ビバリウムのつくりかた/Making Vivarium

 ビバリウムのつくりかた/Making Vivarium/ビバリウムの作り方

   
   
   

iconビバリウム製作に用いる各種素材

icon基本素材――ガラスと樹脂 (>>menu)

 ビバリウムに使用できる素材は数多く存在しますが、この頁では、最もスタンダードなもののみ紹介します。

icon ガラス (>>menu)

 一般的なフロートガラス。最低でも面取りを施したものを購入するのが安全。耐水サンドペーパやダイヤモンドヤスリを使えば自分で水研ぎは出来ますが、このサイトでは推奨はしません。

 ガラスはビバリウムには理想的な素材の一つです。素材の化学的な安定性からくる耐久性の高さはもとより、硬質であり耐摩耗性に優れ、耐熱性も高く、すなわち照明の熱などで形状が変化するといった心配がありません。
 欠点は他の素材に比べて重いこと、切断、穿孔、研磨といった、加工を施すのが難しいこと。 切断方法はシンプルで、防護メガネとガラス切り、あとは荒研ぎ用の水砥石があれば、おおよそのことは出来るでしょう(仕上げには#1000ぐらいの仕上げ用水砥石があるとよいでしょう。ダイヤモンド砥石はなくてよいです)。分厚くなればなるほど切断は難しくなります。加えて、破片の危なさ、研いだ時に出る微細な破片の廃棄処理なども問題です。とはいえ、だったら使えないかと言えばそういうことではありません。
 幸い、面取りを含めたカットを引き受けてくれるガラス屋さんが幾つかありますので、そうしたところにオーダーすれば、希望の寸法のものを入手することができるでしょう。中には、取っ手になる凹み加工をしてくれる場所もあります。

 このページでは、そうして入手したガラスを使う事を前提としています。餅屋は餅屋、ということです。カットさえ依頼できるなら、あとは組み立てだけですので、至極簡単です。

 ガラスは素材の経年劣化が(特殊コーティングを施したようなものでなければ)殆ど無視できるものなので、シリコンを剥がして貼り直すことで長期間の使用、または素材を流用して作り直すことが可能なのも魅力でしょう。ガラスとして廃棄すれば再利用されるので、このあたりもポイント高いですね(廃棄の方法は各地方自治体に依存します)。

 ガラスは沢山の種類がありますが、一般的にビバリウム制作に使われているガラスはフロートガラスと呼ばれるものです。強化ガラスは、このガラスに熱処理などを施したもので、割れた時に粉々の粒状になる性質を持つため、安全性は高くなりますが、処理後は、ガラス切りなどで切断加工をしたり、ガラスドリルで穿孔したり、研磨して凹ませ取っ手をつけたり、といった加工ができなくなります。割れるときはヒビが入るのではなく、砕けるように割れてしまうため、どちらかといえばビバリウムでは強化ガラスではないほうが、誤って何かをぶつけたときにヒビですむので良いような気がします。
 硝材には本当に色々なものがあり、高い透明度を持つガラスなどもありますが、そういったものは高価ですし、家庭用ビバリウム素材として適しているとも思えないので、紹介の必要はないでしょう。

 管理人はオーダーガラス板.comコーワガラスなどで購入したことがあります。近所にガラス屋があれば楽なんですけどね。規格(600*600や300*300など)だと、オーダーガラス板.comが格段に安く、希望の寸法にするカットオーダーが入るとコーワガラスのほうが安いなど、ショップにより違いがあります。

 問題は、ガラスで出来た既製品を改造したい場合でしょうか。例えば排水加工を施したい場合とか。こればっかりは依頼することは難しいので、自分でやるしかないですよね。ダイヤモンドホールソー(ダイヤモンドコアドリル)を使って、規格水槽を改造する方法については、いずれ紹介するかもしれません。個人的な感想ですが、防護メガネを装備して正しい加工方法で行うならば、たぶん切断するのよりは安全かなと思います。

 繰り返しになりますが、ガラスの加工は、このサイトでは非推奨であり、これを読んで真似して怪我や障碍を負ったとしても管理人は責任は持てない、と前置きしておきます(責任を持てないのは、ガラス加工以外のすべての加工も同様ではありますが、これは特に)。そもそも、殆ど必要のない部分なので、オーダーしてやってもらいましょう。最近はホームセンターなどでも受け付けてくれるところがあると聞きます。

 リスクを踏まえた上で、それでも、ガラス切りをしたい、という人は、道具を揃えましょう。道具があれば、初めてでも比較的上手くいきます。基本は、

 ガラス切断加工用工具。左上から、防護メガネ、ランニングプライヤー、ガラス切り、砥石、両面カマト(鎌砥石)。一番下はアルミの定規の裏に、両面テープで硬質スポンジシートを貼ったもの。写真にはないですが、穴開けは、ダイヤモンドコアドリルよりは、ダイヤモンドホールソーのほうが割りづらいように思います。失敗すると割れてしまうところはどちらも同じですが。コツはズレないよう固定すること、反対側にゴムシートを貼りつけた木材などをガムテープで留めて当てること、押しつけずに、気長に削っていくことで穴をあけるということ、でしょうか。

防護メガネ&マスク&手袋(ちっちゃいハタキ箒)
ガラスカッター(オイル式)
水砥石
・ランニングプライヤー(ガラスニッパーガラスブレイカー

 です。素人(管理人のような)には、防護メガネ、マスクは基本です。かつ、隙間なく顔に密着するゴーグルタイプにすべきです。メガネタイプは上下に隙間があるからダメです。この手のゴーグルタイプにはメガネをしていてもかけられるものが殆どなので、メガネの人も、こういうのを装着してください。
 管理人は以前素焼きの鉢を割ってシェルタを作っていて、白目のところに破片が刺さって病院に行く羽目になって以来(上や下までカバーする防護メガネをしていなかった。簡単なメガネだけをしていたのです)、ものすごく臆病になっているのです。手袋あったほうがよいかなと思いますが、どんなのを選ぶかが難しいところですね。破片などが入り込まないゴムの滑り止めタイプがよいような気がします。手元が狂ったりしないよう、フィットするものがよいでしょう。丈夫なそういうものも販売されています。
 ガラスカッターはオイル式一択です。ディスクタイプのオイルガラス切りのほうが直線が綺麗に出ます。

 そしてカットした切断面がそのままでは危ないので、研磨する必要があります。今回紹介するようなガラスの切断では、また個人レベルであることを考えると、掌サイズの水砥石が使いやすいでしょう。ガラス用とかあればそれはそれでよいですが、ないならば、鎌研ぎのものなど、水砥石で使いやすいものであればだいたい使える気がします。ダイヤモンド砥石は、ガラスの磨きには殆ど使ったことがないので、よく分かりません。あれは仕上げ用なんじゃないかな。

