可能なものが必要になります。メーカや型番にもよるので、一概には言えませんが、例えば管理人の手元にあるポンプの能力は、

最高圧力 1.5MPa
最大流量 650ml/min

 となっています。少々圧力が高いように感じられるかもしれませんが、先にも書いたように、実際に駆動させたときにどれぐらいの圧力で水を吐出できるかは、ノズルや経路の長さ、径、ポンプの位置などにもよる為、普通に接続した場合、実際にはこれだけの数値は出ません。具体的には、低いところから高いところへ水を上げる揚水をポンプにさせれば、その分、ポンプの性能を使うことになり、圧力が上がりづらくなります。逆に言えば、高い所に設置したり、ポンプに適した流量で水を流し込むようにすれば、ポンプの性能を引き出しやすくなるでしょう。

 試しに貯水タンクの上にポンプを置き、噴霧位置もほぼ同じぐらいの高さという状況で圧力を計測してみたところ、ノズル一個では平均で0.9-1.1MPa、瞬間的に1.2-1.4MPaになることがある、といったところでした。

 ノズル自体は、0.75MPhaぐらいの性能があれば噴霧はできますが(厳密に調べたのではなく、そのぐらいの圧力から、ノズルの噴霧が弱くなるというのは測定してみて感じたというだけの経験上の話です)、ポンプ自体の能力にはこうした諸々の要因が重なり合いますので、余力があまりないこのタイプのポンプでは、数値上は大丈夫かと思いきや、実際には使えないということが起こるかもしれません。そのあたりを折り込んで、最大吐出圧力が1.5MPa15気圧)のものが選択されているのでしょう。
 つまり、電磁ピストンポンプでありながら、もともとの最大圧力が0.75~0.9MPhaとなっている場合、実際にミスティングシステムに接続するとノズルのところでは0.4~0.6MPha程度しか出ないことが往々にしてあり、使用するには力不足になる可能性が捨てきれません。過去にこの値の仕様になっていた井戸用のポンプを入手してみたことがありますが、こうした理由でミスティングシステムには向きませんでした。

 ちなみに電磁ピストンポンプで650 cc/min.(at p = 0bar)という流量の仕様、つまり何の圧力もない状況で一分間に650 ccを吐出するという能力は、後半で紹介しているノズルだと、だいたい五個ぐらいまでは余裕を持って噴霧することが出来る程度のものになります。それ以上、八個や十個でも噴霧はしますが、流量が減り、弱々しい感じになってしまいます。ただし、これには経路がどれぐらいの長さか、経路(チューブ)がどのぐらいの太さか、どのぐらい水位を揚げる箇所があるか、といった部分も関わってくるので、そのあたりの総体で決まってきます。

 もともと流量が少ないポンプですから、経路自体にそれほど余裕を持たせる必要はないでしょう。ノズルが5個程度であれば、ノズル先端の時点で4mm径のチューブでもよいかと思います。ただ、ポンプからノズルまで距離があるとき、ノズルの数が少し多いときは6mmで経路を延ばし、ノズル直前で4mmに変換するのがよいでしょう。

 このポンプは、昔はエスプレッソマシン組み込み用としてパーツ販売しているところがあったのですが、昨今は色々あって見かけなくなりました。具体的に言えばPSE法というものの影響なのですが、ここでは関係ないので省略します。

 オークションなどで出ているエスプレッソマシンから取り出すもよしですが、そういった行為から生ずるリスクについては、管理人は責任を持てませんのでご了承ください(まぁ、このサイトにどう影響されようと責任とらないよ!というのは、このサイト全体の基本的なスタンスではありますが)。

▽ダイヤフラムポンプ(高圧仕様)(ノズル数8-20個。大流量仕様のポンプなら場合10-70個)

  電磁ピストンポンプは構造上、そこまで流量を増やせるものではないようです。そんな訳で、ノズルが増えたら全く別の構造のポンプ――ダイヤフラムポンプの0.85-1.0MPa(120psi≒0.82MPa)程度の吐出圧力のものが利用されています。ダイヤフラムポンプは製品にもよりますが、電磁ピストンポンプよりもかなり静かなので、昨今は入手のしやすさを考えると、一番最初に候補に挙がるのは、むしろダイヤフラムポンプかもしれません。。

 例えばE.N.T. TerrarientechnikE.N.T. Power Pump, 24 Volts)や、MistKingで販売されているシステムはダイヤフラムポンプです。メーカーは色々のようですが(MistKingの中でも70個までノズルが使えるというLarge Capacity Diaphragm misting pumpSHURFLO製かな、と思いますが推測です。E.N.T.は何処のものを使っているのか実物を見たことがないので分かりません。Reptile RainSEISUNという中国のメーカです(写真のものがそう。いずれにせよ型番が分からないと意味のない話かもしれませんが)。

AQUA GEEKの浄水器用加圧ポンプLS-8100.仕様は70-100psi,1.3LPM。ポンプ本体のネジはRc3/8。ノズル数10-15程度までは問題なく使用可能(そこまでしか調べていない)。クロノスレイン用として販売されている。 圧力が低いが、少ないノズルであれば問題にはならないし、また自作ノズル用には向いているかもしれない。 OSMO用の浄水器用加圧ポンプHF-8367.仕様は最大125psi,1.2LPM。ポンプ本体のネジはRc3/8。流量はクロノスレイン用に負けるが、最大吐出圧力に余裕があるので、20-30ノズル程度までは使用できると思われるが、未検証。現在は16ノズルほどで使用中。

 一口にダイヤフラムポンプといっても、小型船舶の水道用、自動販売機の給水用、大型冷蔵庫の冷媒循環用など、外観は似ていても用途に合わせて色々な仕様のものが存在します。例えば、小型船舶の水道用のものは購入は簡単ですが、流量重視の仕様であるため、最高圧力が低くミスティングシステムには向きません。また、高圧仕様の中には6.5MPhaなどのものもあり、これまた圧力が高すぎるのでミスティングシステムには向きません。

  ミスティングシステム用に使われているダイヤフラムポンプの仕様は、概ね圧力が70-100psiであるか100-125psiのものであるようです。電磁ピストンポンプと異なり、負荷がかかっても圧力が低下しづらいようで、公称圧力が低めでもミスティングに使うことができます。流量は、製品にもよりますが、だいたい1200-1600cc/minぐらい、電磁ピストンポンプに比べて三倍弱ぐらいの流量が期待できます。また、製品によっては、かなり静かなものもあるようです。

 流量があること、またこのポンプを使う時は、そもそも経路が長くノズルが多くなると思いますから、最低でも経路に使うチューブは6mmのものが望ましいでしょう。管理人は8mmで経路を作っています。

 この項の最初に写真を出して紹介してあるSEISUNという中国メーカの製品が、かなりの騒音だったので(どれぐらいかというと、ガーデンスプレイヤーよりずっとうるさい)、高圧タイプのダイヤフラムポンプは全般的にダメなのかなと思っていましたが、これは単純にこの製品がダメだっただけで、ポンプを選べばちゃんとしたものがあるようです。

 上にある二つは台湾のメーカのものですが、かなり静かで、電磁ピストンポンプよりもぐっと静かです。イメージとしてはマッサージチェアで振動を起こしている時のような、低い篭もった音を出します。エアーポンプの中ぐらいのやつと、同じかちょっと大きいぐらい、といったところでしょうか。静穏性を重視するならば、ダイヤフラムポンプが一番良いでしょう。ただし、繰り返しますが、どのメーカのポンプを選ぶかが重要です。

 こうしたダイヤフラムポンプの吐出口の仕様は様々です。ドイツなどの欧州で使われているミスティング用のポンプの多くはミリチューブのジョイントになっていますので、このページで紹介しているノズルや経路にそのまま接続できます。しかし、ミスティング用でもアメリカのもの、それから、上でも紹介したような国内で入手できる逆浸透膜浄水器用の加圧ポンプなどのうち、チューブがフィッティングで入るようになっているものは基本、アメリカの仕様にカスタマイズされおり、インチ・チューブを使っているようです。つまり、このチューブフィッティングには、PISCOのミリチューブと互換性がありません。
 ですが、普通は、ポンプの吐出口にメスネジが切られており、チューブフィッティングのパーツが取り付けられているだけなので、これを交換することでミリチューブで使うことが出来る様になります。このネジの規格はRc3/8(Rp3/8?)であることが多いようです。というか、今のところ見たものはどれもそうでした。この規格は、PISCOに通常在庫がある製品なので、それを入手してしまえば、ミリチューブでシステムを組んでいるならば、変換コネクタなどで変換するよりもパーツが少なくて済み簡単なのでオススメです。ストレートでもエルボでもよいでしょう。経路が8mmならばPL8-03PC8-03を、12mmならばPL12-03PC12-03が接続できます。

 ポンプによっては、NPT仕様のものがあるかもしれません(お目に掛かったことはないですが)。ただ、そのような場合も、ストレートジョイントであれば受注生産しています。ごく稀に、ポンプ側がオスネジの製品もあったりと、まだまだ様々な仕様のものがありますが、パーツを上手く組み合わせれば、だいたいの仕様のものはミリチューブのジョイントに接続して使えるようにはなると思います。

 一番困る仕様は、チューブフィッティングのパーツが、本体と一体化している場合でしょう。そういう製品も存在してはいるようです。このページでは、そういう製品はオススメとして紹介していませんが、海外から安かったので入れてみたらそんなのしか無かったとか、貰ったのがそういうのだった、とかそういう場合は、変換コネクタを使うとよいでしょう。詳しくは→後述しますので、そちらを参考にしてください。

 もちろん、別に変換しなくても使い様だとは思いますが、このサイトではミスティングノズルの組み立てにPISCO製のジョイントを使っていること、そもそも逆浸透膜浄水器用のチューブやジョイントは、それに比べると価格もするということもあって、管理人は、変換して使うのを好んでいる、というだけの話です。

 ダイヤフラムポンプの場合、気になるのは、少数で使った場合どうなるか?ということです。リリーフバルブを備えているわけではないので、数がやたら少ない、3個とかで使ってポンプに負荷をかけて、大丈夫なのか?というのは、ちょっと管理人には分かりかねるところですね…………一応このサイトでは、8個以上で使うのが無難じゃないかな、とか書いておこうと思います。リリーフバルブを作ってしまうという手もありますが……あれは、パーツが高いんですよね……。

