ビバリウムをつくろう/make:vivarium for Posion Dart Frog

 

◇◆  ビバリウムの内装をつくろう ◆◇
このページについて/About this page
 ▽内装:カッティングシートの水貼り  ▽内装:発泡スチロールとウレタンフォーム
 ▽内装:下地表面の調整/パテを塗って固くしてみる
 ▽内装:2成形ポリウレタン樹脂系シーリング材
 ▽内装:ピートモスとかを撒いてくっつける
 ▽用土入れ、植物を植える
 ▽付録:植木鉢をウレタンフォームに埋め込む
 ▽終わりに

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 ビバリウムの内装をつくってみよう。今回はビバリウムの作り方のうち、内装の作り方です。とくに、ヤドクガエル向けとなるビバリウムの内装になります。

 せっかく大きなケースを用意したのなら、見栄えよい内装にしたいもの。熱帯雨林っぽさを出すにはどうすればよいでしょうか?

 このページは、自然素材だけでなく、発泡スチロールなどを使って、それっぽいビバリウム内装を作る方法について書いたものです。写真は主にアクリルで作った自作ケースのものなのですが、市販の水槽でもガラスケースでもアクリルケースでも、特に関係なく応用が利くと思います。

 ただ、通常販売されているケースだと、ひとつ問題があって、背面や側面が透明です。このままだとちょっと作りづらいので、シートを貼りましょう。

icon内装:カッティングシートの水貼り (>>menu)


 

 カッティングシートは住友3Mなどが販売しているもので、耐候性のある塩化ビニールのシートの裏に接着剤が塗られたシールのようなものです。耐久性により値段が変わります。住友3Mだと製品名称はスコッチカル(RA)。同じジャンルの製品は他にもありますが、使っていないのでよく知らないです。

 カッティングシートを貼り付けるメリットは、ひとつは作り替える際の保険です。表面に貼り付けておけば、ガラスケースなどのケースに内装を施した後、リセットしたくなったときに簡単に綺麗に戻すことが出来ます。まぁ、剥がすのもそれなりに大変なのですが、塗ったシリコンなどを剥がすのに比べれば楽なものです。なにより綺麗に剥がせますからね。

 もうひとつ、というよりこれが最大のメリットかと思いますが、透明なケースに内装を作る際に、カッティングシートを貼り付けておけば、内装と壁面との接着面を隠すことが出来るということです。いきなり何かを万弁なく塗るならばまだ問題はないですが、例えばベースとなる発泡スチロール素材をシリコンで接着したり、ウレタンを吹き付けたりした場合、それが外から見えてしまいます。何かと見苦しいですし、ウレタンフォームは紫外線が当たると劣化してしまいます。色が変わるぐらいならまだよいですが、剥がれてしまったら厄介です。それを防ぐ意味でも、ブラック、グリーンなどのカッティングシートを貼っておくとよいと思います。個人的にはブラックか、モスグリーンがオススメです。とかいいつつ写真はブルーですが。

 カラーアクリル板で作ったケースであれば関係ないし、作り直すときのことを考えないなら気にしなくてもよいでしょう。


 

  カッティングシートは水貼りという方法がよく知られています。まず、貼り付ける面に水を霧吹きします。ごく薄い洗剤(石鹸水)でやるという話もありますが、管理人は水のみでやっています。水でも十分可能でしょう。折り重ねて貼ればよいので、一枚の大きいもので全部を一度に貼る必要はありません。両側面、背面をそれぞれ数枚で貼った上で、角を貼るので十分です(写真の右だと、左側面の色が濃くなっているところが重なっている部分。これが気になるなら、一枚で仕上げるしかないが………)。

 写真はスクイージーというものを使っていますが、別にこんなものなくても、プラスティックの定規で十分です。どこか中央部に水が残ってしまったら、針で穴を開けて、圧力を加えて水を出すようにすれば、綺麗に仕上げられます。

 カッティングシートを貼る場合の注意点は、背面も側面も上まで完璧に貼ってしまうと、ケース内部が意外に暗くなるということです。写真のような小さいケースだと特にそうですね。
 とはいえ、まぁ、ここでは背面も両側面も色々塗りまくって内装を作ろうという話をする予定なので気にしないことにしましょう。暗くなったなら照明を当てればよいんですよ。

icon■内装:発泡スチロールとウレタンフォーム (>>menu)


 発泡ウレタンフォームには、いろいろな製品がある。管理人が好んで使うのは、ABC商会インサルパック(RA)(左)か、セメダインのハイスパンフォーム(RA)(右)。製品により色が異なるけれども、上塗りするのであまり気にする必要はないんじゃないかと。

 さて、カッティングシートを貼ったなら、いよいよ内装作りの始まりです! 色付きアクリル板で作ったなら、いきなり貼り付けるのでもオーケイです。このへんはお好みで。

 さて、発泡スチロールとかでビバリウムを作るのってどうよ?と思われるかもしれません。

 もちろん、自然素材だけを使ってビバリウムを作るのもよいと思います。ただ、それでもバックパネルや側面はどうするか、という問題が出てきますよね。何も貼り付けないという手もあります。なにしろ、発泡スチロールボードなどを貼り付ければ、その厚みの分だけ容積が減ってしまいます。別に発泡スチロールに貯水能力があるわけでもないですから、この板というのは削ったり炙ったりして凸凹を作るためにあるだけで、厚いことにはあんまり意味がありません。厚みはいらんな……凸凹はいろいろ盛りつけることで出そう、という風に考えるならば、壁面にいきなりピートモスを貼り付けるのでも問題はないでしょう。空調管理をしている場合はケースの外気が極端に低いということはないでしょうから。ただ、もし空調で温度管理をするのではなく、水循環タイプのビバリウムを作ろうと考えているならば、分厚い発泡スチロールだと断熱の効果がありますから意味があるでしょう。

 それに、平面で盛りつけるよりも、発泡スチロールを削ったり凹ませたりした上で、いろいろ貼り付けて造形するほうが楽しいです。

 もともと管理人も、自然素材だけで作るのが好きだったのですが、自然素材で作ろうとすると大きくなればなるほど重量が増してしまい、移動することが難しくなるという現実があり、取り敢えず試しに発泡スチロールとかで作ってみたら、案外、面白いものが出来たので、これはこれでアリかな、と思っていたりします。

