三令幼虫 シルクワームとは、詰まるところ蚕です。我が国は、嘗ては紡績業で名を馳せたらしいですが、最近は繊維関係は衰退気味ですね。
蚕の累代養殖には以前は許可が必要だったのですが、昨今は必要なくなったそうなので、累代しちゃって問題ないようです。
だから、此処で言う飼育方法というのは、小さいシルクワームを買って、大きく育てて餌にしよう!というノリですから、誤解無き様。
却説、蚕は遙か昔の中国の書籍に出てきた時点で蚕だったそうで、そもそも何処から来たのか未だミステリーは闇の中。一体何処の誰が、何処からどうやって此の虫を導入したのか、記録に残っていないのです。記録されない過去は消え去るのですよ(by京極堂)と言わぬばかりに、世の無常観を少し感じたり感じなかったり。
そんな遙か昔から人間と共に在り続けている蚕さん。最近はシルクパウダーが美肌効果があるらしいですわよ奥様? という事で世間一般でも人気かと思いますが、飼育は簡単です。
此奴ら、あんまり逃げませんし………餌があれば、その中で延々食べ続け生き続けるという謎な昆虫さんなのです。
この虫を飼育する上での最大の問題点は、餌です。此奴ら、兎に角朝から晩まで食べ続け、食べさせないとアッサリ死にやがります。大凡、一日に自分の体積と同じかそれ以上の物体を食します。
そして、極めて偏食であり、桑の葉っぱしか食べません。他のに餌付けるとか、そういうのは無いです。
よって、桑の葉っぱを確保出来るかどうかが勝負です。余程大きな樹木を用意しない限り、言っちゃなんですが一ヶ月で無くなりますぞ、葉っぱ。近くに桑の山でも発見し、其処から毎日取って来るならオーケイです。
葉っぱですが、乾いてないと死にます。
なんとなくオオミットサラマンダーを彷彿させる素晴らしさで、葉っぱが濡れているだけで死にます。ぐずぐずと。さよ~なら~とばかりに死んでいきます。よって、雨に濡れている葉っぱは、布の間に挟んで、しっかりと水分を除去して与えてください。
入れ物ですが、正直蓋とかは要りません。此奴らは、餌が在り続ける限りは、何処かへ逃げるという発想が存在しない様で、脱走とかは殆どないです。気になるなら、網戸の網でも掛けて置けば問題なしです。まぁ、餌が無くなった場合は知りませんが………
入れ物ですが、衣装ケースでもよいのですが、兎に角此奴ら糞を沢山します。糞自体は固形で乾燥しており、悪臭も放ちません(桑の葉っぱを食べてるからですかね)。然し、毎日結構な量が出るので、掃除は面倒です。蚕自体を、金網で出来た駕籠の様なものに入れ、そこで飼育しておけば、糞は基本的に下に落ちますし、軽く駕籠を振るだけで引っ掛かってるのも落ちるので楽と言えば楽です。
只、其処までやる価値がある餌昆虫なのか、という気がかなりするのですよね……
大きくなった蚕は繭を作ります。段ボール箱などの中に、厚紙で格子を造り、その中に一匹ずつ入れておくと、その中で綺麗な繭を作るので、一見の価値があります。
このまま暫く保存しておくと、蛹から羽化し、茶色い液体をお尻から出して、繭を溶かして出てきます。成虫の寿命は短いのですが、一緒にしていれば直ぐに交尾をします。平和的です。雌は黒く細かい粒状の卵を綺麗に大量に産むので、白い紙を折って入れておくとよいでしょう。
此処から孵化した一令幼虫は真っ黒で可愛いのですが、育てちゃいけないらしいので、この辺で焼却するしかありません。冬の場合はそのまま冷やしておけば、孵化はしないですよ。
蚕の段階で切り開いて、蛹を取り出せば、綺麗な状態の繭が手に入ります。煮て、だし汁で顔を洗顔するもよし、食べるも良し。
繭の状態で煮込み、繭から糸を引っかけて引っ張り出して、割り箸に巻き付けて行くと、絹糸が手に入ります。数本を縒って、一本にするのです。まぁ、糸を得たところで使い道はないのですが、手編みが得意な人は何か作ってみるのも吉です。
時に、シルクワーム用の餌、シルクメイトというのがあるそうですね。桑の葉っぱを加工したものなのでしょう。冬場はどちらにしろ、桑の葉っぱが存在しないので、餌昆虫として冬場にも活用するには有効そうです。僕は使ったこと在りませんが………。
まぁ、植物食の幼虫なので、沢山桑の葉っぱを食べたところで生き物に与えれば、不足がちな繊維質を摂らせる事が出来そうです。大型の爬虫類を飼育する上では、選択肢の一つとして有効かもしれませんね。