GARDEN SPRAYER(AA) 内容物一覧。詳しくは工進のパーツリスト一覧を参照したほうが確かでしょう。後ろに見える半透明のコンテナボックスは内容物ではありません(たぶん一緒に買ったので間違えて一緒に撮してしまったのでしょう)。

▽家庭用電動動力噴霧器 (ノズル数20-30個以下。長い経路に向くかもしれない)

 ダイヤフラムポンプであっても、かなり余裕があるとは思いますが、ノズルをミストではなく散水用や灌水用を使いたい、温室全体を管理するような大規模、大流量のミスティングシステム、あるいは灌水システムを作りたいとなると、さすがに力不足です。

 ノズル数が50を超えたり、ミスティングではない散水ノズルを30以上使いたいといった場合は、家庭用電動動力噴霧器が向いています。

 価格帯は、ダイヤフラムポンプに比べればほど同等か数千円高い程度であるのに、流量は公称2200cc/minであり(噴霧ではなく直射の場合、2700cc/min)と、倍以上が期待できます。つまり、ノズルを20以上、余裕を持って噴霧できるわけです。 また、先にも書きましたが、流量が多いので、このページで紹介しているノズルだけでなく、一般的に出回っている噴霧量の多い、霧吹きのノズルを複数使うことが可能というのも魅力のひとつでしょうか。リリーフバルブを備えている製品を選べば、少数のノズルであっても使用することができます。

 最大の欠点は駆動音がうるさいこと。電磁ピストンポンプも静かとは言えませんが、それと同じかそれ以上に騒音を発します。構造的には、プランジャーポンプに位置付けられ、これを高速で回転するモータですごい勢いで動かすわけで、そりゃ音が出るのも無理はない、という代物ではあります。特に、ノズルの数が少ないとき、つまりはリリーフバルブからの戻りが多いときほど、ポンプに負荷が掛かり音が大きくなるので、ノズルの数が少ないとき(五個以下のとき)には、使えないというわけではないのですが、騒音対策を講じる必要があるかもしれません。 具体的には、エアチャンバを間にかませば、かなり静かになります。とはいえ、このポンプの長所はとにかくハイパワーであること、これに尽きるでしょう。これを必要とするならば選択する価値がありますが、騒音とかのほうが問題だ、という場合は、ダイヤフラムを複数台導入するほうがよいかと思います。

 写真にあるオレンジ色のコンテナはポリプロピレン製の貯水槽で、一般的な同一サイズのコンテナよりも肉厚で丈夫に出来ているので、管理人はこれを貯水槽として仕様しています。この手の色つきコンテナには肉厚の分厚いものが幾つか製品として存在するので、貯水槽にするときは、このあたりを探してみるとよいかもしれません。
  現行モデルでもこのような販売方式がされているかは分かりませんが、写真のGARDEN SPRAYER(AA)DO-ITOなどのホームセンターのみで販売されている製品でした。ネット上では「霧女神」というシリーズ名でほぼ同一品が販売されていましたが、スプレー部分などの付属品が少々違うため、GARDEN SPRAYERのほうが、数千円ぐらい安くなっていたのです(具体的には2006年頃、19800円ぐらいだったかと。うろ覚えですが)。

 GARDEN SPRAYERを始めとするプランジャ式のポンプは、起動時は、ポンプの出すことの可能なもっとも低い圧力で起動させ、駆動が安定したら高圧に持っていく事が可能になるというポンプです。エンジンをイメージすると分かりやすいかもしれません。いずれにせよ、タイマーで管理する関係上、一番低い圧力で使用することになります。

 GARDEN SPRAYERの起動時の圧力は、1.0MPhaですが、プランジャ式のポンプなので、圧力は一定にはなりません。開放口がどうなっているか(流量がどれぐらいか)にもよりますが、ミスティングシステムに接続されている状態では、0.7-0.9MPa、脈動が起こったとき1.3MPaに達することもある、という感じです。

  Vivaria Projectsなどで取り扱っているオールプラスティックのチューブフィッティングでは、長期間(三年から五年以上)使用していると素材に疲労が出てくるのか、脈動発生時に接続部から水漏れが起こってしまうようです。この水漏れは、ULKA社のポンプでも起こることはありますが、やはりプランジャ式のポンプで起こりやすく、脈動対策をすると、漏れる事例が発生しにくくなるようでした。余談ですが、PISCOのチューブフィッティグでは同じ条件下でも漏れた例はありません。

 ポンプの種類は以上です。用途に合わせて、好みのポンプを選べばよいでしょう。個人的には、静穏性、コストなどを考えると、ダイヤフラムポンプがいち押しです。特にマンションなどでは、静穏性はかなり重要だと思いますので。

icon接続について (>>menu)

 管用(くだよう)ねじには幾つかの規格があるそうです。当頁では、現JISのみで表記します。大別すると、

・管用平行ねじ
・管用テーパーねじ
 の二つがあり、前者は水道管などに使われているもの、後者は機密性を要する管の接続に使われているものだそうですが、あまり深く考えなくてよいでしょう。
 写真は、左から、G1/2AR1/4R1/8、という規格の雄ネジです。Rは雄ネジを意味し、雌ネジであればRc1/8という風になります。G1/2は、水道管のフレキ管接続や塩ビ管のネジにあるものなので一番見慣れているでしょう。こちらは、雄ネジの場合に最後にABを付けるルールであるようです。
 管用平行ねじと管用テーパーねじは、乱暴に言ってしまえば、数字の部分が同じならば、組み合わせることが可能ではあります(シールテープは必要です)。

 余談ですが、接続するジョイントの金属は同じものを使ったほうが良いかと思います。今回のような用途ではステンレスを進んで使用する理由はありませんから、黄銅のものを使うようにすれば良いでしょう。

 黄銅と言いますが、大抵はメッキが施されています。例えば、左写真の雌ネジは銀色をしていますが、これはクロムメッキの黄銅管です。ホームセンタなどで取り扱っている水道回りの製品は、銀色をしていますが黄銅管のものが基本のようです(だから、錆びるときは銀色の上に緑青がうっすらと生じてくる)。
 PISCOのジョイントはSUSのシリーズではない通常のチューブフィッティグは電解ニッケルメッキの黄銅です。とはいえ、黄銅だけにしたところで、水を通し続ける以上、自然腐蝕もありますので、二年から三年に一度は各部のチェックをしたほうが良いのかもしれません(とはいえ、色々なパーツを五年以上使用していますが、問題になったことは記憶の限りではありません)。

 ずらりと並べてみました。ピントが合っていないのはご愛敬。

 左端から、

 G1/2G1/2ARc1/4R1/4Rc1/8R1/8

 の規格であり、品物としては、塩ビ雌ネジ13mm管パイプ、SUS(ステンレス)製ジョイント、黄銅製チーズ、黄銅製雄ネジジョイント、違径雌ネジジョイント(黄銅クロムメッキ)、PISCOのチューブフィッティングネジジョイント、という風になっています。(別に、この写真にあるものがパーツとして必要になるという訳ではありません)

 接続はネジなので、ただネジ込むだけですが、間にテープを挟みます。写真だと後ろに移っている緑色のものがそれ。

 シールテープと呼ばれるものです。水道関連の売り場では、黒いのに巻かれているかもしれません。エアコンプレッサのパーツとしても売られているものです。
 いずれにせよ白い部分が重要です。ピントあってませんが、あまり気にしないでください。あとでピントのあった写真もどっかに出てくるでしょう。

 このテープを、雄ネジにぐるぐると巻きます。

 写真はちょっと先っぽのほうの包み込み具合が足りないようにも思えますが………ネジのねじ込み方向と同じ方向にぐるぐるテープを巻いて、最後はぐっと引っ張ると伸びてからみつきます。

 この部分を挟むように(巻き込むように)して雌ネジをねじ込んでいけば、柔らかいので隙間にぎゅっと詰まり、シーリングになって、流体が漏れなくなる、というわけです。

 当然ながら素手では無理なので、レンチを使って締めます。ただ、廻しすぎには注意です。

 GARDEN SPRAYERでは、最小何個のノズルから噴霧することが出来るのか、というと、8mmのチューブを使って繋いだ場合、少なくとも二個であれば問題なく噴霧できます。ただ、リリーフバルブから相当な勢いで水が戻されることになるのと、やはりポンプ自体に負担をかけているのでしょう、もともと喧しい駆動音がさらに少々うるさくなります。

 できれば、最低でも五個ぐらいのミストは同時にしたほうが良いのではないかな、という気がします。

iconPISCOのチューブ・フィッティングについて (>>menu)

 PISCOは新潟に本拠地を置く空気圧機器メーカーで、その製品に「チューブ・フィッティング」シリーズというものがあります。公式の通販サイトを通して、誰でも簡単に購入することができる製品で、ポリウレタンチューブやナイロンチューブをワンタッチで接続し、流体――空気や水――を流せるというもの。(ただし、受注生産品以外は、他のインターネット上で探せる小売店のほうが安価であることが往々にしてあります。当サイトでは、リンク切れを考えて幾つかのパーツでPISCOにリンクをしていますが、購入する際は楽天やAmazonマーケットプレイスなど、いくつかのサイトを当たると良いでしょう。)
 この製品は、組み立て機械や食品生産ラインなど、広範囲に活用されているものなのですが、ミスティング・システムを構築する上で、とても便利です。
 早い話が、ポンプをこのチューブフィッティングに接続できるようにし、ミスト・ノズルもまた、チューブフィッティングに接続できるようにすれば、ポリウレタンのチューブを延長したり、分岐パーツを利用することで数を増減したり位置を変更したりすることが簡単に行えるようになるのです。
 

 径に余裕を持たせたほうが、二十、三十というノズルを用いるには都合がよい。予想できるので試していないが、4mmではリリーフバルブへの戻りばかりが多くなって、ポンプの性能が発揮できないだろう。数メートルならば6mm、10メートルを超えるならば最低でも8mm、可能ならば12mmが望ましいのではないかと思う。