 鎌研ぎにリンクを貼っているのは、掌サイズのやつは鎌研ぎ用が多いからで、別に小さい砥石ならだいたいなんでもよいような気がしますが、管理人は鎌研ぎの二個貼り合わせたもの(両面砥石とかいうもの)しか使ったことがないので、他のものがどこまで使えるかはよく分かりません。#150-250と、#1000が二枚あわさった両面砥石などが手頃ですね。切断面の最初はそこそこ荒いものでざっとやったほうが効率がよいです。#250-320ぐらいあれば実用上問題はないでしょう。#1000はかなり仕上げたい場合で、実のところあんまり使わないような。
 また、砥石ではないですが、耐水サンドペーパでもそこそこ仕上げることは可能です。

 1cmぐらいの細いガラスを割り出したいときは、

・グロージングプライヤー(ガラス割りやっとこ)

 が便利です。ランニングプライヤーは5mmぐらいまでのものを切るだけならば、安価なもので十分でしょう。管理人はせいぜい5mmまでのガラスしか割ったことがないです。

 あとは、定規や板材の裏にゴムやウレタンマット(水槽の下に敷く保護シートみたいの)を、両面テープで貼り付けたものをガイドとして用意しましょう。ガラス切りは、上手い人は道具がなくても案外できてしまうものですが、道具があったほうがずっと楽です。まぁそこそこ大きなガラス板ならば、切った下に薄い定規を入れて、上からちょっと両側に割るように体重を掛ければ割れたりするのですが、コツを掴むまでに何枚かムダにした経験とかを思い返すに、道具を揃えてしまうことをオススメします。まぁ、そもそもあんまりガラス切り自体をオススメしないですけどね、管理人は。大きいやつなら、ガラス屋さんに注文すればよいですし………最初からやれる人は、ここに書いていようが書いていなかろうがやる気がするので、いままで書いてなかったんですけども、

     

icon プラスティック (>>menu)

 表面には保護にペーパーが貼ってある。

□アクリル

 プラスティックには様々なものがありますが、その中でも広くアクアリウム、ビバリウムに利用されているのはアクリルでしょう。
 アクリルは透明度が高く、また、加工性に優れたプラスティックで、ガラスに比べ、軽量であり(比重は1.2で、ガラスの半分以下)、粘りがあるため、自重で撓むことはあっても割れにくいです。上手くアクリル同士を有機溶剤で接着すると、シーリングをせずとも水が零れないぐらいぴったりと綺麗にくっつきます(これは大して水圧のかからないビバリウムの話で、水圧が掛かる水槽の場合は話が別です。そうした製品は、ちゃんとした加工設備のある場所で、熟練の手でなされたものを購入すべきです)。その反面、硬度は高くはないため傷が付きやすく、長年使用すると掃除する間に、どうしてもくすんで来てしまう、という欠点もあります。ただ、これは苔などが発生して、それを除去する作業をしている水槽の話であって、ビバリウムやテラリウムでは殆ど気にする必要はないでしょう。そのかわり、爪の鋭い生き物を入れた場合には、傷だらけにされてしまうのは確か。入れる生き物によっては、前面のクリアなパーツにはガラスを用いるようにすべきです。
 備考として、アクリル板には大別してキャスト板と押し出し板の二種類があります。前者は板の形状で材料を反応させアクリル樹脂としたものです。製造する厚みで最初からアクリルとして作られるそうです。対して押し出し板は、アクリル樹脂を熱で柔らかくしてローラーで圧迫し押し出すことで、色々なサイズのアクリル板を作っています。
 二種類の製造方法が並立しているのは、それぞれに一長一短があるからに他なりません。単純に言えば、前者に比べ後者は簡単な工法で製造できるので安価なのです。
 ではビバリウムに使うのはどちらが良いかというと、キャスト板のほうが良いのは確かです。価格以外の面では、キャスト板が総じて優れています。加工性も高く、硬度でも優れ、熱による反りがありません。ただ、溶剤で接着する場合、やや溶けづらいことから接着がしづらいそうです。個人的にはあまり差が分かりませんが………(そもそも、幅広い板を貼り合わせるような接着方法は、一般に販売されているアクリル接着用溶剤では押し出し板であろうとキャスト板であろうと、綺麗にはできません。)
 対して、押し出し板は、キャスト板に比べて安価ですが、やや硬度で劣り、トリマーなどによる切削加工が、細かいパーツや微細な加工になると、摩擦熱による溶融、クラックが発生しやすいため難しいという欠点があります。溝切りなどはスタートの部位でクラックが起こりやすく、また長く溝切りしようとすると途中の摩擦面で剥離が起こりやすく、現実的ではありません。ただし、端を欠けさせる、角をトリマで落とすといった程度ならば加工も可能ではあります(それでも、上手くやらないと割れや欠けが起こりやすいです)。それに、キャスト板にせよ、なんにせよ、加工の道具や技術も関わってくるので、可能か不可能かは、設備や技倆によるところが大きいと云えるでしょう。

 ただ、押し出し板は、熱を加えられると、ローラーで伸ばされたときの方向に「反ってきてしまう」という性質があります。四方をアクリルで固めれば、お互いに接着されていることで歪みが押さえ込まれ、長さや厚みにもよりますが問題にならないことが多いのですが、前面と上方が開いているタイプのビバリウムでは、この反りは無視できません。

 天井開口部であれば、枠になる幅の板を垂直に貼り合わせることでたわみを抑制できます。しかし、それも大きさが小さい場合のことで、大きくなればなるほど、精度的に問題が出てきます。

 解決策はいくつかありますが、そもそもはキャスト板を使うべきであるという意見が、おそらくは最も正しいです。開口部の大きい大型のビバリウムであればあるほど、多少高くはつきますが、天板はキャスト板で製作したほうが心配はないでしょう。しかし、キャスト板であっても後述する湿度による反りの問題は避けられません。したがって、構造で押さえ込む必要は最低限でてくると言えます。前面開放型ではない、水槽のようなものを作るのであれば、押し出し板でも良いかと思いますが、そういう場合はわざわざ板を注文するより、市販されているアクリル水槽を購入したほうがずっと安価です。

 押し出し板やキャスト板に限らず、大きいモノを作るときに一番簡単で確実なのは、アルミフレームや木枠などに、接着あるいは打ち付けてしまう方法です。1800mm以上のサイズであれば、この方式が一番確実でしょう。それほどの大きさのものを置くならば、そもそも設置する台が平滑であり地面に大して水平である必要性があるかららです。

 写真は住友化学のスミペックス。印字の方向が、矢印方向でもある。押し出し板で長い板材を取るときは、この方向に対して垂直になる方向にカットするとよいだろう。

 もうひとつは、板の方向に注意するということです。押し出し板には、方向というものがあります。ローラーで押し出して製造するのですから、製造された段階では長い長い帯のような板であり、それをカットして板に仕上げているわけです。これは製造メーカに関わらず、アクリル表面に印字されている矢印マークの方向であるようです。つまり、熱や経年による反りは、印字されている矢印の方向に対して、表向き(印刷がある面)の方向に発生するものであるということになります。
 したがって、長辺を矢印方向に直交する線でカットすれば、熱による反りを接着面により効率的に抑制できると推察されます。また、向かい合わせになる面では、反りとなる方向が互いに抑制しあうように、同じ面が向かい合わせになるように接着されるよう、板取の段階で設計すべきではないか、ということです。
 では、裏面と表面、どちらを内側にすべきなのでしょうか? その正答は分かりかねますが、管理人の根拠薄弱な予測を述べるならば、表面を内側にすべきではないかと考えています。これは、後述する水分による膨張を考えてのことです。内側が多湿な環境では、内側が水分を含んで膨張するため、外側に向かって丸まっていきます。反りは表面へ向かって発生しますから、もし表面が外に向かっていたら、水分による反りと温度による反りが同じ方向に向かって動じに発生してしまうのではないか、と予想するわけです。であれば、表面を内側にすれば、少なくとも二つの反りが相加してしまうことは無いのではあるまいか………もちろん、たんなる想像ですが?