 今回は発泡スチロール板と発泡ウレタンフォームで作ってみるとしましょう。シリコンを使い、壁面や両側面に発泡スチロール板を張り付けていきます。写真は発泡スチロール板だけではなく、家電製品の梱包に使われていた発泡スチロールなども使用。ただしこのとき表面にシリコンが付着したりしないように注意しましょう。後で上塗りするときに、シリコンが弾いて塗れないからです。

 貼り付けたら、残りの部分や隙間などにウレタンフォームを吹き付けていきます。もちろん、ウレタンフォームを吹き付けるときは、その面を下にしましょう。下にしなくても案外付着するものですが、さすがにプラスティックの植木鉢をウレタンフォームで固定してみたり、吹き付けたところにコルクバークを乗せて、固定したりとなると、その面を下にしたいですね。植木鉢をウレタンフォームに埋め込む細かいやりかたについては後述しておきます。  

 以前は、コルクバークなどをウレタンフォームで埋め込むようにして固定し、他の部分を塗るという方法をとっていました。なので、このサイトでもウレタンフォームにコルクが埋め込まれている写真が幾つか出ています。ですが、現在ではこの方法はやらないことにしています。

 理由は幾つかありますが、ひとつはコルクというものがビバリウムのような常時濡れている環境では水分を吸収し、とても柔らかく重くなってしまうこと。それにより、コルクを通してウレタンフォーム内部に湿度が浸透することは、良くないのではないか、という懸念が生じた為です。特にウレタンフォーム表面をパテで塗装し硬さを出した場合、水分がコルクの端を通してパテに浸透すると弱くなるのではないか、という問題があります。石膏系ではないパテの場合、実用強度に問題が生じるといったことは、一年以上使用していて発生していません。ですが、五年十年は使いたいので、不安材料は無くしておこう、というわけです。
 従って、活着する植物のうち、それなりに大きいもの、ブロメリアやビカクシダなどの重量のあるものを壁面に植え込みたい場合は、コルクバークやヘゴ板を埋め込みやすい形状の空間をあらかじめ作っておき、コルクを土やミズゴケなどで埋め込んで固定する方がよいかな、と思います。それに、それほど大きくない活着性の蘭などであれば、コルクでなくてもそこそこ活着するようです。
 ヘゴも同様の理由と、そしてそもそもヘゴは隙間があるので、ウレタンフォームでの固定はやめたほうがよいでしょう。シリコンで固定することはできますが、植物を植え込める板は接着するのではなく、接着したヘゴ棒などに鎹で固定するなどするのが移動できて先々便利であるような気がします(倒れてしまうリスクはありますが)。 


 折角なので(後述するけれど、まぁ塗料がどうせ余るので)、岩っぽいものを作ってみることにしました。貼り合わせと、補強材に塗るものとして、発泡スチロール用接着剤を使い、カタマリにしてみます。


 こちらは余った棒状の発泡スチロール。補強材に針金を入れてみます。魚の串焼きを作る要領で、三本も挿せばよいかな、という感じで。ヘゴ棒買えばよくない?というコメントはしちゃいけませんよ。D.I.Y.ってのは、作りたいから作るものなのです。


 発泡ポリウレタンは強度的に問題ないが、発泡スチロールはそれ単体では、入り組んだ構造を作ったときには柔くなりがち。ヤドクガエルを入れるならば問題ないような気もするが、植物を引っかけてしまったときなど、人為的ミスがあるかもしれないので、強度を保たせておくに越したことはないだろう。破棄のことを考えると、針金よりも竹串や爪楊枝が向いているが、針金には曲線パーツにも埋め込めるという利点があるので、適材適所だろうか。

 この、心材を入れる方式は、こうしたものを貼り合わせるときだけではなく、例えば板を接着して壁面から尽きだした台を作りたいときなどにも有効です。壁面に貼り付ける場合は問題はないのですが、せり出したりする構造では、板それ単体では、普通の発泡スチロールでは柔すぎます。家電製品の梱包に使われているような密な低発泡スチロールや、スタイロフォームなどの押出発泡ポリスチレンフォームならば単体でも問題ないように思いますが、普通の発泡スチロールの場合は、板それ自体の補強のために網の目のように竹串や針金を入れてると、ぐっと強度が増すので入れていきたいところです。

 どうせ完全に表面を覆ってしまうので、朽ちる心配は殆どしなくて良いと思います。

icon■内装:下地表面の調整/パテを塗って固くしてみる (>>menu)


 表面を適度に凹ませたり、カットした部分を滑らかにするのには、ヒートガンがあると便利です。平面だったら何かを貼る必要もないわけですし、削ってみたりして、さらにヒートガンでなだらかにするとそれっぽくなるような気がします。ヒートガンを使うメリットは、すこし表面を硬くすること、切り屑などを溶かして滑らかになるので塗装がしやすくなることです。つまりは、必須の工程ではなく、このへんは好みです。
 バーナーなどでは発火の危険がありますから、やめておいたほうが良いでしょう。火事になっても知りませんよ。管理人が持っている二十年以上前のヘアドライヤーだとヒートガンとして十分使えるのですが、最近のヘアドライヤーはどうなのでしょう、安全装置がついていて、こういう風には使えなさそうな気がしますね。ブレーカーが上がらないようにご注意ください。


 発泡スチロールだと何かと柔いこと、それから発泡ポリウレタンをカットしたりすれば、隙間が何かと出来るものなので、それらをパテで固めて不要な凹凸を埋めて滑らかにしつつ、保護してみるとします。この工程は、やってみてなんですが、必須という感じはしませんね……シリコーンだけのものを七年ぐらい使っていますが問題にもなっていませんし………。ただ、 丈夫さはますと思うので、長期的には良いような気もします。厚塗りをするとそれなりの固さになりますし(でも爪でぎゅーっとやれば凹ませられるぐらいの強度です)、発泡スチロールやウレタンフォームの凹凸が埋まって綺麗になるので、後々の工程が楽になるし、管理人は毎回やっています。

 今回は、アクリルエマルション系のパテに、5~7%ぐらいの水と水性ペンキを加えて溶き、かなりもたっとした感じに仕上げます。 水を加えすぎると、薄くしか塗れなくて、なんども重ね塗りしなければいけなくなります。薄いと柔らかいですしね。かといって、殆ど水を加えずに分厚く塗りすぎると痩せたときにひび割れするので、塩梅が難しいところです。たぶん、厚めに塗って、一回乾燥させて割れたところを、薄めのもので上塗りして仕上げるというスタイルが良いのではないかと思います。