 ミスティング・システムを構築するにあたって、まず最初に、ポリウレタンのチューブをどれぐらいの径にするか、を決める必要があります。
 ULKA社のポンプやダイヤフラムを使ったミスティングシステムでは、送水管は6mm管で、ミストノズルのところで4mmに変換するものが多いようです。これは、長い距離を送水するのには径が太いほうが有利だからでしょう。ただ、ポンプからの距離がそれほど無く、またノズルの数が少ないならば(三個とかならば)、全経路が4mmでも使えないことはないかもしれません。
 ただ、ダイヤフラムポンプや、電動噴霧器のような能力の大きなポンプの場合は別で、管理人は経路を数メートルとること、多くの水を流したいということで、8mm管を選択しました(12mmと迷ったのですが………)

iconflobalのワンタッチ・ジョイントについて (>>menu)

flobalのワンタッチ空圧継手。チューブ径4mmサイズ。

 フローバル株式会社は旧社名を岡田産業といい、配管部品の製造販売を行う会社で、その製品のひとつにmm規格のワンタッチ継ぎ手があります。未だに製品には旧社名のokadaの刻印がされていますが、いずれはflobalという刻印に変わるのでしょうか。
 製品仕様では、対応する使用流体が空気のみ(液体は適用外と注釈されています)、PISCO製品と異なり、最高使用圧力が0.9MPaPISCOに比べて低いという違いがあります。実際、脈動時に最大1.3MPhaに達するランジャポンプで運用する、すなわち仕様を超えた圧力をかけて使用していたところ、一年程度で接続部が疲労から来る水漏れを起こしました(同じ環境であっても、PISCOは水漏れしませんでした)。

 ですが、70-100psiの圧力で吐出するダイヤフラムポンプ(実行数値は70-80psi程度)で二年程度使用してみたところ、水漏れなどは発生せず、十分使用に耐えると判断できたため、ここで紹介します。
 ただし、使用にあたっては、電磁ピストンポンプの場合はノズルを五個以上使うこと、ダイヤフラムポンプも、70-100psi程度の圧力で吐出する製品のみを推奨します。プランジャポンプでは使用すべきではないでしょう(エアチャンバなどにより、圧力と脈動を0.9MPa以下に抑制してある場合は、大丈夫なようですが、他のポンプに比べるとやはりリスクがあるような気が………)。
 また、その上で、ケース内部での水漏れならばともかく、ケース外の経路での水漏れは階下への影響や、漏電などの危険がありますので、ケース外部の経路に関してはPISCO製品を使用し、あくまで排水加工してあるビバリウム内部のパーツ、すなわちフレキシブルノズルを作るパーツとしてのみフローバル製品を使うという、使い分けをしたほうが良いでしょう。

 本来、水を使うことが想定されていないこの製品を何故紹介したのかと言えば、端的に言って安価に入手することが可能であるからです。楽天市場にあるフローバルのショップでは、概ね同じ用途のものがPISCOの1/3強程度の価格で販売されています(この価格帯で使用流体に水を含む製品があれば良いのですが、国内製品では今のところ見つけられていません。海外製ではJohn Guest製のものがそれに当たりますが、輸入するとなると、ロットや手間暇の問題もあり、送料やらなにやらで、価格差があまり無くなってしまいます)。安さにつられて、本来の用途外であるとは分かってはいるものの、流用してしまえないか?という事な訳です。ただ、やはり用途外なので、推奨できるかというと、ちょっと推奨して良いのだろうか、というところな訳ですが……
 ざっと管理人が使用している製品のリンクを貼っておきますが、将来的にリンク切れがあると思うので、製品名称での検索を推奨します。また、紹介していないのでも使えるものがあるかもしれません。

4mmシリーズ
 ワンタッチ ユニオンチーズ <OPUT>:OPUT 04
 コンパクトワンタッチ ユニオンチーズミニ <OPUT>:OPUT 04C
 ワンタッチ ソケットエルボ <OPLJ>:OPLJ 04
 コンパクトワンタッチ ソケットエルボミニ <OPLJ>:OPLJ 04C
 ワンタッチ パネルユニオンP <OPPM>:OPPM 04
 ワンタッチ ユニオン <OPUC>:OPUC 04
 コンパクトワンタッチ ユニオンミニ <OPUC>:OPUC 04C
 フローバル:ワンタッチ ソケット <OPIJ>:OPIJ 04
チューブ
 ウレタンチューブ ミリサイズ 20m <OPU>:OPU4×2.5-20BK
 ウレタンチューブ ミリサイズ 20m <OPU>:OPU8×5-20BK
 ナイロンチューブ ミリサイズ 20m <OPA>:OPA8×6-20BK (AA)

 ウレタンチューブとナイロンチューブでは、外径が同じでも内径が異なることがあります。例えば、ウレタンチューブの外径4mmですが、ナイロンチューブの外径4mmは内径2mmとなっています。対して、外径8mmの場合、ウレタンチューブでは内径5mm、ナイロンチューブでは内径6mmと、こっちではナイロンチューブのほうが多く流れます。
 ただ、ナイロンチューブはやや堅めで折れぐせがつきやすく、上手く切断しないと切断面がゆがんで、フィッティングが上手くいかない場合があります。切断しやすさなどを考えると、カッターでカットしやすいウレタンチューブで揃えるほうがよいのではないかという気がするのですが、距離が長くなればなるほど、内径が大きいほうが有利であるように思われるので、管理人は8mmチューブでは、内径6mmをメインで使っています。もちろん、内径が小さくても使えないわけではありません。

flobalのワンタッチ継ぎ手を組み合わせて作ったフレキシブルノズル。ノズルにskiffyのインサートリングを填めて、John Guest 4mm-1/8BSP Female Adaptor Fittingsに接続したもの。

 ただし、重ねて書きますが、使用にあたってはポンプの選定と、疲労による劣化を考慮すべきです。耐圧がPISCOに比べて低く、それを超える場合は破損することがあるのは確かですので、余裕を持った圧力での使用を心がけてください。PISCOであれば、製品仕様範囲内での使用なので、問題なく使用できることは保証されているといえますが、この製品に関してはもともとエアコンプレッサの部品であり、液体は使用範囲外と明記されている以上、使用できるという保証はないのですから。このあたりは、このサイトの内容全部がそうですが、この項目は特に、購入コストを下げるというメリットがリスクに見合うかどうかよく考慮の上、自己責任にてお願いします。

iconノズルについて (>>menu)

 肌色のものが噴出角度が105°のもの。かなり広いケースで上から垂直に降らせるようなスタイルには向くようにも思うが、使い回しが難しい。正直、よほど巨大なケースでないかぎりは使えないと思われる。80°のものが重宝されるのは、ケース前の角から斜めにミストしたときに前面にかからないからだろう。

 フレキシブルに色々な方向に向けられるノズルは、PISCOのチューブフィッティングのみでは作れません。そもそも、PISCOではノズルそのものが売られていないからです。別途、ノズルを入手する必要がありますが、国内では細かい霧を出すノズルを個人で購入することは難しいようです。農業用に求めると灌水用途のものは水滴が大きすぎ、食品加工用途のものはロットが多く個人向けではありません。

 個人に入手しやすいということででしょう、海外のミスティング・システムでは、TEFENというメーカーのプラスティックのノズルが広く使用されています。これは樹脂製で安価であること、微細な噴霧が可能である(流量が少ない)ことが理由でしょう。後者が必要な理由は、系が長くなる場合、ノズル一個あたりの流量が少ないことが、系全体のノズルから出る噴霧量を一定にするのに有利であるからです。

 このようなノズルを安価に販売しているのは海外のメーカばかりで、日本のメーカでは見当たりません。日本にももちろん噴霧ノズルのメーカはありますが、高価なモノばかりですし、使えるものであっても、個人で入手しようとするとハードルが高すぎます。なんでそうなっているのか理由は分かりませんが(まぁ、なんとなく予想しているところはありますが………いずれにせよ)、国内でショップで見かけることがまずありません。

 TEFEN以外にも、管理人自身も使用してみたものとしては、HYPRO(旧LURMARK)のノズルが向いています(LURMARKで検索するとヒットします。幾つかのミスティングシステムではこれらが使われていました)。幾つか候補となるメーカはありますが、価格的にはTEFENが有利です。ただし、これは個人で海外から購入するならば、の話です。国内でも過去取り扱っているショップがありましたが、扱わなくなったりしてしまったので此処ではリンクは貼りません。検索してみてください。海外でよければ、eBay、あとはイギリス、アメリカの園芸ショップなどで見つけることが出来るでしょう。少量ならば郵便(封筒)で発送なので送料はかなり安いです。どちらかというと、Paypalやクレジットカード支払いを受け付けてくれるかどうかのほうが重要になります。余談ですが、Paypalで支払いをするときは、クレジットカードのレートに注意してください。その時々で変わりますが、大抵Paypalレートよりもクレジットカード会社のレートのほうが良いからです(VISA、Masterに限りますが)。

 話を戻しますと、TEFENのカタログ(PDFで公開されています)にもありますが、

・コニカル スプレーノズル (Conical Spray Nozzle 1/8"NPT
・ノンドリップ コニカル スプレーノズル (NON DROP CONICAL SPRAY NOZZLES 1/8” NPT

 の二つが、ミスティング・システムにオススメのノズルです。

 ただ、このノズル、海外向け製品だけあって、六角がインチサイズです。つまり、mm規格のレンチですと上手く固定できません。モンキーレンチ (AA) があると便利かと思います。ペンチでは、簡単に傷がついてしまいますのでオススメしません。簡単に山が潰れちゃいますよ(経験談)


 緑色の輪のようなものが見えるのが、NON DROP CONICAL SPRAY NOZZLES 1/8” NPT。ノズルの先端から空気が逆流し難くなっている。

 ここで問題なのは、このノズルはアメリカのネジ規格、1/8"NPTというものであるということです。アメリカ標準管用ねじ規格であるNPTは、当然ながらJIS規格のねじには合いません。
 国内でも1/8"NPTのタップを購入することが可能です。プラスティック樹脂や真鍮などにネジを切ることは出来なくはないです。とはいえ、自分でネジを切るのは、趣味で好きな人ならばともかく、そういう工作が好きでもなんでもない人には現実的ではないでしょう。
 どうしたものか、と悩みたくなるところですが、なんと、PISCOでは受注生産ではありますが、1/8"NPTのネジを切った製品を生産してくれるのです。