 何れにせよ、蛍光灯が接する上の面は、必ずキャスト板で製作するのが安全なのでしょう。一番確実なのは補強を入れることです。
 また、フィルムヒーターなどを底面に仕込みたい、という場合も、やはりキャスト板で製作するのが安心でしょう。もっとも、板の長辺に対して垂直方向に補強材を入れれば、この限りではないので、このあたりは構造次第と言えます。

 ところで、キャスト板であれば反りの心配が全くないかと言えば、そんなことはない、とう問題があります。実は熱による反りとは別に、アクリルには、水分による膨張の反りというのものが起こりえるからです。
 住友化学のサイトなどに詳しいですが、アクリル樹脂は水を吸収するようです。基本的には乾燥しており、また吸水は27℃で飽和に達するのに概ね100日という長い期間を要しますが、この結果、内側は水で濡れ、外側は乾燥しているというビバリウムでは、膨張率の違いにより反りが発生します。製品にもよるでしょうが、管理人の経験では(もちろん製品にもよるのですが)、5mmアクリル・キャスト板の反りは、中央から長さ100mmに対して概ね1mm程度の高さのようです。300mmの板材なら、だいたい1-1.5mm程度反ります。もちろん、厚さにもよるでしょう(薄いほうがより起こりやすいようです)。

 この反りは製造の方向に関係なく均一に発生するようで、どちらの方向へも反りが発生します。裏と表については、調べていませんが、物質の特性なのですから、湿度の高いほうが膨張すると考えるのでよさそうな気がします(裏表を考えずに製作した六つのケースの扉が、すべて外側へ向かって反っていた)。

  ただし、これはあくまで天板や扉などに、一枚だけで使用した場合にのみ起こる話で、ケースのように接着している場合には意識する必要はないようです。あくまで、アクリル板は、押し出し板はもとより、キャスト板であっても、天板としてフタのように使用するには不適当だという話になります。薄い板で顕著に起こる現象であって、10mm以上の分厚い板ではあまり目に見えては起こりづらく、また薄い板でも補強材を入れればある程度は抑制できます。ただ、長さが700mmを超えるあたりから、精度に影響してきかねないので、こうした反りを抑制する補強を各部に入れる必要があるでしょう。

 アクリルを綺麗に切断するのは、工作機械がないと難しいです。はざい屋アクリ屋オービター などネット上にはいくつかのセミオーダー対応のアクリル屋さんがあるので、欲しい寸法のものを切断してもらって組み立てるのが一番よいと思います。

 低発泡塩ビ板。軽くて扱いやすいが、廃棄時には注意が必要。発泡素材なので、見ての通り平面部分も平滑ではなく、また切断面には発泡部分が露出するため滑らかにはならない。トリマ加工でも同様である。かわりに、鋸による切断が容易で、ステープルなどを打つことが出来、ネジ止めによるクラックの懸念などは少ない。写真はタキロンのセルラ。

□低発泡塩ビ板

 塩化ビニルは安価ではありますが、廃棄が面倒であることと、比重が1.4とアクリルに比べて重いこと、安価といってもアクリル押し出し板と比べて大差ない価格であるなどの観点から、ビバリウムの素材として選んできませんでした。大きいものであればあるほど、アクリルで作ったほうが軽く出来るからです。ただ、アクリルよりも硬いことと、熱や水分による反りが比較すればでづらいからでしょうか、フタとしてはよく活用されているようです。販売されているアクリルケースの蓋の多くは、塩ビパンチングボードのようですね。水槽のフタも、塩ビで作られているようです。ただ、これはあくまで多少反っても問題のない水槽の話で、わずかな隙間でも脱走に繋がる危険性のあるテラリウムでは、フタにはなるべくガラスを用いるべきだと思いますが(スライドなどの構造で抑えられている場合はこの限りではありません)。

 そんなわけで、ビバリウムの素材としては、あまり使わないできた塩ビ板ですが、低発泡塩ビ板、硬質塩ビ低発泡板などと呼ばれるものは、アクリル板などとは異なる利点があるので、素材の候補としてアリかな、という気もしています。低発泡塩ビ板は、簡単に言えば発泡スチロール板の塩化ビニール樹脂版です(発泡の度合いが違いますが)。発泡素材であるため、トリマなどの溝切りやヤスリがけ、研磨は素材の特性上、難しいですが、反面、切断はとてもしやすく、釘打ちが可能で、比重は0.7と水よりも軽く、またアクリルの半額程度という数多くの魅力があります。廃棄の際も、比較的簡単にカットできるので、高温ゴミ焼却処理施設へ持ち込み易いため、紹介することにしました。ダイオキシンの発生源になるため、廃棄には注意してください(特に、高温焼却炉で焼却せずに埋め立て廃棄する傾向のある地方自治体に居住されている方は要注意です)。

この為、塩ビ板やアクリル板と異なり、ステープル打ちが可能で、下穴が必要になりますがネジ止めも可能であるようです。といっても、国内では厚さ5mm程度までのものしか一般には入手できないので、あまり活用する機会はないかもしれません。

 それらを考慮した上でならば、底面に水を張るのではないビバリウム、乾燥テラリウムなどには使いやすい素材です。塩ビ素材なので、塩ビ用接着剤や、塩ビ板接着用の溶剤タイプの接着剤などが使えるでしょう。塩ビ用の溶接棒は、低発泡塩ビ板には使ったことがないのですが、可能なのかな………なんか低発泡塩ビ板のほうが熱で溶けてしまいそうな気がするのですが………そもそも、溶接棒で接着する必要があるような圧力がかかる構造物は低発泡塩ビ板では作れない気がします。

 低発泡塩ビ板は、その特性上、透明なものはありません。よって、透明部分はアクリルやガラスを用いることになります。この異種素材同士の接着の方法はシンプルで、ガラスであればシリコンで、アクリルとの接着には、液体タイプの塩化ビニル用接着溶剤と、アクリル用接着溶剤を1:1の比率で混合したものを使うだけです。

 低発泡塩ビ板には、製品名でフォーレックス、ケマセル、ソフロン、セルラなど、様々な製品がありますが、管理人はタキロンのセルラを使っています。他のブランドのものは試したことがないので、よく分かりません。ただ洋書ではビバリウムの素材としてフォーレックスがよく登場しますし、どれも使えるのではないかと思います。楽天などで探すとよいでしょう。