 ここで問題ないのは、混ぜる水性ペンキは何が良いか、です。アクリル塗料は上塗りが出来るものが多いですが、耐久性が低いです。アクリルシリコン塗料は耐久性が高いですが、上塗り出来ないものなので、この後に塗るポリウレタン系シーリング材が剥がれてしまわないか、という心配があります。

 両方とも作ってみましたが、いまのところ、どちらも問題は出ていません。あくまで中に数%混ぜ込むだけなので、アクリルシリコン塗料でも上塗りが問題にならないのかもしれないし、ほぼ隠れているのでアクリル塗料の耐久性も問題にならないのかもしれませんね。ただ、このへんは、あと五年ぐらいは使ってみないと結論は出せないかなという気がします。

 さて、そもそも、先に紹介しているパテの場合、それ単体でもう十分に固まるといいますか、崩れたりはしないしそこそこ水に強いようなので、何も混ぜずとも実用としては問題ないと思います。では何故塗料を混ぜるかというと、こうした製品はあまり色がついていないものが多いので、塗った場所がどこか状況が分かりやすいように、少しだけ水性アクリルペンキを加えておこうかな、ということなのです。つまりは、まぁ、無くても問題はないと言えばないです。でも、ちょっとは強くなるかもしれないなということと、やってみると意外や意外、塗りそびれって起こりやすいのです。もし塗りそびれがあると、そこから水が入ってパテが………という心配があるので、それを防止する意味ではこれは重要な工程かなと思っています。

 ポリウレタン樹脂系シーリング材で上塗りしてしまうので、このとき混ぜる色は発泡スチロールや発泡ポリウレタンなどと違う色でさえあれば好みでよいですが、明るい色だとより分かりやすいでしょう。赤とか黄色とか青とか。エメラルドグリーンでもなんでも問題ないです。

 防カビ剤が入るのがどうも………という場合は、多用途ではない、防カビ剤が入っていない製品を選ぶか、酸化鉄系の無機顔料を使うとよいでしょう。ちょびっとの量でけっこうしっかり色付きます。


 発泡ポリウレタンは膨らみすぎることが往々にしてあるので、表面が固まった柔らかいうちに押しつけてカタチをつけてしまってもよいし、写真のようにカットしてしまってもよい。

 固さを出すことと、発泡スチロールや発泡ポリウレタンの表面を滑らかにしてシーリング材が綺麗に乗るようにするためにパテを塗るのだとすれば、石膏系のパテを使うほうが良いかも知れない、という気はします。石膏系のパテに、カビドメの入っていない水性アクリルエマルション塗料を混ぜれば、石膏系パテの耐水性の悪さも改善できるはず。そうは思うのですが、現時点ではあんまり試していないので、どれが一番よいのかはよく分かりません。結論が出たら、将来的には、ここのところだけちょこっと変更するかもしれませんね。 ただ、今のところ水性パテでばっかり作っているので、今後管理人が調べるかどうかは分かりません。

icon■内装:2成形ポリウレタン樹脂系シーリング材 (>>menu)



 2成分形ポリウレタン系シーリング材のひとつ、セメダインの『S-750NB』。硬化時に発生する臭気が比較的控え目なので、2成分形の中では個人的にはいち押し。といっても、二つしか試していないけれど。

 複数の色があるのは、平行して作っていたものに使っていたパテの余りをこちらに流用したりした時のもので、意味はありません。どうせ上塗りしちゃうので、何色でもよいかと思いますが、上塗りする色とは全然違う色にすべきです。赤とか黄色とか、緑とか青とか、目立つ全然違うカラーがよいでしょう。似たような色だと、塗り残しがあるかどうかが分かりづらいからです。

 写真の右端に写っている岩っぽくする予定の発泡スチロールには、ウッドパテを盛りつけてカタチをそれらしくしています。これまたどうせ最後には塗装してしまうので、色に意味はありません。割れた部分をちょびちょび補修していたらこうなった、というだけの話です。実のところ、コレ、この後に軽くサンディングして、塗装して、エポキシレジンで堅くしようと思ってたのですが、この後の塗装用のポリウレタンが余っちゃって、しょうがないからこっちにも塗った、なんてオチがあったり………。

 完全に乾ききったら、次はシーリング材の出番です。シリコンではなく、住宅建材のシーリング材を使ってみることとしましょう。そのほうが、ピートモスなどの乗りが良いからです。 シリコンでやっても、ぜんぜん付着しなくて残念なことになりますからね………。

 2成分形ポリウレタン系シーリング材は幾つかありますが、管理人が使用したことがあるのは、コニシの『ボンド ビューシール6909』セメダインの『S-750NB』 の二つです。ビューシールは比較して安価ですが硬化時の溶剤臭気が強力なので、個人的にはあまり奨めしかねます。どちらの製品もベランダなど通気のよいところで使うべきですが、室内でどうしても使いたいならば、『S-750NB』しか選択肢はないでしょう。

 上に挙げた以外にも、こうしたシーリング材は複数のメーカから販売されています。 それらも、おそらくは使うことが出来る筈です。その際、一応考えておくべきは、ノンブリードとなっている製品を選ぶ、ということです。

 ノンブリードの製品は、例えば先に紹介したものであれば、低モジュラスで被塗装性に優れると製品説明にはあります。被塗装性に優れていたとしても、ヤドクガエルビバリウムではピートモスなどを乾燥前に上から塗して貼り付けてしまう関係上、 あまり意味はありませんが、被塗装性に優れるということは表面に余計な成分が出てきたりすることがないということであり、飼育関連のものを作る上では重要です。ただ、いずれにせよビバリウムでは上塗りする訳には行きませんから、予めそれ自体を好みの色に仕上げておく必要があります。ピートモスなどで隠してしまうので、隙間から見える色として考えればよく、だいたいにおいて暗めの色に仕上げればよいでしょう。極論すれば黒一色でも問題ないはずです。