 「チューブフィッティング」シリーズの「メスストレート」のうち、チューブ外径4mmに接続するフィッティングである場合、製品番号は「PCF4-N1U」になります。
 メールで問い合わせするか、コメント欄に希望する旨を書き込めば、受注が可能であるならば購入できるでしょう(いつまでも可能なものなのかは管理人は知りません)。

+

 写真左二つは管理人が数年前にホームセンタで購入したもの。右二つは通販で購入したもので、「セフティ3 ジェット噴口 (AA)」という製品。左から「セフティ3 ジェット噴口 1.2L-半自動4L(セフティ3 ジェット噴口 1.2L-ハン4L)」と「セフティ3 ジェット噴口 ハン9L」。真鍮製のニッケルメッキで、左から、PF1/8、PF1/4、PF1/8、PF1/4のネジになっている。シールテープを巻いて、それぞれR1/8R1/4と接続して使うので実用上問題はない。

 TEFEN以外のノズル、つまりは国内で販売されているノズルも、もちろん使うことは可能です。TEFENのノズルは微細な噴霧(管理人もお気に入り、飼育者の間で評価の高いフルプラの霧吹きの霧より、さらに細かいぐらい)ですが、カメレオンやヤモリなど、もうちょっと粒の大きな散水をしたい場合、ケースごとに調整したい場合などは、一般的な霧吹きの交換用ノズルセットを、PISCOのジョイントに接続して使用することになります。

 ここで注意すべきは、ポンプの性能、とくに流量に余力がないと、これらの散水ノズルは使えないということです。電磁ピストンポンプでは力不足で、ダイヤフラムポンプでもそんなに数を維持できません。流量の多いダイヤフラムポンプか、電動プランジャポンプ(ガーデンスプレイヤー)なら、ノズルの仕様や経路の長さにもよりますが、おそらく30個ぐらいまでは行けるでしょう。

 これは、手前に多く水が出る場所があるとき、経路の先端まで、圧力が十分に行き渡るか、という問題です。ポンプに余力があれば、経路全体の圧力は均一となり、ノズルすべてから均一に噴霧されます。しかし、パワー不足ならば、ポンプに近い側はより多く、遠ければ遠いほど圧力が不足して噴霧量が少なくなるのは自明です。多く流量を要するノズルを使うときは、ポンプとの組み合わせを意識すること、また、ノズル直前までは、流量を確保しやすいよう、チューブの太さに余裕を持たせ、8-12mmのチューブを使うのが望ましいと予想されます。
 ノズルにはそれぞれ、どれぐらいの圧力のときにどれぐらいの流量となるかという仕様があり、メーカーが分かっていれば公開されていますので、それを参考にしてノズルを選択すると良いでしょう。


 写真の隔壁ユニオンは、「PM 隔壁ユニオンP」のPMP4。チューブフィッティングシリーズの隔壁ユニオンは、チューブフィッティング・ミニの隔壁ユニオンと違って、径が太い。ケースに空けてある穴が10mmである場合は、チューブフィッティング・ミニの隔壁ユニオンを用いる(管理人も基本的にはそうしている。ぶっちゃけ、写真のは間違えて注文しちゃったから使ってるだけ。写真を撮り直すのもメンドイですし・・・・(<ぶっちゃけすぎだ))。

■フレキシブル・ノズル(TEFENのノズルを使う場合)の一例

 ノズルはフレキシブルに方向を変更できるよう、幾つかのパーツを組み合わせて作るのが主流です。ノズル周りは、径を太くする必要がなく、むしろコスト増に繋がりますから、「チューブフィッティング」シリーズのチューブ外径4mmのもので揃えます。

1.「PLJ ソケットエルボ」のPLJ4×2
2.「チューブフィッティング・ミニ」シリーズから、「PM隔壁ユニオン」のPM4M(「チューブフィッティング」シリーズの隔壁ユニオンは、径が太いので注意。自分で穴をあけるなら良いが、既に10mmの穴があいていて、そこに使いたい、という場合はミニのほうでないと通らない)
3.「PIJ ニップル」のPIJ4もしくはポリウレタンチューブの4mm(出来れば「インサートリング」を入れたいところです)を適切な長さにカットしたもの
4.「PCF4-N1U」 1/8"NPT規格にネジが切られた「メスストレート
5.コニカル スプレーノズルConical Spray Nozzle 1/8"NPT)もしくは、ノンドロップ コニカル スプレーノズルNON DROP CONICAL SPRAY NOZZLES 1/8” NPT

  写真はニップルで組み立てたもの。雌ネジであるメスストレートに対し、プラスティックノズルは長すぎるので、間にプラスティックのリングを咬ましています。これは、実質見映えをよくする意味しかありません。なんだったら、ノズルの後ろをカットしてしまうという手もあるでしょう。カッタで簡単にカットできます。

 ちなみに、PCF4-N1Uの六角は14mmなので、14mmのレンチを用意してください。モンキーレンチ (AA) を二本という手もなくはないですが、距離が近いと、ちょっと面倒なのではないかな、という気がします。

 メスストレートの奥にOリングを入れておくか、ノズルにシールテープを巻くことでシーリングをします。Oリングを入れる場合は、シールテープは必要ありません。
 個人的には、Oリングを入れるほうが楽なので好きですが、いちいちそんなパーツを買うのが面倒だというのも事実。どっちがよいかは難しいところです。咬ますリングの厚さは、Oリングにプラスティックのノズルがネジの奥のほうで当たって挟まったぐらいで止まるような分厚さのもの。使用するOリングの種類によって変わってくると思いますが、OリングにP5を使用したとき、かますプラスティックのリングの厚さは3-4mmといったところでしょうか。

 こちらはノズルの部分とエルボの接続に、4mmポリウレタンチューブを短めにカットし、一本だけインサートリングを入れたものをメスストレートとエルボの接続に使ったもの。
 長さを調節してあるので、エルボとメスストレートが一体になったかのようになり、見映えのバランスは良いかも知れません。

 間に咬ませるプラスティックのリングは、5mm厚程度です。写真はABS樹脂のもの。内径が10-11mm以上のものです。管の厚さは2mm程度あればよく、つまり外径は15mm以上が望ましいかと思います。多少大きい分には問題ないでしょう。機能としてはスペーサなだけです。購入する場合はskiffyというメーカの製品を購入すると良いでしょう。欧州のメーカですが、通販してくれるところもあるようです。

 写真はパイプカッタ (AA) で切断していますが、ノコギリで切断するのでも勿論問題はありません。ただ、ノコギリで切ると切断面が美しくないので、そのときはカッタで仕上げるとよいでしょう。黒い色なのは、蛍光灯の紫外線を浴びる関係で、長期間の使用ならば黒のほうが良いかな、と思っただけで、白でも赤でも蒼でも黄色でも虹色でも何色でも問題はないかと思います。

 ただまぁ、そうですね、この工程で使うかどうかは別にしても、排水系を作るときに、パイプカッタがあると、なかなか便利なので、この工具はオススメです。塩ビ切断用ぐらいのものならば、そんなに高いものでもないですしね。


 フレキシブルノズルを組み立てる場合のパーツ一覧。PIJ ニップルで接続する場合は、写真にあるインサートリングは必要ない。実のところ、インサートリングなしのポリウレタンチューブで接続しても、問題はあまり起こらない。管理人が経験したところでは、せいぜいが、長く使っているとそこから水漏れが起こることがある、程度。ただ電磁ピストンポンプでもそうなので、圧力が高めで出るプランジャーポンプでは不安があるといえばあるし、真鍮製のノズルの場合はTEFENのノズルに比べて重量で不利なので、ニップルかインサートリングを入れたほうがよいように思う(余談だが、インサートリングより、ニップルのほうが簡単に見栄えよく作れる。どっちかは、まぁ好みか)

■フレキシブル・ノズル(セフティ3 ジェット噴口 (AA)セフティ3 ジェット噴口 1.2L-半自動4L (AA)ノズルを使う場合)

 セフティ3 ジェット噴口 1.2L-半自動4L (AA)をノズルとして使うフレキシブルジョイント。基本的にはTEFENのノズルの場合と同じ。セフティ3 ジェット噴口に刻まれているネジは、PF1/8のメスネジなので、チューブフィッティングに接続する雄ネジを用意します。シーリングはOリングで行っても良いですが、シールテープを巻くのでも問題はありません。用意する雄ネジはR1/8であればストレートでもエルボでも接続できます(エルボだとパーツを一つ省略できるでしょうか)。

 セフティ3のノズルは、安いところでは4-500円前後。ネット上では幾つかのショップで購入可能です。楽天市場などで探してもよいですし、ホームセンタでも販売している場合があります。セフティに限らず、この手の国内販売されているノズルセットは概ね真鍮製のニッケルメッキで、キャップを緩めることで噴霧角度や量を調節できるものです。余談ですが、真鍮製なので薬剤による殺菌消毒をする際には、ハイターやビルコンではなく、オスバンなどを使用する。これはチューブフィッティングも同様です。

 セフティ3 ジェット噴口 1.2L-半自動4Lを選択したのは、ネジを締めるにあたって六角レンチが使えることと、刻んであるネジが、Rc1/8であるからです。家庭用蓄圧式噴霧器のノズル(噴口)は複数メーカから何種類か販売されていますが、ネジがRc1/8であるものはあまりありません。プラスティックのものはミリネジであることが多いようですし、そうでないものはRc1/4ものが多いです。プラスティックの場合はネジ山を刻み直すという手がありますが、手間が掛かることは否めません。Rc1/4は太すぎて回りの金属部分が大きくなりすぎ、結果重くなります。フレキシブルジョイントを作るに当たり4mm径パーツに接続するとき、重いと自重で下を向きやすいので不向きなので、なるべくRc1/8のものを探すとよいでしょう。
 セフティ3 に限らず、家庭用噴霧器に使われるノズル(噴口)は、TEFENのノズルに比べて、噴霧の粒子は粗く、あちらが「霧・ミスト」であるのに対して、こちら雨粒に近いものです。よってビバリウムの中にもうもうと霧が立ちこめるようにはなりませんが、それなりに使えます。ただ、自然、流量が大きくなるので、ポンプにもよりますが、使えるノズルの数は少なくなりますし、ミスティングの経路はあまり長く出来なくなります。最低でもダイヤフラムポンプを使わないと、満足に散水できないかと思います。TEFENのノズルで噴霧するには能力のありすぎ高圧気味になりやすい電磁プランジャポンプですが、このノズルを複数使う場合には心強いポンプで、むしろこのノズルと組み合わせて使用すべきなのかもしれません。セフティのノズルを使うとチューブに掛かる圧力が下がり、経路に掛かる負担がかなり軽減されるからです。