     

icon各部素材 (>>menu)

 基本となる素材以外にも、ビバリウムには幾つか必要なパーツがあります。例えば吸気口にはアルミパンチングボードかステンレスメッシュ、前面引き戸式であればガラスレール、観音開きであれば蝶番、素材とは少し違うかもしれませんが隙間テープなんかもそうでしょうか。だいたいどれもホームセンターに置いてありますし、送料は掛かりますがどれも通販で購入できます。

     

icon スライドレール (>>menu)

 写真は手前がアルミで、奥がPVC。素材は違うが、寸法は殆ど同じ(細部の曲線などが異なる。これは素材により製造方法が異なるからだろう)。代替品として入手する場合は寸法データを詳細にチェックしたい。

 スライドレール。ガラス戸レールとも。
 引き戸を作る部材で、大きい前面開放型のビバリウムの大半は、これを用いた前引き戸型になっています。
 上に使用するものと、下に使用するものの二種類があり、二つ一組で使うものです(販売はガラス戸レール上、ガラス戸レール下、という風に別々に販売されています)。一般的にそこまで大型ではないビバリウムで使うのは3mm厚ガラス用です。

 多くはプラスティック(PVC)製(RA)ですが、アルミニウムのもの(RA)もあります。アルミニウムとガラスの擦れる音が苦手、という人は、レールの上に滑りの良くなるシールを貼り付けるとよいでしょう。プラスティック製のものは、白、黒、茶、焦げ茶などがありますが、ホームセンターなどでは茶色ばっかりです。茶色はどうにも好きになれない、というどうしようもない理由で、管理人はアルミを使っているのだとか。このへんは趣味ですからね。   

     

icon アルミ部材 (>>menu)

 アルミのチャンネルなど。上から落とすタイプの扉を作る場合など、使用シーンはさまざま。

 スライドレール以外にも、アルミを様々な形状に加工した部材があり、ビバリウムに使えます。
 例えばコの字型のアルミチャンネルやL字金具はビバリウムの端に接着することで、上から落とすタイプの扉を作れます。他にも水切り板など、ビバリウムに活用できるパーツは様々です。
 ちなみに、同じようなパーツはプラスティック(PVC)でもありますが、管理人は見映え重視(折角作るのだから)という理由でアルミニウムのものばかり使っています。もっとも、アルミレールなどと異なり、耐久性が求められるパーツなどの場合、アルミであれば作れるが、プラスティックでは作れないというシーンもあるでしょう。
 ただ、アルミニウムは浸食とは無縁ではありません。アルマイト加工がされていれば問題はないのですが、切断面はそうもいきません。空中に出ている場合は問題ないですが、土の中などの酸性環境では浸食されるようです。透明ラッカーなどを吹き付けたりしていますが、有効手はよく分かりません。ま、数年ぐらいは平気なので、管理人はあまり気にしない(駄目になったら付け替えればいいや)ことにしています。   

     

icon アルミパンチングボード、ステンレスメッシュ (>>menu)

 アルミパンチングボード。カッターで傷をつけ、それに沿って折り曲げることで任意の形状にカットできる。穿孔の径φ、穴と穴の間隔であるピッチ=P、穴の配列、板の厚みが分かっていれば通販で間違えることはないだろう。

 通気口の素材です。アルミに小さな孔を沢山あけたアルミパンチングボードは、孔のサイズが色々あって便利です。アルマイト処理されているものを使うと良いでしょう。
 ステンレスメッシュは、通気性に優れていますが、平面へ綺麗に接着するのはアルミパンチングボードよりもやや難しこと、アルミパンチングボードであればそれなりの強度を持っているので、枠に貼り付けた状態であれば支える素材として機能させることも出来るのに対し、あくまで網なのでそれは期待できません。
 前面に使う場合は見栄えに優れ、組み立てがしやすいからか、ヤドクビバリウムではパンチングボードのほうがよく使用されているような気がします。金網よりは通気性が落ちますが、それも計算に入れればよいだけですからね(通気性は開口率を見ればおおよそ分かるでしょう)。

 一般的にビバリウムで使われるパンチングボードは、60°千鳥格子と呼ばれる配列で穴が開けられているもので、ヤドクガエル飼育用などに使われるものは厚さ0.5mm、穴の大きさφ1.0、穴と穴の間隔(穴の中心同士の間隔)ピッチ=P2.0のものです。

 これよりも開口率が高いものがあまり使われないのは、やわくなってしまうからなのか、通気が良すぎても困るということなのか、理由は分かりません。このサイズではピンヘッドのコオロギは抜けることが出来るため、それが気になる場合はより目の細かいもの(φ0.5のもの)を選んでもよいかもしれません。もっと大型の、トカゲやヘビの飼育などには、もっと目の大きく、厚さが1mmといったものを使うとよいでしょう。

 ステンレスメッシュは、いろいろ種類があります。網は、大まかに言って、素材に加え、線径、目開き(目合、開き目)、編み方により決まってくるのですが、表記が複数あるわけです。編み方は、飼育用途のものは平織になるかと思います(鳥小屋の場合は亀甲網とかになるでしょうが)。

 メッシュは1inchの間に、いくつの目が入るかという表現方法で、その中には線径は本来は定義されていませんが、目が細かいものほど線径も細くなるのが普通で、日本国内では、同じメッシュだったら、だいたい同じような線径になっているようです。そんなに原材料の鋼線の種類もないってことなのかな。よく分かりませんが。いずれにせよ、線径とメッシュが分かっていれば同じものを用意することは簡単です。

 どれぐらいの編み目のものを使うかは、使う生き物によって最適なものが導かれます。例えばハニーワームの飼育繁殖ケースだったら120、もしくは160メッシュのものを使います。これは、1令幼虫のサイズから導かれる数字です。キイロショウジョウバエが抜け出ない網の目であれば、概ね40メッシュ以上でしょうか。管理人が好んで使っているこのクラスのネットは、線径0.22mm×目開き0.42mmのもの(#40です)。ただ、これらは線径が細いので、ヤドクガエルや小型のヤモリなどには良いのですが、大型のヤモリであるとか、ピグミーモニターであるとか、モリドラゴンであるとか、そういうサイズの生き物になってくると、線径が細すぎて、爪を引っかけるときに網をゆがめてしまいかねないですし、引っ掛かって外れなくなり怪我をするおそれもありますから、そのあたりには線径0.34×目開き1.25mm、16メッシュ以上のサイズがよいでしょう。より大型になるならば、もっと線径が太いものや、編み方の違うものなどになるかと思います。このあたりは、餌に与えるものがコオロギか、それともマウスなのかによって決まってくるでしょう。

 管理人が使っているのは、60メッシュぐらいまでなら(株)吉田隆(公式サイト)工作ネットなどの名称で販売されているもの(RA)などです。まぁ、金網専門店というのは、ネット上には沢山あるので、好みのところで買えばよいでしょう。他の材料も扱っているところで買うと、まとめ買いで送料とかが割安になるっていうメリットがあります。