 ヤドクガエルビバリウムにする場合、自然な色は、おそらく焦げ茶色でしょう。ヘゴ板のような色でしょうか。混合確認用のトナーが同梱されていますが、これだけではライトグレーにしかなりません。そこで、赤と黒のモルタル用の顔料を用意します。オマケで黄色も用意します。

 問題は、2成分形ポリウレタン系のシーリング材はどれも、6Lタイプからしかないということ。 2成分形は混ぜたら問答無用で硬化しますから保存はできませんし、かといって分けて保存しておくのは、やめておいたほうが良い気がします。反応硬化型の製品は、基剤と硬化剤の比率がズレると何かと上手く行かないので、 ちょっとずれて成分が残ったとかだと目も当てられません。このへんは諦めて、一度に全部混ぜて、使い切ってしまうべきでしょう。なんとも面倒くさいことこの上ないシロモノです。 でもシリコンよりも総体的には使いやすいんですよね。

 6Lで3000-4500円ぐらい。カラートナーの価格が 1000-1500円ぐらい。ちょっと高く感じるかもしれませんが、320mlの1成形ポリウレタンシーリング材約19本分と考えれば、大きいものを作るにあたっては実は割安です。ここは発想を転換させて、6Lぶん塗れるよう、一度に複数の大きいビバリウムを作ってしまうというのもアリかもしれません?

 もしくは、余った分は発泡スチロール板などに塗ってヤシガラ土とか付着させておいて、あとでそれをケースにシリコンとかでくっつけちゃうという手もあるかな。

 300mmキューブぐらいならば、コーキングガン・タイプが手軽で使いやすい。写真は1成分形ポリウレタン系 シーリング材 左が『コニシ 建築用弾性シーリング材 ボンド ウレタンコーク (RA)』『セメダイン ウレタンシール S700NB (RA)』 ウレタンコークには、アンバー、ブラック、アイボリー、ライトグレー、ホワイトがあり、ウレタンシールにはホワイト、、アイボリー、アンバー、グレーがある。シリコンと異なりタックフリーまでの時間に余裕があるので、カラートナーを添加して練り合わせることができる。

 …………まぁ、普通は、こんなに大量に消費するものを作るということもないと思うので、1成分形のカートリッジタイプのもの(『ボンド  ウレタンコーク』か、『セメダイン ウレタンシール S700NB』。前のリンク先に説明があります)を使えばよいんじゃないでしょうか(< そっちをメインで紹介すべきでは?)。

 6Lというのは、だいたい900*450*450mmケース二個から三個分です。600*600*600の場合、四個分ぐらいでしょうか。1成分形のカートリッジの場合、 600*600*600 だと五本から六本ぐらいです(入り組んでいれば表面積が増えるので、多く必要になるでしょう)。

 2成分形も使ってみたかったので、ちょっと入手してみたのですが、入手してみた感想として、 今のを使い切ったら、今後は1成分形をメインで使うのではないかという気が…………ああ、でも、複数のビバリウムを一気に作るようにすれば、コストが安くなるのも魅力ではあるんですよね………。大きいものを作る人には、オススメなのは確かです。好きな色を作れますしね。  


 さて、写真の左は、トナー入れちゃってますが、もともと缶に入っているほう。量が多いし、こっちが基剤かと思いきや、こっちが硬化剤なんですよね………

 電動ドリルがご活躍。赤い混ぜる棒みたいなものは、パワーミキサーです(上のほうの写真にラベルが写ってますね)。注意点は、必ず低速モードで混ぜること。まちがって高速回転設定でこういう負荷の強い作業をすると、モータが焼けます。今回は色付けの感じを把握したくて、写真(左)の硬化剤に対してトナーを入れて少し練ってみたのですが、こうやって練る意味はないので、最初から基剤を加えてからトナーを加え、練るべきだと思います。 次回からは最初っから基剤を入れた上でトナーを入れることでしょう(じゃぁなんでこんな写真撮ったのかっていうと、トナー入れたあとに、「いかん、硬化剤の写真撮影するのわすれてた」と思って撮影したからです)


 『S-750NB』。基剤のほうが液体で、硬化剤はペーストなので、トナーな最初に基剤に混ぜ込み、その上で硬化剤と練り合わせるほうがやりやすい。

 今回は最終的に、酸化鉄系のカラートナーをブラック:レッド:イエロー=100g:150g:50gぐらいの比率で入れました。茶色って売っていなかったんですよね……存在はするのですが、通販でさくっと簡単に、と行かなかった。全部で200g入ったことになります。結論からいうと、もうちょっと黒欲しかったな&黄色要らなかったんじゃないのかなぁ?というところでしょうか。ベストな色を追求したい気持ちはなくはないですが、そもそもこんな練り作業を何回もやるほどにはビバリウム作らないんで 、追求できる前にもう作らないなーというところに落ち着く気がしますね………

 基剤(主剤)はちょっと褐色味を帯びた薄いハチミツみたいな透明なもの(右)。残さず余さずしっかり入れます。手に付着しないよう、ディスポーザブルグローブをして、袋をぎゅーーっと限界まで絞りましょう。見て分かると思いますが基剤は液体なので、混ぜると硬化剤が緩くなって、もったりとしたパテのような、流動性のないクリームのような、そんな感じになります。密度はそれなりにあって、 ちょっと重いですね。



 『S-750NB』。塗り心地はほぼ同じだが、こちらのほうが臭気がだいぶ抑えられる。

 練り上がりました。ハケを使って全体に塗りつけていきます。底面は、パテの時点でそうなのですが、すこし奥へ行くほど多めに、手前を少なめに、つまりごく僅かですが傾斜があるように。水が流れやすいように、仕上げの塗りは横ではなく、奥から手前へハケを動かしました。この辺は、水を貯めたいか、貯めたくないかで好みで構いませんが、注意すべきはケースとパテが塗られた部分との境界線です。パテは水に弱いので、必ずパテを全部覆うようにシーリング材を塗ります。これだけは必須なのでご注意。というか、境界線に限らず、表面にパテの色合いが見えないようにしましょう。出っ張りの裏や凹みが要注意です。これがあるので、色はできれば茶色などの地味な色ではなく、赤とか黄色とかエメラルドグリーンとか、目立つ色が良いのです。もし乾燥後に塗り忘れを見つけちゃったら、1液タイプのウレタンシーリング材か、シリコーンで誤魔化しましょう。