組み立てたところ。真鍮が見栄えする。

 「チューブフィッティング」シリーズのチューブ外径4mmのもので揃えると、

1.「PLJ ソケットエルボ」のPLJ4×2
2.「チューブフィッティング・ミニ」シリーズから、「PM隔壁ユニオン」のPM4M(「チューブフィッティング」シリーズの隔壁ユニオンは、径が太いので注意。自分で穴をあけるなら良いが、既に10mmの穴があいていて、そこに使いたい、という場合はミニのほうでないと通らない。ネジを切れば通るが、ガラスの場合ネジが切れない)
3.「PIJ ニップル」のPIJ4もしくはポリウレタンチューブの4mm(出来れば「インサートリング」を入れたい)を適切な長さにカットしたもの
4.「PC4-01」 R1/8規格にネジが切られた「ストレート
5.「セフティ3 ジェット噴口 1.2L-半自動4L (AA)」のノズル

 Oリングでノズルとストレートを接続する場合はさらにOリングを用意しましょう。


 Vivaria projectなどに使われている樹脂製の製品。英国JohnGuest社製4mm-1/8BSP Female Adaptor Fittings

John Guest 4mm-1/8BSP Female Adaptor Fittings

 国内では販売店を見掛けませんが、eBay.ukなどで購入可能なものとして、John Guest 4mm-1/8BSP Female Adaptor Fittingsがあります(ただし常時出品はされていません。国際発送してくれる店舗はあるので、出品されていない場合は、そうした欧州のお店を探すとよいでしょう)。
 チューブフィッティングはミリ規格で、ネジ山はBSP(PT)に揃っている製品ですが、これにはTEFENのノズルを、やや強引ではありますが接続することが可能です。規格が違うのに、何故接続することが可能かというと、これは規格の仕様の僅かな違いに起因します。
 日本最大のドリルメーカ、OSGが発行している「管用ねじ規格と工具について」というテクニカルデータ冊子を参照すると、NPTとRc(PT,BSP)が、どのように違っているのかが分かります。以下はタップの形状ですが、

Rc1/8 山数(25.4mmにつき):28山 基準外径7.723
NPT1/8 山数(25.4mmにつき):27山 基準有効径7.142

 とあります。つまり、R1/8のほうが、NPT1/8よりも小さい(Rcであれば穴がNPTのほうが大きい)。そして、山数は25.4mmにつき、1山ちがう。
 金属であれば、この差は、どうやっても入りませんし、入れたところでシーリングが上手くいきませんから、意味がありません。しかし、ミスティングシステムの場合、Oリングのようなゴムでシーリングが行われています。つまり、機密性はネジの部分で確保しなくてもいい。

 ノズルとコネクタが”共に樹脂製”であり、しかも入る必要のあるフィメイルコネクタの深さが6mm程度しかないこの製品の場合、半山程度のゆがみは、強引に入れてしまうことが出来るわけです。(実際、ノズルのメイルコネクタが樹脂でも、Rc1/8の真鍮製フィメイルコネクタに入れるのは、かなり厳しい。入って2mmぐらいで、実用不可です)
 このような使い方はイレギュラではあるのでしょうが、いずれにせよ、実用可能であることは確かです。それなりに手間はかかりますが、輸入することが可能な人は挑戦してみてもよいでしょう。

icon自動給水貯水槽 (>>menu)

 貯水タンクは、何を使ってもよいですが、定期的にチェックすることを前提に、光を通さない樹脂製のものがよいと思います。ガラスや透明アクリルの場合、光が差すことで、どうしても中に藍藻などが繁殖してしまうことがあるからです。これらは、ポンプの故障や、ノズルの目詰まりの原因になりますので、長期運用する上では対応策を考えておく必要があります。
 今回は、電動ドリルにホールソウを取り付け穴をあけます。自由錐でも良いですが、あれは少々高価なのと、周囲に隆起があるような場所では使えないのが欠点ですね(写真のような場所では難しい気がします)。
 こういった道具がない場合は、ハンダごてとヤスリ、ノガバーなどで対処するという手もあります。

 吸水口と取水口の二つをあけたところ。今回は同じぐらいの大きさになってますが、ダイヤフラムポンプや電磁ピストンポンプの場合は、もっと小さい穴のほうがよいです。





 片方には貯水タンクに使われるボールタップを固定します。少し斜めにして使用していますが、いまのところ問題はないようです。でも、本当はちゃんと縦にしたほうがよいでしょう。縦にしていないのはタンクの水位を高くしたかったからですが、給水速度が十分であれば意識する必要はないと思います。
 使用状況によって変化するでしょうが、何分間でどれぐらいの水を消費するのかはチェックしておく必要があります。なぜなら、冬は、冷たい水道水が供給されることになるので、貯水量が足りないと、冷水をミストすることになるからです。水位が下がった分だけ給水される関係上、ヒータを入れておいてもこれは防ぎようがありません。 冬のミストは短時間である変わりに頻度を高くするとよいでしょう。温水が供給できればそれに越したことはありませんが。 (いちおう、二段水槽を用い、センサなどを用いて上で一端暖めてから下に定期的に供給するという方法もありますが…………)

 もう一つの注意点は、先にも少し触れましたが、地震や何かしらの理由でこの貯水タンクから先――ポンプへの経路などが外れてしまった場合、どういった問題がおこるか、です。サイフォンの原理で、水が外へ流れ出たとき、単純に水道に繋いだ状態では、ひたすら水が貯水タンクに供給され続けて、部屋が水浸しになる危険がありえます。

 これを防止するには、常時OFFで、通電時ONになる電磁弁をタイマーで制御しておくという手法が有効でしょう。こうした電磁弁は水道圧に対応したものが販売されていて、ネジ山はG1/2となっているものが多いです。つまり、フレキ管で簡単に接続できますので、あとは、ミスティングが終了した時刻から、十分に貯水タンクに水が入るだけの時間(このあたりは各自の水道圧にもよるので、調べる必要があります)、通電するようにすればよいでしょう。

 この場合も、通電されれば貯水タンクに水が入ってしまうことに変わりはありませんが、吸水口の高さを水面よりも上にし、ポンプに自吸させる方式にしておけば、サイフォンの原理で一度水が全部出た時点で水は止まり、次に水が供給されても水が再び出たりはしないので、被害を軽減することができます(もちろん、そもそも貯水槽が倒れていてボールタップが開いているとかいう場合は、これをやろうが水は流れ続けますが。それでも、電磁弁を付けることで被害の大きさを軽減することは期待できるでしょう。このあたりの対策には限界があるので、どこまでやるかは、危険を何処まで想定するかということでもあります)。

 話がやや逸れましたが、タンク壁面への塩ビパイプの固定です。塩ビパイプに接続するコネクタを使います。さほど圧力もかからないので、全体が塩ビ製のもので問題ないでしょう。

 塩ビパイプ自体は場所によっては接着したり、しなかったりしています。写真では外部に出ている部分は接着していますが、内部はネジをしめて固定させているだけなので接着剤は使っていません。ゴム製のパッキンがありますしね。

 回転させて締める関係上、その先に接続してタンクの底まで伸ばす塩ビパイプも接着していませんが、ぎゅっと押し込んでおけば、自吸するときに空気が漏れたりはしないので、大丈夫です。

 外観。
 右側からポンプへ水が流れます。写真はガーデンスプレイヤーに流れ込むので、このようなホースで接続するようになっています。もっと細いチューブに対応した接続もありますから、電磁ピストンポンプを繋ぐときには、そうした製品を使えばよいでしょう。

 さらに言うならば、違径ジョイントを繋いだり分岐させたりして、チューブフィッティングと接続できるようにも出来、ダイヤフラムポンプとの接続ではその方式が見た目にも、接続しやすさ的にも便利です。

 また、ポンプを下に設置する関係上、こうした下向き構造になっていますが、ポンプを横に置くならば真横に向けます。

 水道管を分岐してフレキ管でいきなりボールタップに繋ぐのもよいですが、ここはやはり浄水器は入れておきたいところです。別に入れなくてもいいです。しかし塩素はタンクの清潔さを保持する意味では役立っているような気もしています。とはいえ、まぁ飼育シーンではそれなりに毎日タンク内部の水を消費してしまうので、気にしていませんが(定期的に洗浄はしますしね)。

 管理人が使用したのはMarfiedのコットン&カーボンの浄水器。なんでかといえばそれがもともと家にあって、使用しなくなって余っていたからです。だから別になくてもいいです。塩素とか、どうせタンクの中に貯まっている間に、適当に抜けますし。

 上の写真は使うにあたって交換フィルタ以外を薬剤消毒しようと思い、分解したときに取り外したパーツ。写真の下三つが取り外したもの(普通に使用しただけだったのですが、かなり錆びて摩耗しているようだったので交換することに)、上三つは交換用のジョイント。G1/2の雄ネジです。何を勘違いしたのかステンレス製のものを購入してあったので、致し方なく使っていますが、別にステンレス製のものを使う意味はないので、普通に黄銅製(クロムメッキ)あたりでよいでしょう。ホームセンターの水道関係のコーナーに普通に置いてあります。

分解状態。両端はレンチを使用、中央は本体を回転させるだけで簡単に分解できます。同じ構造のものを繋げている感じで、二個三個と繋ぐこともできるでしょう。そんなことをする意味がないですが。

 ジョイントで繋いだところ。中にフィルタも入れてあります。上から付属の金属板をネジで固定すれば終了です。一応、INOUTがあるので接続を間違えないようにしましょう。分解しても、パーツには表記が印字ではなく型どりされて書いてあるので安心です。

 端はホースではなくフレキ管で接続したくなったので、ジョイントに変更しました。G1/2の規格はフレキ管の太さであり(またボールタップについているネジもG1/2です)、Marfiedのジョイントも、これと同じというわけです。もし違ったものであれば、違径ジョイントを使えばよいだけですが。あとは、水道管を分岐させ、浄水器を通してタンクに接続すれば完了です。