 個人的に、亜鉛メッキの鉄線などではなく、SUS304などのステンレス製の網を使ったほうがよいと思います。EXO TERRAのケースに使われているのはステンレスではなく、何かは興味が無いので調べていないので定かではないですがメッキの鉄線で、水滴が触れる触れない関係なく、湿度のある環境ではすぐ錆びてしまうようなので、長期的なことを考えると、ステンレスがよいと思います。

     

icon 自然素材(コルク、ヘゴ、流木) (>>menu)

 コルク樫の樹皮であるバージンコルクと、流木。朽ちづらい素材なので使いやすい。ただ、コルクは軽いが、流木は往々にして重いので、ビバリウムに埋め込むのではなく、あとから設置したほうがよいような気がする。

 樹木を由来とする自然素材の中でも、腐敗に強いものがビバリウムにはよく使われているようです。壁面などに接着したり埋め込んだりする場合、朽ちてしまうと、大きいものでは倒壊するおそれががあり、好まれないからでしょう。もともと、ビバリウムの中は再現されているといっても限定的な自然環境の再現であり、分解者となる生物が極端に少ない為(例えば朽ち木を食べる甲虫、ヤスデ、シロアリ、微少昆虫、ミミズなどは通常ビバリウムにはいない。トビムシぐらいは用土を経由して入るでしょうし、いたほうがいいとは思いますが)、朽ちる速度は遅いですが、朽ちやすいものは壁面に貼り付けたり埋め込むものには、使わないほうが無難でしょう。もちろん、埋め込まないならば、そういうものを入れるのも趣深いと思います。苔が生えて綺麗ですしね。植物を入れるなら、それらの用土に付着して様々な微少昆虫が入り込んで、いろいろビバリウムの中を闊歩するようになるものですし。

■コルク
 もっとも良く使われるのは、バージンコルク(コルクバーク)でしょう。大量に購入する場合は別ですが、園芸店よりも、ホームセンタで取り扱っているもののほうが安いことが多いので、管理人はよくホームセンターで購入してます。具体的には東急ハンズで(RA)よく買っています。園芸店などで箱買いしてもよいでしょう。
 耐久性が高く、水没しても腐朽はたいへん緩やかです(ただし、常時水没させていると、アクやヤニが出て、水質を変える原因になりますので注意が必要でしょうか)。コルクは樹皮であり、つまりはカーブしているので、平面へ綺麗に接着することは出来ませんから、ウレタンフォームと組み合わせて使うことが多いでしょう。この曲面を逆手にとって、ひっくり返して水を流して渓流を作ったりすることもできます。価格は高くなりますが、プレスして平面にしたもの販売されており、これは平面に接着がしやすいです。粉砕して作られたものはビバリウムには向かないでしょう。
 保水性は皆無なのですが、ミスティングシステムを使用して泥を塗り込むなどすると、苔や蘭を活着させられます。やはり自然な風合いがビバリウムには似合うからか人気の高い素材で、管理人も多用しています。
 実は地中海沿岸のコルク樫の樹皮だそうですから、熱帯雨林と関係なかったりしますね?

 余談ですが、バージンコルクはとくに何の加工も施されていないので、そのままビバリウムに入れると、付着していた苔やらシダやらが表面から出てきて育ちます。気になる場合はよく洗って、熱湯消毒するとよいでしょう。高圧洗浄機を使うと、簡単に綺麗に出来ます。

■ヘゴ(ヘゴ棒、ヘゴ板)

 洋蘭の栽培によく使われる素材です。ヘゴ科のヤシで、その茎から生えた気根の部位が、ヘゴ原木、ヘゴ棒、あるいはヘゴ板に成形されて利用されています。硬質で保水性は低いですが、むしろ、水はけがよいのがポイントなのでしょう。  
 ヘゴ板は高いので、ヘゴ棒をぴたっとくっつけて並べたほうが安くあがります。どちらかというと、壁面にくっつけてしまうよりも、板として積み重ねてスレートの代用品としてして使うと良いのではないかなぁという気がします。隙間があるので、コケを土と練り合わせて、すり込むことで撒き苔に近いことをすることができます。ただし、このときケト土などを使うとアオコがべったり出てしまって大変なことになるので、土のチョイスには注意が必要です(電子レンジで加熱してしまえば問題ないのかもしれませんが、管理人の過程にはそういうことが出来る電子レンジがないんですよね)。また、爪のある生き物で神経質な生き物を入れると、爪を引っかけた状態で飛び降りようとして、爪が飛んでしまうことがあるので使用に向きません。

 どちらかと言えば蘭などの植物を活着させるのに使ったほうがよいでしょう。壁面にシリコンなどで貼り付けてしまうと、再利用しづらくなって勿体ないからです。

 流木を垂直に立たせたいときには、熱帯魚用の底面フィルタに、ステンレス製のネジで裏からネジ止めをする。この後、軽石や用土をフィルタに被せていけば、安定して直立し、倒れて事故になる危険性が軽減できる。 ただし、埋まる高さを計算に入れること。プラスティック板などでもよいが、板だとネジや木材が水に浸かりすぎて朽ちてしまいやすくなるので、高さのあるフィルタの使い勝手がよい。  土を入れたところ。安定するが、地中に埋まった部分が多いので、高さがかなり無くなってしまうのが玉に瑕か。

■流木(+その他木材)
 アクアリウムではよく使われていますが、何かと高いです。でも、苔とか生やしたりと何かとあるとカッコイイのも確か。普通の木材ではなく流木を使うのは、朽ちづらいからでしょうか。
 流木の定義はよく分かりませんが、熱帯魚屋などに売られています。輸入されたものもあれば、国内のものもあるようです。水没させる訳ではないので、そこまでシビアなアク抜きは必要ないですが、海水に浸かっていたものは塩抜きをしたほうが良いでしょう。河川敷などで拾うこともできるでしょうが、国内のものであっても(むしろ国内のものほど)、どのような病原菌がいるのか分からないので、殺菌はしたいところです。日本国内の動物には問題ないものでも、ヤドクガエルなどには大変な害を及ぼすということもあり得るかもしれません。

 安全なのは煮沸することですが、大きいものになるほど煮るのは大変です。一斗缶ぐらいまでなら何とかなりますが、ドラム缶になると煮立たせるのも大事です。都市部でやったらたぶん怒られます。加えていうと、ヤニのようなものが出て鍋がべったりとしてしまうので、それを洗うのは大変です。一般家庭ではやめたほうが無難なのではないかなぁと思います。
 と、いうわけで、良く洗って、大きめの衣装ケースに入れ、水を入れてアクを抜くのが良いのでしょう。モノによっては何が潜んでいるか分からない、ような場合は薬剤で処理をしたほうがよいかもしれません。管理人はじゃぁどうしているかというと、専用の一斗缶を買いまして(近所で売ってた)、小さいものは煮る、大きいものは高圧洗浄機で表面を満遍なく綺麗にし、隙間などはバーナーで表面を焦がして、ブラシで擦って落とす(焼き桐の要領でしょうか)、それからアク抜き、という手法です。コルクと違って、多少焦げても見た目悪くならないのが流木の良いところでしょうか。