 ハケはこれで使い捨てになっちゃうので、使い古した安いモノを使うとよいでしょう。(上のほうの写真を撮るときは新品を並べましたが、やっぱ惜しくなりまして、結局使い古した小さいのを使った。それ以上に、入り組んだところをやるのには小さいほうがよいですから)。付着するとまず除去できませんから、衣服などには付かないように気を付け、ディスポーザブルグローブを着けましょう。

 タックフリーは製品の種類と温度にもよりますが、写真のビューシールだと概ね24時間以内だと製品シートには書かれています。色を調整するのに手間取りましたが、全部塗り終わって1時間ぐらいしてもぜんぜん問題はなかったので、そんなに急いでやる必要はないでしょう。さすがに24時間経過しても十分塗れるとは思えませんが、混ぜてから3-4時間は余裕で大丈夫なんじゃないかと思います(たぶんもうちょっと大丈夫だけど、計測したわけではないから短めに書いております)。 湿気硬化型の1成分形だと、2-3時間ぐらいなようです。調べていないから確かではありませんが、空中湿度と反応して硬化するのだとすれば表面から硬くなっていきそうな気がします。いずれにせよ、さっさと作業を進めれば、十分余裕があるでしょう。

 2成分形は、混ぜてしまったら使い切ってしまうしかないので、塗り残しがないよう気を付けて全体に塗りましょう。もっとも、後で塗り残しが見つかったら、1液タイプかシリコンを充填すれよいとは思いますが。そういう意味では足りないことよりも、間違って塗っちゃわないように、天板や手前などはマスキングをしておくほうが大事かもしれませんね。

icon■内装:ピートモスとかを撒いてくっつける (>>menu)


 塗り終わったら、自然素材をばらまいて貼り付けてみたいと思います。

 何を付着させるかは好みですが、基本は分解されづらいものになります。例えば葉っぱとかを付着させても、すぐ朽ちてしまいます。 苔などを綺麗に生やさせたいならば、硬質に焼結されたアクアリウム用のソイルや、セラミスグラニュー(RA,AA)、溶岩などがオススメです。ただ富士砂とかはちょっと鋭利なのと重いのがヤドクガエル飼育において気になるので、軽い人工のセラミック素材などが良いのではないかと思います。

 写真は杉や檜の樹皮から作られたバークファイバーというマルチング材の一種を使用しています(同じような製品は他にもあります)。

 細かいものは綺麗に付着しますが、上手くつけないと剥がれやすい感もあります。このへんはピートモスなり、なんなり、付着させるものの質によるでしょう。具体的には、何か粉を吹いたような状態のものは付着させづらい(落ちやすい)ように思います。ソイルなども、製品によっては付着させづらいものもあるようですね。写真のような素材のものは、上手くやらないと落ちやすいです。しかし、ちゃんと細かい粉をはたいて、残った大きいものを最初に付着させ押しつけ、その仕上げに落とした細かい粉をかけるようにすると、綺麗に付着します。一手間かかりますが、上手くやればけっこう綺麗に仕上げられるでしょう(ビニール袋の中で、ぺしぺし叩くようにすると細かい粉の回収が楽かと)。

 これは言う迄も無いことですが、付着させるものは良く乾燥させることが肝要です。

 一時期はピートモスで作ってましたが、遣り方次第ではちょっと目の粗いもののほうが長く保つかもしれんな、という気がして、最近は先述したようにセラミスグラニュー(RA,AA)などの、保湿性がある多孔質の素材、ちょっと固めで目の粗いものを好んで使うのに落ち着きました(一年二年すると、やっぱりなんか多少落ちて来ちゃう感があって、ピートモスだと付着させられる厚みが薄いので、そのへんが不利かな、という気が。このへんはもう二年三年ぐらい経過を見ないと判断できかねるところではありますが………でもまぁ、海外じゃピートモスよく使ってるような気がするんですけどねー。ピートモスにもいろいろあるからな………)


 1成分形のセメダイン ウレタンシールS700NBを使ってピートモスを付着させているときの写真。ウレタンコークと異なり殆ど臭わないが、やや粘度が高く作業性は劣る(シリコンと同じぐらい)。また付着力もウレタンコークに比べて低いので、より強く密着させること。ハケで叩くのでは上手く行かないので、多めに出したピートモスを手で圧迫するとよい(ピートモスが少量だと、塗ったシーリング材をゆがめてしまい、上手く行かない)。

目が細かいもののほうが綺麗に付着させやすいが、朽ちやすい素材ではすぐにコーキング材が露出することになる。この二つの観点で優れているので、多くの人が細かいピートモスを使うのだろう。ただ、耐久性はそんなに高くはなく、たとえばいつも水がかかるようだと少しずつ剥げてくるから、カエルが好んで登攀する位置は剥げてきてしまうかもしれない。少量を振り掛けるように使うのではなく、たくさんのピートモスを埋め尽くすように一気に入れ、厚く敷いた上からハケやブラシ、あるいは手でトントンと叩いて付着させていく。出っ張ったところは、同じくたくさんのピートモスで包むようにして押しつけ、付着させていく。

 どのような素材も、全体に多めに積み上げて、上からとんとんと叩いて馴染ませます。強くやりすぎるとシーリング材をどかしてしまうのでよくないですが、弱すぎては上手く付着せず固定されないので、力加減が重要です。分厚く敷いて、上からブラシやハケなどで叩くとよいでしょう。 ピートモスのようにふわふわしたものなら、厚く敷いて、手でぺしぺし、ぎゅ、ぎゅと押しつけてくっつけることができるのでやりやすいです。薄く敷いていると、ブラシやハケがコーキング材で汚れてしまい上手く行きません。どうせ、後で付着しなかったぶんはどかして再利用すればよいので、気にせずたっぷり使ってしまいましょう。シリコンよりは格段によくくっつきますが、それでもそれなりに叩いておかないと隙間が出来てしまいます。

 どの製品でも硬化まで2時間以上の余裕があるので、そんなに急ぐ必要はないですが、むしろ着けそびれているところがないように注意です。付着力があるので、立てた状態でやってもそれなりにしっかりと付着しますが、それは細かいものを付着させる場合の話で、写真のバークファイバーのようなものや、セラミスグラニュー、富士砂のような重いものだと、立てたままでは付着させづらいです。