フレキ管による接続の図。シールテープを分厚くまきつつ、レンチで固定していきます。手元にあったフレキ管を流用したので、長さが用途に対してぴったりではないのはご愛敬。

 フレキ管は案外硬く、一度曲げるとまがり癖がつくので、名前ほどフレキシブルだという感じはしませんが、簡単に曲げられるのは事実ではあります。

 中央はガーデンスプレイヤーのような電磁プランジャ式ポンプなどの場合、リリーフバルブから出てくる水があるので、これをタンクに戻すものです。ノズルの数にもよりますが、十個や十数個ぐらいではリリーフバルブへの戻りが相応にあるので、タンクに戻すようにしたいところです。ダイヤフラムポンプなどはリリーフのラインがないので必要ありません。
 写真では何やらごちゃごちゃ塩ビ管でやっていますが、プラスティックのジョイントも市販されているので、ケースに穴を空けてそれを打ち込み、チューブを繋いでしまうのが一番手軽かと思います。(ごちゃごちゃとやったのは、たくさん水が戻されたとき、中で水がはねたりしないように、と考えてのことです。別に、写真のようにしなくても問題なかったかなぁという気がしなくもないような……)この部分には、別にそんな水圧は掛からないので、けっこう適当でも問題はありません。まぁ、そもそも電磁ピストンポンプやダイヤフラムポンプでは関係のない項目ですが。

 ところで、余談ですが、可能であれば、貯水タンクに、ボールタップが万が一壊れたときにオーバーフローの排水口を用意しておくのことをオススメします。過去に経験はないのですが、管理人は人生において一度でも部屋が水浸しになった(階下の人に怒られまくった)、という状況を経験したくないです………写真では備え付けていませんが(<ぉぃ)

 タンク内部。吸水はケースの底から。水を使えば水位が下がるからです。

 水が澱まないよう、エアレーションをするという意見もあり、悪くはないと思うのですが、その場合は吸水位置にエアレーションが入り込まないようにエアストーンをしっかり固定する必要があるでしょう。個人的には、貯水タンクの水を一日に一回全部使うぐらいの消費量であれば、必要ないような気がしていて、エアレーションはしていません。

 このケースは蓋をすると、それだけでかなりぴったりと閉まるのですが、管理人はシリコンで接着してしまっています。接着といっても、コンテナはポリプロピレン製なので、剥がしたいときには簡単に剥せるからです。そのように密閉する場合は、タンクに水が入りやすいよう、エアレーション用の一方向にしか空気が抜けない弁を蓋の上に設置する必要があります。まぁ、普通に穴でも問題はないのですけれど。

iconポンプとの接続 (>>menu)

▽ダイヤフラムポンプHF-8367との接続

 OSMO用加圧ポンプなどとして販売されているHF-8367の接続について。クロノスレイン向けとして販売されているAQUA GEEKのポンプも、管理人が調べた時点ではネジ山の仕様は同一のものでした。つまり、ポンプ本体部分はRc3/8のネジとなっています。これは国内で入手しやすい規格なので、特に悩むことなく、チューブフィッティングを注文できます。ストレートでも良いですが、エルボのほうが、何かと取り回しや設置に好都合かと思います。

 チューブサイズは好みのもので。管理人の場合は8mmですが、経路がそれほど長くなく、10個ぐらいまでのノズルなら、6mmで作ることもできると思います。このあたりはお気に召すまま気の向くままで良いでしょうが、取り敢えず、管理人がチェックしているのは8mmまでです。6mmまでは大丈夫だと思いますが、4mmでは個人的に細すぎてポンプに要らぬ負担がかかりそうなので辞めたほうがよいと思います。(検証や仕様からの計算はしたわけではありませんけれど)

▽ダイヤフラムポンプmistking:Large Capacity Diaphragm misting pumpとの接続

 mistkingのダイヤフラムポンプには幾つかのシリーズがありますが、そのうち、Large Capacity Diaphragm misting pumpとして販売されているポンプについて。mistkingでポンプを注文すべく個別の製品ページに入ると、チューブフィッティングについて選択することが出来、そこには"3/8や"1/4などの選択項目が表示されている筈です。これはチューブ径であり、ネジ山ではありません。この分かりづらさは、チューブの表記とネジ山の表記がどちらも同じように数字だけになっているせいでしょう。inch規格なので、数字が近いというのもあるでしょうか。尚、110V仕様と230V仕様の二つがありますが、この部分はACアダプタの選択を意味します。ポンプ本体はどちらを選択しても24V駆動のものが届きます。日本で24Vを出せるACアダプタを用意すれば、これに接続することが出来ますが、コネクタなどは電気屋などで作って貰う必要があるかもしれません。ご近所の電気屋さんにご相談ください。余談ですが、110V仕様のものを購入すると、対応電圧には幅があるものが同梱されてくるのですが、このアダプタは理由は定かではないですが、電気を入れてから駆動するまでに十秒ぐらいかかります。


 サイトには記載されていませんが、ポンプ本体部分のネジはRc3/8のミリネジとなっています。つまりは、OSMO用加圧ポンプHF-8367などと同様であり、PISCOの常時在庫品にありますから、それをそのまま注文すれば使えます。Oリングを入れるわけではないのでシールテープは巻いたほうがよいような気がして巻いています。ストレートでもエルボでも、お好きなほうで(写真はストレートです)。
 ただ、さすがにパワフルである――というか、このポンプともなればそれなりの規模で使うのでしょうから、チューブサイズは、8mmあたりがよさそうな気がします。まぁ、6mmでも(仕様を見る限り)問題ないようですが、管理人は8mmでしかチェックしていませんので、6mmで使用した場合についてはコメントしかねます。

 国内で販売されているR3/8のパーツは、17mm六角ナットになっているので、17mmレンチがあれば固定は簡単です。ただ、もともとついている樹脂パーツはインチのナットなので、ミリレンチではフィットしません。モンキィレンチか、そんなに固くは締まっていませんので、樹脂パーツが傷ついてしまうことが許容できるならペンチなどで外してもいいと思います。捨ててしまうならば、気にすることはないでしょう。管理人は取り外して何となく保存していたのですが、使い途もないので一年ぐらいして捨ててしまいました。

▽電動噴霧器GARDEN SPRAYERとの接続

 工進のGARDEN SPRAYERは、現在ではマイナーチェンジをしたようですが、吸水口、出水口、中央下にあるリリーフバルブから出てくる余水の出水口の位置などは変わっていないだろうと思います(そも、変わっていたからって別に困らないですが)。バルブの位置が移動したようですが、このバルブは利用しないので無視してよいでしょう。起動時は最低圧にしておかねばなりませんし、始動時の圧力、つまりこのポンプの最低圧力が、ミスティングシステムに適した1.0MPhaであるからです。これ以上の圧力を出すポンプはタイマー制御のミスティングシステムに向きません。
 余談ですが、管理人の居住場所は電力周波数が50hzの地域です。そしてこのポンプは、電源コードからそのままモータに接続される回路であるため(だからこそ電源コードの間にタイマーを入れればそれで制御できる。そうでない電子回路でスイッチされている製品は、普通にタイマーを繋いで制御などできません)、60hzではパワーが増すという仕様であるようです。ただ、多少増したところで、ULKA社のそれよりは低圧なので、問題はないと思います。

 まずは吸水口。規格はG1/2A。塩ビパイプのネジつきのものを接続し、さらにホースに繋げられるようにします。ここには圧力が掛からないので、フレキ管などである必要性がないからです。
 ここの部分は、付属のホースがあり、そちらを利用すれば省略可能ではあります(管理人は付属のチューブが古くなったので、捨ててしまったのです)。写真ではエルボにしていますが、これはあまり意味がなかったような気がしなくもないような………(貯水タンクの位置が上だったので、こうしたのですが)。

 出水口のネジ規格はR1/4です。此処にチューブフィッティングを接続すればよいので、「チューブフィッティング」シリーズの「メスストレート」から、チューブ外径を6mmにするなら「PCF6-02」を、、チューブ外径を8mmにするなら「PCF8-02」を、選べばよいことになります。写真は、違径ジョイントというものを使って、ストレートジョイントを接続していますが、これは手元にそれが余っていたからで、わざわざこれをやる必要性はありません。
 余談ですが、プロフレックスなどから購入できる「ねじこみ・溶接用継手・スイベル」あたりのパーツも、黄銅製でも耐圧7.0MPaですから利用可能です。「黄銅製ねじこみ継手 > チーズ 」を利用すると、ポンプ手前での分岐を簡単にすることが出来ます。チーズ(三方Rcメネジ) をポンプに繋ぎ、Rc1/4規格のストレートジョイントをねじ込めば良いわけです。この時点で、チューブが6mm管のものと8mm管のものをそれぞれ繋ぐということも出来るでしょう(意味があるかは別にして)。いずれにせよ、対応製品は幾つもあるので、好みで組み合わせればよいかと思います。

iconネジを刻んでみよう (>>menu)


 上がSTRAIGHT HSSタップ 1/8-27 NPT、下がSKのRc1/8-28PT

 ネジを刻む話。

 組み合わせだけでなく、ちょっとした工作をすると、いろいろ幅が広がるかもしれません。国内では、あまりノズル単体が安価な価格で売られているということはないのですが、例えば壊れた霧吹き。ノズルは大丈夫だけど、ポンプや、加圧するタンクの部分がダメになってしまった………ノズルなにかに使えないかなぁ、とか、そういうこともあるかもしれません。では、ないならば、そういうものを作ってみるといたしましょう。身の回りにある、いろいろなものにネジを刻んで、ミスティングシステムに接続してみる――そんな実験コーナーがここです。
 作ると言っても、金属やプラスティックの塊からパーツを削り出すとかそういうことをするわけではありません。既製品を組み合わせたり、ちょっとした改造を施して、最終的にPISCOのチューブフィッティングに接続できるようにすること――メイクではなく、コラージュのような作業です。

下穴の話


 藤原産業株式会社のオリジナルブランドSK11マルチドリル (AA) 。写真は11mmの穴を空けられる製品。六角軸になっており、電動ドライバなどで使用可能となっている。ホームセンタなどで販売されている電動ドリルの多くは、10mmまでしかチャックが開かないので、大口径をあけるにはこうした六角軸のようになっているドリルビットが便利。