 他にも、ブドウの蔓、アケビの蔓、藤蔓、焼き桐、樹皮など、使えるものは様々です。ただ、殺菌や煮沸した場合に顕著ですが、どれも最初のうちはカビが出ることがあります。土があり微少昆虫などが発生している安定した環境がちゃんとしたビバリウムに出来ていれば、カビたりする原因はしばらくすると抜けてしまう(分解されてしまう)という傾向もあるので、一ヶ月から二ヶ月程度の寝かせる期間を作り、エージングするというのも手です。もちろん、このときは安全を期して他の生き物は入れないほうがよいでしょう。わざわざビバリウムでやる必要もないので、衣装ケースなどで程良くトビムシを湧かせて、その中で様子見をすると良いかと思います。というか、こういうエージングの手法が使えるような材木が、ビバリウムでは便利ということでしょうか。

 あとは、水没させるわけではないので、分解されること前提であれば、普通の丸太や枝、そしてもちろん葉っぱも使えます。管理人が使ったことがあるのは、サクラ、樫、ナラあたりでしょうか。権利者が許可してくれるなら、拾ってくることも出来ると思いますが、農薬がついていることがあるので要注意です。   

     

icon 発泡スチロール&発泡ポリウレタンフォーム (>>menu)

  発泡ウレタンフォーム。いくつかのメーカーがある。

 発泡素材をビバリウムに使うのを好まない人も結構いるようで、管理人もそんな一人でしたが、「発泡スチロールや発泡ポリウレタンと同じことを溶岩や他の素材で再現しようとするとめちゃくちゃ重くなる」という物理の前に敗北し、ウレタンフォーム(RA)を使うのを良しとした経緯があります(管理人のこだわりなどその程度のものだ、というエピソード)。強度が必要な生き物には使えないですが、手のひらサイズぐらいの生き物には十分使えますし、補強材を入れれば大きいものにも使えるでしょう。

 ポリウレタンフォームはスプレー缶になっており、一缶を一度に使い切るもので、思い通りに膨らませることが難しかったり(テクニック次第ではありますが)、服に着くと絶対に取れないなど、厄介な素材ではありますが、植木鉢を埋め込めたりと応用性は高いです。発泡ポリウレタンフォームだけでは見映えが今ひとつかなぁと思う方は、コルクと組み合わせると自然な感じになるかもしれません。他にも流木や、カットして接着した発泡スチロールなどと組み合わせ、上手いことやると、たぶん渓流とかも作れます。
 当然、こうした発泡素材は、単体では柔く、コオロギなどに噛み抜かれてしまうので、そのままでは使えません。着色したエポキシ樹脂や、スチロールを溶かさないようプライマーやスチロール樹脂などで保護した上でポリエステル樹脂などを塗ってコーティングするのが主流です。そこまで強度を求めないならば、パテを表面に塗って水性ニスで仕上げるのでも十分でしょう。

 どのような生き物のいるどのようなテラリウム(ビバリウム)で使うかによって、被覆として何を使うかは変わってきます。例えば、管理人は簡単なものはポリウレタン樹脂系コーキング材でカバーしていますが、これで問題にならないのは餌にショウジョウバエや、コオロギ、ローチしか使用していないからです。ハニーワームは大丈夫と思いますが、ジャイアントミルワームだと食い破られてしまうかもしれません(けっこう堅いので大丈夫かな、という気もしますが、試したことはありません。エポキシは食い破られません)。そういうものを餌に使う場合には、ちゃんと食べるのを見るか、エポキシなど丈夫なもので被覆する必要があるのでしょう。

     

icon 砂、砂礫、ピートモス、セラミス (>>menu)

 左から、黒土、桐生砂、ピートモス、赤玉土、腐葉土。

 用土は、地面に敷くことは勿論、接着剤や樹脂などを使って、壁面や素材表面に塗ったりすることで自然な風合いを出したり、苔などが生えやすくなるようにすることも出来ます。

 何で接着するかは難しい問題で、例えばエポキシ樹脂などは、粒子の細かいものであれば(砂ぐらいであれば)、塗布してから硬化前に振り掛けることで綺麗にくっつきます。ただ、エポキシに植物質のものはモノによっては難しいような気がします。エポキシが染みこんでしまえば、それは樹脂でコーティングされた状態で、ピートなどを入れた意味がないです。

 ポリウレタン樹脂系コーキング材などで付着させる場合は、ピートや樹皮培養土などが津開けると思います。これらは分解されづらいからです。すぐに分解されて崩れてしまう腐葉土や、崩れやすい黒土、赤玉土などは、付着させる意味があまり無いような気がします。まぁ、あまり試していないのも事実ですが。

 乾燥系ビバリウムに入れる場合であれば、エポキシ樹脂で擬岩を作る際に、表面に細かく擂り潰した赤玉土や黒土を塗したり、という風に使えると思いますが。

 多湿なビバリウムでは、分解しづらい、ヤシガラやピートモス、杉樹皮培養土などがよいでしょう。また、各種砂礫(小粒の軽石、富士砂、セラミスなど)も、ビバリウムが重くなることを別にすれば長期間使えるので悪くないかと思います。

     

icon製作道具と使用方法 (>>menu)

icon接着、塗装、被覆

 ビバリウム製作に使用する道具と、その簡単な使用方法について。詳しい使い方は、各製作ページのほうで記述しているかと思います。接着剤や塗料などは道具とすべきか素材とすべきか悩みましたが、道具に含めました。

    
     

icon接着剤 (>>menu)

 さまざまな接着剤がある。

 衣食住と言いますが、接着剤はそのうち住居に関わるものであるので、一大産業です。なので、ある意味使えるものは選り取り見取りであると言えましょう。その中から、使用するのに向いていて、入手しやすく、価格も安いものがビバリウムに向いていると言えます。ただ、あまりに大きな分野なので、用途に合わせた本当に沢山の種類があり、素人には何を使えばよいのかヨクワカラン?というのが正直なところでもあるのですが。