  ピートモスやヤシガラの目の細かいものだと、普通に盛りつける感じにして押し当てれば普通に付着すると思いますが、付着させる面を下にして、その上で盛りつけて、叩いて馴染ませるのが確実です。付着しづらいセラミスなどを施工する場合は、そうした押しつける作業がしやすいように、よりぺったりくっつくように、側面のコーキング材を分厚くしてしっかり押しつけられるようにした上で、素直に作業する面を下にしてしっかり貼り付けるべきでしょう。 繊維の大きいものほど隙間が出来やすいので、やはり繊維の細かいものがよいだろうとやってみて思います。また、入り組んだパーツも、それ全体が埋まるぐらい振り掛けてしまい、お握りをにぎるように軽く抑えることで全面に付着させるとよいでしょう。

 全部やったら、あとは完全硬化するまで、ゆったりと待ちましょう。忘れるぐらいの勢いで。

 先にも書きましたが、臭気の強い製品を使う場合は、室内だったらガンガン換気する必要があります。反応するタイプだと、塗っているときはそれほどではなくても、硬化してくる5-6時間後ぐらいから臭いが強くなります。

 ただ、換気するとすれば季節によっては室温は大きく変動しますし、そもそも臭気がなかなかにすごいので、硬化してから飼育場所に設置するのが間違いなくよいと思います。
 いちおう参考に書いておきますと、実は、ちょうど検疫中だったヤモリとかちいさいコーンスネークとかと同じ部屋で作っていたのですが(っていうか管理人も同じところで寝ていたのですが)、どれも特に問題はなかったのです。もちろん、換気するつもりでしたし、製品の仕様を見て大丈夫だろうと思ったから一緒の部屋でやったわけですけど。

 ただ、カエルはもっとセンシティブかもしれませんし、一緒の部屋でやっていいものかどうか、管理人は調べていないので断言しかねます。冬で寒かったから、ちょっと換気を一端やめて同じ部屋にいた管理人自身は頭が痛くなりましたから、ほんとにガンガン換気したほうがよいと思います。少なくとも一般的に健康によろしくなさそうな気がしますからね……。充分に換気すること、ってカタログに書いてありますし。有機溶剤中毒になるとたいへんですからね。小さいお子さんがいる家庭は要注意ですよ。

 製品によって臭気のタイプも、度合いも、かなり違うようです。 管理人が使った中では『S-750NB』が一番良かったですが、この製品以上に臭わない製品があるのかもしれません。
 1液タイプだと、『ボンド  ウレタンコーク』は2成分形と臭うレベルは五十歩百歩だったのですが、『セメダイン ウレタンシール S700NB』は明らかにというか段違いに臭いが少なかったです。ただ、ウレタンシールは粘度が高く塗りづらい、つまり作業性が悪く、またウレタンコークに比べてちょっとですが付着力が弱いため、注意深くちょっと強めに押しつけて密着させないと付着しないことがあるといった欠点があります。どちらを選ぶかは好みでしょう。(ここで殆ど書いてますが、このあたりの違いは、1成分形ポリウレタン コーキング材などにも書きました)。或いは、臭気が少なく、かつウレタンコークなどのようにとても柔らかく塗りやすいものがあるのかもしれません。1成分形でそういうのがあれば、よいですね。是非誰か調べて教えてください~(だって、もう調べるの疲れちゃったです……だいたい作っちゃったし………メールフォームは常時受け付けておりますよ?)

 読んでいると分かると思いますが、ビバリウム製作には何かと時間がかかります。実際の工作時間が長いのではなくて、接着剤とかが固まるのを待つ時間が長いのです。アクリルの接着は短時間で可能ですが、シリコンのシーリングをすることも考えればそこで1日、パテの乾燥で1日、さらにポリウレタン系シーリング材で1日。試しに塗ってみた感じでは、ビューシールに限って言えば発泡スチロールや発泡ポリウレタンに直接塗っても溶かさないようなので、直接塗ることも出来るでしょう。でも、やっぱり丈夫さという意味でパテを塗っておきたいかな、という気もしますね。このあたりはお好みで。 発泡スチロールにシリコンを塗ってたもので強度的に十分だというスタイルならば、パテは塗らなくてもオーケイと思います。

icon■用土入れ、植物を植える (>>menu)


ビバリウムに向く苔を試行錯誤中。用意できる照明にもよるが、半日陰で生育するものがよいと思われる。シノブゴケは撒き苔も出来るし、まずまず良いように思う。スナゴケは綺麗でよい苔だが、強力な照明がないと綺麗に育成しないので、普通のビバリウム向けではない。タマゴケの仲間のほうがヤドクガエルビバリウムなどには向いているような気がする。

 ポリウレタンシーリング材の臭気は、完全硬化後は発生しなくはなりますが(製品にもよるかもしれませんが)、それまでの間にピートモスなどに付着した臭いが、そこはかとなくは残るものなので、さらに一日か二日は、水をかけましょう。ミスティングシステムがあるなら、それを使って一日か二日ぐらい水を回したら、土と植物を入れるパートです。

 用土を入れると言っても、今回のものは底面に発泡スチロール板を入れてあるわけで、つまり、あまり土を使わないビバリウムになっています。地中に産卵するようなヤモリであれば、底面には発泡スチロールは入れないほうがよさそうですね。あるいは、ミスティングシステムの水があまり入らないように傘になるようなカバーをした、産卵用ボックスを入れてもよいかもしれません(もしくは、ミスティングシステムを使わなければよいだけではありますが)。まぁ、今回のはヤドクガエル用ですから、そういうのは特に考えなかったのですけれども。

 左から、黒土、桐生砂、ピートモス、赤玉土、腐葉土。

 とはいえ、底面も全面というわけではなく、手前のところには溝があるので、そこに軽石をつめ、その上に好みで混ぜた土を軽く敷き詰めていくスタイルになります。管理人がこのスタイルを好むのは、ビバリウムを二段にしていて、段が木製であり下の段の排熱が上に影響することを懸念して(底面の発泡スチロール板が、断熱材を兼ねる)、あとは運ぶときに土があると重く、全部取り出したりするのが面倒だからです。植栽をする場合は、どちらかというと発泡スチロールの上に水捌けのよい土などを盛って(例えば「造形君」)、それで植栽しています。