  アクリルに穴を空ける場合、プラスチック・アクリル用ドリルと呼ばれるものを使います。これはスパイラルの入り方や、ドリルの刃先が片面になるなど、独特のドリルビットで、こうしたドリルでなければ、例えば鉄工用ドリルビットを使用すると、ドリルが穴を最後空けきるときに、刃先がアクリルに噛み込んでしまい、粘りのあるアクリルを周囲から巻き込んで、結果、穴の周辺を破砕することになってしまいます。このような工作――対象に適していない工具で加工しようとする行為は間違っており、こんなことをするとたいへん危ないです。チェーンソウで大木は切れますが、絡みつくゴムや鉄線を束ねたものを切ろうとするのは愚行です。
 アクリルドリル(プラスティックドリル)、鉄工ドリルから改造したアクリル用ドリル、SK11のマルチドリル (AA) (マルチドリルとだけ言った場合、別のものも含むので、このような表記で)など幾つか使ってみましたが、個人的にはマルチドリルがオススメです。そもそも10mmを超えるサイズの穴の場合、鉄工ドリルを改造しても電動ドライバがこの大きさに対応していないので意味がありません。そんなわけで、SK11ブランドで、マルチドリルの名で販売されているものは、どれもそうだと思うのですが、一応六角軸と書いてあるものを購入するのがよいでしょう。

 さて、プラスティックは、力を加えて抜こうとすると十中八九、割れたり、穴の周辺にひびが入ったりしますので、回転の速度で少しずつ削っていくのが綺麗に穴を空けるポイントです。また、穴をあける際は万が一を考えて、必ず保護ゴーグルをして作業しましょう。

 余談。先にちょろっと触れたアクリルドリルや鉄工ドリルを改造したアクリルドリルビットについて。そもそも鉄工ドリルを改造するというのは推奨できない行為であることもこの上ないのですが、けっこう有名な手法でもあるので触れておきます。

  アクリル用ドリルビットとは、これは実物を見ると、刃がついていないドリルという感じの代物です。見た目、なんか子供が書いたドリルビット、みたいな感じでしょうか。鉄工ドリルを改造するというのは、これと同じ、つまり刃を削るということです。

  鉄工ドリルには、素材に咬み付いて穿孔するための刃が付けてあります。これを削り取って平滑にしてしまおうということですが、ただ、この作業には電動グラインダが必要になり、却って大事になってしまうような気がします。まぁ、棒ヤスリとダイヤモンドヤスリで、やろうと思えばできなくもないでしょうが………。
  いちおう、どのような加工をするか書いておくと、まず、中心から僅かにズレたところから、ドリルの刃先の片側の刃をヤスリで削ります。穴の芯が外れないように、中心の部分は手を加えないほうが無難です(ただし、段差を作るのではなく、中心から滑らかに斜めに削っていくイメージ)。次に、刃先の端の部分もまた、鉄工ドリルでは鋭くなっていますが、この部分もドリルの垂直軸に対して平行の角度で削ります。刃先は、本来は穴が開きやすくするために設けられているのですが、素材によって、最適な刃のすくい角が変わってきます。この二つの削りは、ドリルがアクリルを貫通するとき、刃先がアクリルを噛み込まないようにする為に施します。

 ………ただ、やはり加工精度によってドリルにどのような過負荷がかかって破損するか知れたものではないので工作がよほど得意である、という場合を除いて、この方式はとらないほうが良いと思います。このサイトでも推奨しません。まぁ、管理人は工具に関して金銭感覚がずれているきらいがややありますが、マルチドリルは安いと思うので、これをオススメしたいと思います。

隔壁の話


 写真は、OSGのスパイラルタップM12*1.0

 ビバリウムの外と内側を繋ぐと同時に、ビバリウムの天井あるいは側面などにノズルを設置する役割は、隔壁ユニオンなどと呼ばれるパーツの役割です。
  ところでこの隔壁ユニオン、PISCOの製品では、ユニオンPM4M(「チューブフィッティング」シリーズの隔壁ユニオン)、径がM12*1.5というネジになっています。これはM12ネジで、ピッチが1.5の製品ということです。 Vivaria Projectの隔壁ユニオンはLEGRISというメーカの製品で、M10*1.0というネジになっています。このため、国内のガラスビバリウムの天板には、10mm径の穴が空けられているのが通常です(このあたりは、おそらくドリルのコストが関係しているのでしょう)。M10のネジだと、10mm径よりも小さいから、スルーする形になり、両側からネジで固定しているわけです。
 M12の製品であるPISCOのユニオンPM4Mは、この穴には通りません。そこで、上にもあるように、チューブフィッティング・ミニのシリーズの隔壁ユニオンを使う必要があります。こちらは、4mmチューブ用でM10*1.0となっており、その場合でも通るからです。

  アクリルでケースを作るときは、一度空けた穴を大きくするのは可能ですが加工が些か面倒ですし、小さくすることは出来るはずもない。どれぐらいの穴をあけるべきか、よく考えてあける必要があるでしょう。10mmで良いのか、ユニオンPM4Mを使うことにして、12mmの穴をあけるのか。11mmの穴をあけて、タップでネジを刻むのか。

 管理人は、なんかネジが好きなので(好きは全てに勝る理由です)、ネジ山を刻んでいます。国内で入手しやすいパーツで一番安価なものがM12*1のユニオンであったことから、先述の11mmマルチドリルで穴を空け、M12のタップ (AA) を使っています。管理人のようにネジを刻む意味は殆どないのですが、もしネジを刻みたいならば、注意すべきは、M12であっても、ピッチを確認するということです。同じM12でも、ピッチが異なる複数の種類があって、当たり前ですがピッチが違う製品ではネジは合いません。…………ただ、最近、管理人は自分自身、なんでネジ山刻んでいるのかなぁ?と疑問に思っているらしいです。だって12mmマルチドリルで穴をあけておけば、ひとまず殆どの製品で問題ないのですよね、ネジ切らなくても。なのに、なんでネジ刻んでいるのか? ……まぁ、強いて言えばもともとは振動でずれたりするのがいやだったからんですが、ダイヤフラムポンプを使っている現状では、振動も殆ど問題にならくなっているので、いよいよ刻む必要性が無くなってきております………

 ところで、こうした工具の代金も莫迦になりません。管理人のようになんか色々他にも作っているという場合はさておき、ミストシステムだけの為に購入するには、タップなどは高い代物です。だいたい2000-3000円ぐらいはするので、これで幾つ穴をあけるか?という対費用効果を考えますと、チューブフィッティング・ミニのパーツに対して、幾ばくか安価な製品のものを使うとして、差額で相殺できるまでにどれぐらい必要か――厳密には送料も関わってきますが、ざっと計算して答えだけ書いちゃいますと、25-30個ぐらい作って、ようやっととんとん、というぐらいでしょうか。
 したがって、今後将来含めてもノズルを固定する穴をあけるのは、30個を超えることはなさそうだな………という場合は、チューブフィッティング・ミニのシリーズの隔壁ユニオンがオススメです。管理人がこのあたりのM12とかをほいほい穴をあけてネジ山を切っているのは、もともとタップとかドリルチャックが手元にあったから、というところが大きく、正直、いまから始める人には、M10のチューブフィッティング・ミニのシリーズの隔壁ユニオンが良いのではないかな、と思います。また、そもそもガラス既に穴が空けられている場合は、他に選択肢はありません。これからガラスに穴を空けたい、という場合も、ガラスドリル (AA)10mm程度までのものが安価なので、それを選択するのが正しいでしょう。ただ、このサイトでは管理人の個人的な趣味といいますか、こだわりとして、ガラス切りや、ガラスドリルの使用を推奨していません。理由は他の素材に比べて加工する際の危険度が高いからで、そうした素材の場合は加工しなくても済むようにしていく(あるいは加工業者に頼む)というスタンスで、このサイトは書いています。

ネジを刻まなくても良いんじゃ無いか?という話

 よくよく考えてみますと、そんなに固定する力は強くなくて良いのではないか?という気はしませんか。ビバリウムの天板の下にあるのはミスティングのノズル、せいぜいがエルボを組み合わせたフレキシブルノズルだけであり、重量は大したことはありません。であれば、わざわざ隔壁ユニオンをつけずとも、チューブを両側からワンタッチジョイント――ユニオンなりエルボなりで挟んでしまえば使えるのは?という疑問を持たれないでしょうか。

 実のところ、これはかなり使えます。4mm+0.1mm程度の径で穴を開け、そこにチューブを通し、長さを調節して両側から挟み込むようにワンタッチジョイントに押し込む。それでかなりの安定を得られます。

 ただし、振動が強い場合、このジョイントが上下に揺れることでチューブの入りが弱くなり、抜けてしまうという可能性は否定できません。ダイヤフラムポンプで使ってみた感じでは、一年やそこらで抜けたというものはありませんでした。ただ、確実性ということに関して言えばよく分かりませんので、大丈夫だと保証しかねるところではあります(まぁ、このサイトは基本あまり保証とかしないのですが、それでも、いちおう検証してみて問題はないかな、と管理人が判断したものを書くようにはしているのです)
 

iconインチチューブか、ミリチューブか。 (>>menu)


DirectBeeとポリプロピレンコンテナ以前作った貯水槽。水道栓を分岐させるジョイントと、水道のG1/2ネジに接続し1/4インチチューブになるメスストレートパーツが同梱されていた。フィッティングになっているので、1/4チューブを伸ばしてこの本体まで繋げる。簡単に水道を伸ばせるので、フレキ管でやるよりも流量は少ないが便利ではある。こういった製品はだいたいインチチューブを採用している。。(写真ではクリアなボックスで作っているが、色付きで作るべきだと、これを作って運用して思ったので、この頁では色付きを推奨している。浄水器部分の交換パーツのコストを考えて、使わなくなってしまった。