 そんなわけで、接着剤は、使用する対象や状況が多岐に亘るため、それに合わせて、それはもうもうものすごい沢山の種類があります。

信越シリコーン(信越化学)のオキシム型シリコン、シーラントKE-45 (RA)。下のコーキングガンというものに装填して使う。

■シリコン

 シリコン(シリコーン)はシーリング(防水)加工をする上で必須の素材です。たぶん、ビバリウムでは一番使うシーンの多い接着剤(シーリング材)がシリコンでしょう。
 アクリルの場合、アクリル角棒などを使うこともできますが、やはりシリコンでシーリングした方が確実です(アクリル加工に自信があるならば、なくても問題はありません)。プラスティックの筒に密閉されて入っており、コーキング・ガンという専用の工具に装着(装填?)して使用します。空気中の水分と反応して硬化し、概ね24時間で実用硬度に達します(完全硬化には23℃環境で概ね1週間程度。製品により多少差があるようです)。したがって、日本の冬でエアコンをかけている環境では硬化不良を起こす懸念があるので、そういった場合には加湿したほうがよいでしょう。
 硬化後にはどのような塗料であれ上塗りは出来ませんが、種類によっては予め着色された製品もあり、利便性が高いです。成分によって幾つか種類があり、使用目的に沿ったタイプのシリコンを選択する必要があります。ホームセンターや通販で購入できるシリコンは、大別して三つ――「オキシム型」「アルコール型」「酢酸型」です。変成シリコンというものがありますが、これはビバリウムで使うには向かないので省略です。アセトンタイプとかアミノキシタイプとかも関係ないと思うので省略です(ホームセンターで見たことないですし………)。
 管理人は専門家ではないので詳細までは知らないですが、この三つは、硬化反応時に出てくる副生成物の名です。硬化の際に抜け出てくる成分であるため、「脱オキシム型」「脱アルコール型」「脱酢酸型」と呼ぶこともあります。
 オキシム型は最も一般的なシリコンで、ガラス、アクリル、木材、石材、コルク、ウレタン、発泡スチロール、塩化ビニルなどに幅広く接着します。ただ、プラスティックへの接着性は悪くはないものの強いとは言えないので、深く水が入ったり、強い負荷が掛かる部分に適しているとは言えないようです。具体的には、アクリルとガラスの異種接着をケース底面と側面などで行う場合は、プライマーを塗布しないと、ケース内部に何かが入った状態での移動や、持ち上げ時に不安があります。
 ただ、水を深く入れたりしないアクリルで作ったケースにシーリングとして施す場合には、プライマーがなくとももオキシム型シリコーンで問題ないように思います。取り敢えず、五年ぐらい使っても問題は生じませんでした。アンバー、ブラック、ホワイト、クリアなど、着色されたものがあるのは大抵オキシム型です。
 ただ、アクリルなどの樹脂系素材には、本来はアルコール型が良いようです。アルコール型は、プラスティック(アクリル、塩化ビニルなど)、ウレタン、発泡スチロール、ガラス、アルマイト塗装アルミニウムなどの各種金属に強く接着し、浴槽や外壁などに使われるシリコンはアルコール型が多いようです。色は、クリア、ホワイト、ブラックと、そんなに種類は多くありません。圧力の掛からない場合ならば、だいたいの場合はオキシムでも問題ないように思います。アクリルケースのシーリングはオキシムでやっていますが、数年やそこらでは問題は出ていません。ただ、プラスティックの中でもポリカーボネートを使う場合はシリコンにはアルコール型を使わないと接着できないようです。そういった素材による差は知識として知っておくとよいでしょう。まぁ、ポリカーボネートは丈夫で素晴らしい素材ではありますが高価なので、ビバリウムにはあまり使わないかと思いますけれど。ビバリウムで使う素材はだいたいオキシムで大丈夫な気がしなくもないです。

 アルコール型もあんまり売っていませんが、酢酸型は輪を掛けてホームセンターでは販売されていません。取り寄せて貰うことは可能ですが、箱単位という場合が多いようです。ただ、ここ数年はネット通販で一本二本での購入可能だという処も見掛けるようになりました。
 国内の熱帯魚用ガラス水槽製作によく使われているようです。熱帯魚屋さんの水槽コーナーに行って、新品のガラス水槽に顔を近づければ、酢酸臭がするはずです。水槽用には、アミノキシタイプなど他にも種類はあるのですが、あまり一般家庭では縁が無いですし気にしなくてよいような気がします。
 高い接着力を誇り、水を入れるガラス製アクアテラリウムの製作であれば、酢酸型シリコンを使うべきです。アルマイト塗装アルミ、ステンレスなどには接着しますが、プライマーを使用したほうが望ましいようです。そして、樹脂に対する接着力は皆無で、アクリルなどは力を加えると綺麗に剥離してしまうので使えません。プライマーを使えば使えなくはないらしいですが……。

 まとめますと、ビバリウム制作においては、おそらくガラスならば酢酸型がベストだけれど、オキシム型でも問題はない。アクリルだとアルコール型がベストだけれど、オキシム型でも問題はない。ガラスとアクリル、アクリルとアルミのような異なる素材をくっつける場合は、オキシム型かアルコール型を選び、プライマーを使うのが望ましい、といったところでしょうか。専門職の方がどうやっているのかは分かりかねますが、あまり負荷の掛からないビバリウムにあっては、だいたいオキシム型で問題ないんじゃないのかな、という気がします。安いっていうのもありますしね。同じ素材同士であればプライマーは使ったことがないですし(水を張る場合は使うと思いますが)。

 プライマー。遮光瓶や缶に入って売られている。たいてい溶剤を含んでおり、モノによっては原材料に工業用ガソリンとか書いてあって、いろいろ不安になる。空調管理していない部屋とかに夏場、放置したら危なそう、という意味。セメダインの『シリコーン シーラント プライマーD3』のように、金属・ガラス・プラスティックなどに使える汎用性のあるプライマーもあれば、金属用のプライマー、プラスティック用のプライマーがそれぞれ製品化されている場合もある。写真はラベルを剥がしてしまったが、写真は信越化学が出している金属用のプライマーCと、プラスティック用のプライマーT

 シリコンはどの種類であれ、ポリプロピレン、ポリエチレンには接着せず、また後から塗装することも出来ないという性質があります。ただ、柔らかくカッターなどで簡単に削れるので、失敗した場合、完全に除去するための下地処理の手間は掛かりますが、再度やり直しが出来ない訳ではないところは、ちょっと安心な素材と言えるでしょう。

 余談ですが、最近は防かび剤配合の製品が増えてきました。一昔前まではホームセンターで取り扱っているシリコンには、「飼育水槽、飼育池など」に使えると書かれているものが多かったのですが、近年は飼育水槽には使えない、というものばかりです。たぶん、一般的な需要が浴槽や水回りの補修であって、飼育水槽用ではないという判断からでしょう。がっかり。
 管理人はセメダインのシーラントを良く使っていたのですが、2009年後半以降、セメダインのコーキング・ガンタイプのシリコンには、すべてに防かび剤が含まれるようになってしまった為、現在では信越シリコーン(信越化学)のシーラントKE-45(RA)(オキシム)、シーラントKE-420(酢酸)などを使っています。繊細なエビや珊瑚を飼育するわけではないし、ビバリウムでは殆ど生物とシリコンが接触しないので、気にしなくてもよいような気がしているのですが、よく分かりませんね。防かび剤入りのものも、飼育水が触れる可能性のない、飼育棚まわりや排水周りには使えると思います。排水タイプなら、気にしなくてよいかもしれません。

■木工用ボンド

 誰もが知っている、一番最初に使う接着剤といえば木工用ボンドではないでしょうか。酢酸ビニル系接着剤に分類される木工用ボンドは、乾燥前は白く不透明で、乾燥すると半透明になります。

 木工や紙細工、ジオラマ製作などではよく使う接着剤ですが、ビバリウム製作では殆ど出る幕がありません。理由は乾燥しても耐水性がなく、湿ると簡単に剥がれてしまうからです。

     

icon塗料 (>>menu)