 用土は右上で紹介したもの以外にも、様々なものが使えます。単用、混ぜ物含めて、管理人が使ったものの中で良いと考えているのは、観葉植物用のセラミックス(ハイドロボール、ハイドロカルチャー)、黒土、桐生砂、ピートモス、赤玉土、ヤシガラ土、杉樹皮培養土、といったところでしょう。

 セラミスグラニューは壁面に付着させるのには使いますが、底面には混ぜ込んだことがありません。高いし勿体ないな、というだけの理由ですが。溶岩系では、富士砂は触るとどうも鋭利すぎて、カエルには良くないのではないか、という理由で使っていません。そもそも粒が小さすぎます。
 熱帯魚用のソイルは、用土も基本的には付着させるだけです。用土として使っていたこともありますが、なかなか高価なので最近は用土としては使用していません。

 腐葉土を使う場合は、電子レンジで加熱して完全に殺菌することをオススメします。カエルに影響を与える病原菌が含まれる懸念が拭いきれません。もっとも、これは管理人が気に過ぎなのだとは思いますし、そもそも殺菌してしまうとバランスが崩れるので腐葉土はカビやすくなってしまいます。そこで、なんかパンの作り方みたいですが、微生物の種として、使って問題ないと分かっている土壌を数%加えて、1週間ほど寝かせて馴染ませる、とかやっているのですが、こうなるともう面倒なこと極まりないので、最初から使わなくなっているのでした。

 注意事項は、田砂や大磯などの砂礫をあまり入れないこと。水捌けを重視に少し入るぐらいならば問題ないですが、これら単用というのは普通に考えれば分かると思いますが、誤飲の危険があります。

 それから、ピートモスのように分解されていて安定しているものはよいのですが、ヤシガラ土などのように未分解のものは、腐葉土などと混ぜた場合、急速に分解が進んで土壌のpHを酸性に傾けすぎることがあります。これは、排水系や、空気が地面の下に供給されていない状況では顕著で、嫌気性発酵をすると硫黄臭が漂うようになり、極めて有害です。

 こうした状況を回避するためにも、ある程度の大粒のものや、砂礫などの硬質のものは水捌けの観点から少しは入れるのが望ましいのも確かです。そこで、管理人は桐生砂を好んで使っています。赤玉土は良質のものならば良いのですが、安いものは崩れやすいので、それを使う場合や良質のものを使った方がよいでしょう。

 土壌のpHは、ざっくりと経験で把握するのでも構いませんが、どのへんを目指すのか意識しておくことは大切です。用土は複合的な要素が絡み合っていて、酸性環境で使う分には問題ないような素材も、いちどアルカリ環境に曝すと初期には問題が出るといったこともあり得ます(ある程度、安定するまで待てば問題はないのですが)。また、用土は同じ名前でも製造場所によりクオリティに幅があります。

 このへんは園芸やアクアリウムやらの知識も役立つので、そうした文献も読んでみることをオススメします。

 管理人は現時点では、殆ど用土作りというのをしていません。理由は、床材や内装に注意しておくかぎり、ミスティングシステムを導入して排水を行っていれば、極端な酸性やアルカリに傾くことが、ほぼないからです。これはミスティングシステムに頼らずとも、毎日散水して下からサイフォンで水を取り出しても同様でしょう。

 あまり参考にならないと思いますが、

 杉樹皮培養土(目の細かいもの):桐生砂:黒土=3:1:1

 といったものをベースに、正直なところ殆ど杉樹皮培養土と、水捌けを考えて桐生砂を混ぜただけのものがベースです。これはあまり大した植物をいれていない場合で、もちろん何かしらを植える場合には、それに合わせた用土を使うようにしています。

 土を入れてから排水がちゃんと機能するか、どれぐらいの時間でミスティングシステムからの水が流れるかなどの塩梅をチェックし、問題なさそうだったら、植物を配置していきましょう。

 どういう風に植物を入れていくかは、これはもう好みです。ネオレゲリアを入れるもよし、蔓植物を入れるもよし、シダを入れるもよし、あとは苔よ生えよとばかりに撒き苔をしてみるもよし。

 お気に召すまま気の向くままに、いろいろな植物を入れてみてください。

icon付録:植木鉢をウレタンフォームに埋め込む(>>menu)

ポリプロピレンにはウレタンフォームをはじめ、殆どのものがくっつかないので、工作台として最適です。塗料とかはその限りではありませんが(剥がれはしますが、綺麗にぺりりと剥がれるかは塗料次第)。写真のものが濡れているのは、こうしておくとウレタンフォームが心持ち剥がれやすいような気がするからです。

 ところで、上のほうでちょっと端折っちゃったので、ウレタンフォームの中に植木鉢を埋め込む方法について、簡単に紹介しておきます。

 工作台となる、ポリプロピレン製の板状のものを用意します。コンテナ(衣装ケース)などの裏側、フタの裏側など、何でも良いでしょう。写真は切ってありますが、これは別な用途で切り取る必要があったので切り取ったものがたまたまあったからで、切って板状にする必要性があるわけではありません。
 固まってから剥がせば、綺麗に剥がれるものなので、フラットな面で作っても問題はないのですが、管理人は裏を使うことを好んでいます。というのも、裏だとこうして格子模様があり、ウレタンがこのカタチにへこむと、シリコンでガラス壁面と貼り付けるときに心持ち接着が良くなるような気がしているからです。気は心です。  

プラスティック製のポットを例としましょう。よほど重いとかでなければ、どんな素材でも使えるかと思います。陶器製の植木鉢でもアリです。でも、あまり意味はない気がしますが。包み込むように固定すればポリプロピレン製であっても固定することはできます。例えば長方形のタッパーウェアなどを埋め込むことも出来るでしょう。でも、塗装とか他の諸々を考えると、やはりポリプロピレンは避けたほうがよいと思います。どうしてもコレという場合を除けば、ABS樹脂など、他の樹脂を選びましょう。

 今回は二段に積み重ねる関係で、中央一点の水抜き穴よりも、複数の水抜き穴のほうが都合が良かったので、写真のものを利用しました。

ウレタンフォームは約二倍に膨らむので、薄く薄く。つまりは素早く動かせば薄くなります。多少の隙間は、どうせ膨らめば埋まってしまうので、気にしなくてもどうにかなるものです。