 このサイトで紹介しているチューブは、フローバルのものであれPISCOのものであれ、空圧パーツを利用している関係から、ミリチューブを紹介しています。
 経路が長ければ長いほど、国内で入手するにはインチ・チューブのほうが高くつくというのが最大の理由です。ノズルまわりのフィッティングを作るのに使うジョイントも、国内パーツで揃えたほうが追加で欲しくなったときに入手が簡単であり、安価になります。
 先に書いたように、空調パーツ用のチューブではナイロン製のチューブとポリウレタン製のチューブの二つがあり(ただし、これらのチューブは使用流体として水をちゃんと想定しています)、このサイトでは4mmの場合はポリウレタンを(6mmでもポリウレタンかな)、8mmの場合はナイロンを推奨しています。このチューブひとつとっても、インチ径で揃えると、PISCOの高いものであっても、インチに比べればちょっとPISCOのほうが安いし、20m以上なら確実に安い。もっと安価なフローバルのものから選んでくるならば、半額以下です。4mmになるとナイロンチューブではなくポリウレタンチューブになるので、また価格差が出てきます。
 インチのジョイントは、国内で買うとけっこうな価格がしますし、いちいちパーツを輸入すると送料だけでけっこうなものが掛かってしまいます。
 このインチのパーツは、英国の水回りメーカーであるJohn Guestのものをはじめ、幾つかのメーカーのものがあるようです。国内でも、多くの飲料機械やプラントに使われているとか。チューブは国内で出回っているものは主にナイロンでしょうか。丈夫なのだと思いますが、少々堅い素材であるため、取り回しではポリウレタンに軍配が上がる気がします。耐久性は、少なくとも10年ぐらいでは目立った問題も出ないのでどちらが優れているかは判断しかねます。

 そんな訳で、自分にとってよいと思うものを使えばよいでしょう。管理人は年に一回ぐらい追加したり経路を飼えたりするので、コストを重視してポリウレタンチューブが使えるミリ規格が好きだというだけです。

 現在使っているものとは違う規格のほうが良いな、と思ったとき、途中から変更するのはある程度パーツが手元にあると、これを活用できないのは勿体ないな、と思うのは自然なことです。サンクコストと分かっていたとしても。

 チューブやジョイントならともかく、電磁弁やポンプなどで、製品としてインチチューブが組み込まれて作られているものとか。例えば熱帯魚関係の浄水器は、本体に組み込まれているのは水回りのパーツになるので、インチ仕様が多いようです(ただ、本体組み込みは少なく、大抵はネジジョイントなので、此の部分を交換すればよいだけ、というものが多いのですが)。

 あるいは、現在作ったケースやミスティングシステムはそのまま使用しつつ、新しく作ったものは別の規格で作り、ポンプを共通のもので回したい、という事もあるでしょう。

 そういう場合は、コネクタを組み合わせて、インチとミリを接続してしまえば簡単です。こういう接続を想定した製品が、インチからもミリからもちゃんと出ています。(かつては違径ニップルでインチ-ミリのものがあったような気がしたのですが、これを書くに当たって探してみたところ見つかりませんでした。記憶違いかもしれません。)
 方法は幾つかあるにせよ、安価なものを選ぶとすると、PISCOのレデューサー PGJのシリーズか、違径ユニオンストレート PGシリーズを使うのが良いかと思います。
 インチチューブで使用されているのは、主に1/4インチと3/8インチのようなので、それに対応するものを選びますと、

PG12-3/8 12mm 3/8inch
PG1/4-4 1/4inch 4mm
PGJ8-1/4 8mm 1/4inch
PGJ12-3/8 12mm 3/8inch

 といったところでしょうか。
 レデューサーは、フィッティングのほうとニップルのほうの、どっちがインチでどっちがミリか把握しておくことが大切でしょう。というか、使い方としては、インチの経路とミリの経路が完成している上で(例えばビバリウムのそれぞれとかで)、その経路に接続する直前で変換するというのが一番あり得そうです。その場合は、細ければ違径ユニオンのPG1/4-4で接続するので足り、長い経路の場合は太いチューブでしょうから、PGJ8-12 + PG12-3/8であるとかになるでしょうか。12mmのチューブで経路を作っているなら、PG12-3/8で事足りますが。

 PISCOのシリーズでなくても、浄水器パーツの中にも、チューブ→ネジのトレートジョイントに変換するパーツがちゃんと存在します。これはネジがG1/2規格になっているもので、おそらく水道管に直結できるようにするためのものでしょう。従って、これにPISCOR1/2ミリ用オスネジのチューブフィッティングを接続すれば、ミリチューブに変換することが出来るようになります。

 このように、アダプタの類が豊富にあり、ミリ-インチは簡単に変換可能です。既に作ってあるインチの経路はそのままに、新しい経路はミリとしても、何ら困ることはないでしょう。インチとミリで、それぞれに好きなパーツがあるなら、それぞれのいいとこ取りをしてしまうことも出来るかと思います。

icon振動によるノズルの破断について (>>menu)

 写真はコニカル スプレーノズルConical Spray Nozzle 1/8"NPT)を真鍮製のPISCOPCF4-N1U」( 1/8"NPT規格にネジが切られた「メスストレート」)に接続したものです。
 通常、メスストレートのねじの深さが、ノズルのそれに比べて少ない為、4mm程度の隙間が生じます。これを調整する意味もあって、通常、写真に写っている白いリング、若しくは上で紹介しているような自作の樹脂製リングを咬ませます。これは見映えを良くするという意味もありますが、メスストレートにOリングを咬ませてシーリングをしている場合、Oリングを破損させないレベルでの締め付けに上手く調節させる機能という意味合いもあります。
 ただ、シールテープでシーリングをする場合は、このリングは見映え以上の意味はないと言えるでしょう。

 このリングは通常、ノズルの径に対して余裕があるため、この隙間をシールテープなどで埋めておかないと、ミスティング作動時の振動で、ノズルの根本に負担を掛けることになります。
 これは、リングの片方が接触しているのが金属製であるため、摩擦が弱く、強く締めても固定されるには至らないからだと推察されます。おおよそ、一年程度で疲労により破断するようです。
 ただし、単体でノズルに接続している場合は、振動が弱いのか、一年二年程度では破断しません。写真のようにT字エルボを使って固定している場合に、一年程度で破断しました。このような接続は一般的なものですし、五年や六年使っても破断しないものでなければ実用品とは言えませんから、これは構造的に欠陥だったと言えるでしょう。

 ただし、破断までの期間は、どのようなポンプを使用しているか、どれぐらい振動を与えるものであるかということも関係してくると思われます。今回は電動噴霧器だったので、かなり振動が強かったです。

 対策は、そもそも意味のあるものではないので、リングを付けない、ゴムワッシャーを咬ますといったところでしょうか。見映えと機能を重視するなら、ノズルのネジを適切な長さに切断してしまうのが良いかという気がします。ただ、振動がそもそも少ないダイヤフラムポンプでは、このあたりの事は心配しなくてよいように思いますし、電磁ピストンポンプでもこうした問題が起こったことはないので、気にする必要はないかもしれません(試しに耐久実験してみたのですが、そうでした)。

 自作ノズルには――というより、これは振動の強いポンプを脈動対策なしに使っていると、こういった事も起こることもあるかも、という小話でした。 ダイヤフラムや電磁ピストンポンプには関係のない話で、またエアチャンバを咬ませている場合も、気にする必要はないでしょう。

iconタイマーについて (>>menu)

 ミスティング・システムを作るからには、タイマーによる制御というのはワンセットでしょう。休んでいても病気になったりしても、いつでもミスティングをしてくれる、という安心感は素晴らしいものです。
 タイマーですが、管理人の一押しは、REVEXというメーカーのデジタルプログラムタイマーIIというものです。色は二種類あって、ホワイトPT50DW (AA)グレーPT50DG (AA) があります。メーカー直販サイトもあるので、そちらでも購入可能です。まぁ、安く買えるところで買えばよいでしょう。よくあるタイマーでは設定が大雑把すぎてミスティングシステムには役立ちません。よくあるタイマーというのは、照明制御用の、5-15分刻みのものとかです。飼育用品では、熱帯魚蛍光灯用タイマーがメジャですが、これらも良くて1分単位の設定までしか出来ないものばかりです。
 ミスティングは、日に何回か、例えば、朝、昼、夕方、夜の四回ぐらい動かしたい、という要望が出てくるはずです。これを叶える製品としては、NISSOのウィークリータイマーというものがありました。しかし、これも一分間刻みでしかプログラムできませんでした。

 リーベックスのタイマーは、一秒単位で週間14プログラム(ON-OFFワンセットで1プログラム)の設定が可能となっており、ミスティング・システム・ユーザー待望の品ではないかと思います。また、こうした電子式のタイマでは、メモリ用にボタン電池が必要なものが一般的だったのですが、リーベックスのタイマーは、メモリにボタン電池を使用せず、内蔵する充電電池で時刻やセッティングをメモリしてくれるのも魅力です。2011年現在、管理人はタイマー関連ではこれが一押しかな、と思っています。

 尚、リーベックスのデジタルプログラムタイマーIIのパッケージ裏には、使用できる電気器機の注意書きがあり、そこには、「モーター使用器具 400W以下 ……扇風機、換気扇、ポンプなど」とあります。ヒーター使用器具では、1500W以下まで使用できるのに、なぜモータの場合は400W以下なのかは、始動電流というものが関わってくるからなのですが、正確な解説をすると長くなるのとたいへんなので省略いたします。いずれにせよ、この数値を上回らないように注意することは大切です。
  ポンプに目をやってみますと、工進のガーデンスプレイヤーで出力は250Wであり、一個であれば余裕で制御してくれるということになります。ULKAなどのエスプレッソマシンに入っているポンプは、製品にもよるので一概には言えませんが、例えば管理人の手元にあるものでは、52Wなどと表記してありますから、三個か四個ぐらいの使用ならば問題はないでしょう。いずれにせよ、使用するポンプの仕様をよく見て、無理のない範囲で使用してください。

icon終わりに (>>menu)

 あとは、チューブフィッティングで接続して終了です。
 メインに12mm8mmのチューブを使っているなら、ノズルのユニオンの前で4mmに変換しなくてはいけません。管理人は違径ユニオンティーの8-4のものを使用して、いちいちユニオンの真上で変換するスタイルを好んでとっていますが(このほうが長い距離を運ぶ際に有利であり、ポンプに負担を掛けないからです)、このあたりは好みでしょう。各ケースの処で4mmに変換し、ケース周辺の数個は4mmで繋ぐ、というのもありかと思います。このあたりは、ポンプに何を使うかも関係してくると思いますけれど………。

 いずれにせよ、そのあたりを含め、何もかも、お気に召すまま気の向くまま自由自在に。それでは、よいミスティング・ライフを!

>>Back