 ウレタンフォームの表面が乾くのを待たず、膨らみ始めるより前ぐらいにささっとポットを乗っけてくっつけます。まぁ、そこまで素早くしなくても、普通にくっつきますが。

 ポットを配置し、さらにその表面をぐるりと覆うように吹き付け、さらに敷いてあったウレタンにつなげて固定する感じに。最終的な見栄えを考えると、ポットの縁は隠れるような感じに覆ってしまいたいところですが、そのあたりは後々シリコンなどで補修してもよいでしょう。

 写真では植木鉢が二段重ねになっており、上のポットの下穴が、下のポットの上に掛かるようになっています。水抜き穴が生きていないと、植木鉢として利用できません。ふさがってしまったら、或いは膨らんだらふさがってしまいそう、という場合は、割り箸などを挿しておき、あとで抜き取るという手もあります(くっつきますが、ぐいっと引っ張れば抜けるものです。竹箸だとよいようです)。
 写真では見えませんが、もちろん下のポットの底も、水抜き穴は空いています。もしふさがってしまったら、ドリルで開ければよいだけですけれども。

 なんでも、膨らんでいる途中のウレタンに霧吹きをすると、触れているところを早めに固くできるなんて話もあるのですが、ウレタンにもよるのでしょう。あまり関係なくどんどん膨らんでしまう気がします。

 膨らんで固まったので剥がしてみたところ(剥がしちゃった後で気づいたのですが、剥がさないで、次の工程をやるべきだった………)。

 ウレタンをつけすぎると、ちょっと膨らみすぎるのです。そういう場合は、どうせあとで塗装するので、さくさくと削ってしまいましょう。

 塗装というか、ポリウレタン樹脂系シーリング材(コーキング材)を塗っていきます。写真は昔のやつで、シリコンを塗っていた頃のものですが、今はポリウレタン樹脂系シーリング材かなーと思うわけです。上のほうでは、水性パテとかで堅くしたり造形したりしていますが、ポリウレタン樹脂系シーリング材をウレタンに直接塗布しても、ちゃんとくっつきます。面倒だったら、無くてもいけるんじゃないですかね? 1成分形のウレタンシーリング材でも、2成分形のウレタンシーリング材でも、別段、発泡ポリウレタンが溶けたりとかそういうことはないようで、まだ一年ぐらいしか経っていないから、まぁ確信はないですが、たぶん問題ないんじゃないかな。
 ともかく、隙間なく万遍なく塗ります。水抜き穴には、ストローや、紙縒りなどを挿しておけばよいでしょう(ストローはそのままでいいし、紙縒りは乾燥したら抜き取れば、ちぎれて残った表面部分は最終的に朽ちます)。後から刳り抜くのでも良いですけどね。

 「後からウレタンフォームで固定したり接着したりする意味が分からない。最初からビバリウム内部で作ってしまえばよいのではないの?」という意見もありますね。まさしくその通りです! 普通は、ビバリウムの中でそのまま作っちゃえばよいと思います。

 今回のは、外で好みのカタチにしてから中に入れたい!という場合だと考えてください。ほら、小さいビバリウムとかだと側面とかが上手くいかないこともありますからね、と言い訳してみましょう。特に、この手の植木鉢をビバリウム内部で作ろうとすると、水抜き穴の部分をちゃんと塗れているか、塗り残しはないか?という不安がけっこうあるので、こうやって外でやれると楽なんじゃないかな、と思います。

 もしくは、コレが一番あり得そうですが、「ビバリウム作ったけど、どうも発泡ポリウレタンが残っちゃったっぽい。でも一回で使い切りだからな………」という場合。作っておいて、後で使おう!ということです、これならば説得力あるのでは?

 塗った上からソイルを振り、少し押し込み、さらに細かい土を振りかけて全体が隠れるぐらいべしべしと塗ったところ。バークファイバーやピートモスなどもよいですね。写真では板から剥がしてしまっていますが、これはミス。この工程の時ほど、板に剥がさないままでやれば良かったなぁと思ったときはありません(苦笑)

 裏側。シリコンのほうががっちりくっつくので、ウレタンコーキング材よりはシリコンで貼り付けちゃったほうが良いような、まぁそもそもそんな重くもないので、大差ないような。まぁたぶん、どっちでもよいと思いますが、塗りつけて、ケースの壁面と接着します。ケースとの間に隙間がないようにしないと、此処までの苦労がくたびれもうけです。隙間があると水分が中に染みこんで面倒なことになりそうな気がします。まぁ、隙間に気付いた時点で埋めれば良いだけと言えばそうなのですが。
 ビバリウムの中にウレタンフォームを吹き付ける工程があるならば、ウレタンフォームを吹き付け、そこにこれを押し当てて、さらに周囲を埋めて固定するという方法もあります。

 写真はちびちびと制作途中のもの。頑張ればシリコンでもこれぐらいのものはできますが、ちょっと塗って付着させてを繰り返すのがたいへんだし、出来映えを考えると、ポリウレタン樹脂系シーリング材がオススメです。

 ところで、苔を綺麗に活着させるのには、何がベストなのでしょうか。そして、何苔がよいのか。まだまだよく分かっていないのでした。

 苔を綺麗に生やしたいならば保水性が今ひとつなので、あまり苔がくっつかないような気がします。でもまぁ、この辺は好みの問題かもしれません。(下は素焼きの植木鉢で同じように作ったもの。素焼きの意味がないので、あんまりやる必要はない。まぁ出来なくはないという一例)

 

icon■終わりに (>>menu)

 ひとまずは完成ですが、植物が育つのはこれから。照明を当てて苔が広がって、ヤドクガエルが中で育って………そう考えると、完成って、いつなのでしょうね。もう一年二年して、苔が揃ったら、写真を差し替えるとは思いますが、なんにせよ、ヤドクガエル向け内装編はここまでです。

 素材の項目でも書いていますが、このサイトで紹介している製品を使うときは、自分で使えるかどうか調べて判断して使ってください。安全性の保証までは、管理人には出来かねます。

 もちろん、少なくとも使って暫く様子を見て問題ないかなと思ったから公開しているのですが、それは幾つかの種類のカエルやヤモリの話であって、例えば管理人はトカゲやヘビを、これらのビバリウムに入れて飼育したことはないから、それらにも大丈夫かどうかまでは分からないのです。大丈夫だろうと思いますけど…………