 さまざまな塗料がある。写真はどれも1液タイプのもの。水性アクリル塗料は、防カビ剤含有の製品が多いのがネック。少ないが、含有しない商品もあるので、気になるならば、そういうものを探して使えばよいだろう。(写真のもののうち、水性アクリル塗料はアトムオールマイティーNeoとアサヒペン製造のPaintが該当する。それぞれ、防カビ剤配合、強力カビドメ剤配合と書かれている。どちらも水性ペンキのコーナーで販売されているが、オールマイティーNeoがアクリル塗料であるのに対し、Paintはシリコンアクリル・フッ素樹脂塗料となっており、性質が異なるので、選ぶときには注意が必要だ。)

 塗料というと、ぱっと想起されるのはペンキでしょうか。ペンキに限らず、塗料というと、着色のためというイメージが一般的かと思いますが、どちらかというと塗料には、表面を保護する素材として役割がより大きいです。塗料には、これもまた、ものすごい色々種類があるので、選択肢がありすぎて、何が良いのかよく分かりません。なので、管理人が使ったことのあるものを列記します。他に、こういうものがこういう感じで便利ですよ!みたいな話があったら、メールフォームからお知らせして貰えると管理人が喜びます。(喜ぶだけでとくに特典などはありませんが?)

 塗料には管理人は明るくないので、むしろコレを書くために色々ネットで調べたりカタログ読んだり本とか読んでみたというクチなので、間違っているところや過不足があったら、それもメールで指摘してください。

 後述しますが、コーキング材やパテも、この塗料の項目に含めてしまいました。もちろん違うものではあるのですが、ビバリウム製作ではだいたい塗料と似たような使い方をするので………まぁ、まとめちゃっていいかな、と。

 一般人でも簡単に購入可能な塗料には、フッ素樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料(1液,2液)、アクリルシリコン樹脂塗料、アクリル塗料などがあります。ホームセンターとかDIYショップへ行くと購入できるのがこのへんということです。これらの違いは様々ですが、一番分かりやすい(そしてビバリウム製作において重要と思われる)違いは耐候性で、すなわち紫外線や水分などに強いか弱いかというところが違うようです。個別の製品による違いもあるので、一概には言えないようですが、

フッ素樹脂塗料>ウレタン樹脂塗料(2液)>ウレタン樹脂塗料(1液)>アクリルシリコン樹脂塗料>アクリル塗料

 という感じで耐久性に優れると考えてよいようです。ただ、昨今、アクリル塗料コーナーでアクリル塗料として販売されているもので、高耐久とか超耐久とか書かれているものをよく見ると、「合成樹脂(シリコンアクリル・フッ素)、顔料、紫外線劣化防止剤(HALS)防カビ剤、水」と書かれていて、よく分からなくなりますが………

■水性塗料(水性アクリル塗料、水性シリコンアクリル塗料)  (>>menu)

 アクリルエマルション系の塗料は、水性で使いやすく、乾燥するとそこそこ丈夫で安価と悪くないのですが、こと飼育シーンで使おうとすると、防かび剤が入っているものが多いので、そういう製品は、使って良いものか少し躊躇いがありますね。どこまで影響があるのもなのか、よく分からない。でも、『強力、カビドメ!』とか書かれていると、これ使っていいんだろうか?という気が。爬虫類はまだ行けそうですが、両棲類とかどうなんでしょうか。水に溶け込むと、濾過バクテリアとかに悪そうな気がしてしまうのは先入観なのか。成分が分かればまだ判断のしようもあるのですが、防カビ剤としか書かれておらず成分が明記されていないので、調べようがないのですよね。

 もっとも、そもそもアクリルエマルション塗料の耐水性は低いので、水に頻繁にかかるような場所には使わないもの。あくまで下塗りとして使用する程度であって、各種クリア塗料、エポキシ樹脂や防水ニス、ポリウレタン樹脂系コーキング材などで上塗りしてしまうのですから、あまり気にしなくていいのかな、という気もします。

 ただ、上塗りするのではない、飼育ケース内部に露出するカタチで使う場合には、やっぱりちょっと気になりますね。現代日本では安全性は確保されているとは思うので脊椎動物にはそこまで影響を与えないだろうとは思いますが、それはあくまで人間の話であって、両棲類や、その繁殖に支障を来さないかどうかとなると………。

 ただ、防カビ剤が入っていないと思しき水性アクリルエマルション塗料も幾つかありますから、そういうものを使えばよいでしょう。例えば、『アサヒペン 水性ガレージカラー』とかは、カビ止め剤を配合しているとは書かれていないので、入っていないのではないかな、と予想してみたり。トップコート用のクリアもあるので使い勝手がよさそうですが、ただ、近所で売っているのを見たことがないので、通販で入手するしかないのかもしれません。

 あまりホームセンターに置かれていないのは、ホームセンターのユーザー層に人気なのはオールマイティ性の高い多用途とされるものだからなのでしょう。そして多用途には木工に使うため、カビドメが入っているものが多い。オールマイティなのがDIYでは分かりやすいから人気なのは、分からなくもないです。まぁ、生き物に使いたいとかがマイノリティだということが垣間見える一幕ですね。

 とすれば、主に金属に塗ることを想定して作られたペンキには入っていないのだと思うのですが、金属向けだと今度はさび止めが入っていて、これが何の成分なのかがもうわからんという問題はあります(わからんと言っても、あんまり調べる気がないから、調べてはいないのですけれども。問い合わせすれば教えて貰えそうな気はします)。

 あとはコンクリート用とかなら大丈夫なのかな………まぁ、いろいろありまして、素人には難しいですね。

 ところで、水性ニスなどの使い方の部分を読んでいたら、水性アクリルシリコン塗料には上塗りできない、という旨の但し書きがありました。このサイトでは水性パテにアクリル塗料を混ぜていますが、このとき混ぜているのは単なるアクリル塗料であり、シリコンアクリル塗料ではありません。シリコンアクリル(アクリルシリコン)塗料は、木材とかの塗装には使っていますが、他のモノで上塗りするようなシーンでは使っていません。なので、アクリルシリコン塗料の上にさらにいろいろな塗料が乗るかどうかは試しておらず、よく分かりません。現時点では試す予定もないので、取り敢えず、コーキング材や水性ニスなどを上塗りする予定があるときには、水性アクリル塗料を使うのをこのサイトでは推奨しておきます。

■1液型ウレタン塗料 (>>menu)

 上の写真にも写っていますのは、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂など、各種プラスティックに着色するペンキとして販売されている1液タイプのウレタン塗料です。1液ウレタン塗料は様々な種類がありますので、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。

 管理人が使ったのはサンデーペイント社(公式サイト)のもので、『水性 FRP・プラスチック用塗料』という名前でした。プラスティック全般、発泡スチロールにも塗布することの出来る使い勝手のよい塗料で、色が複数あるので使いやすいです。2液タイプは、個人のビバリウム製作では使うとも思えないので(あと、よく分からないので)割愛します。例外はあるかもしれませんが、1液ウレタン塗料全般は、水分の乾燥を経て架橋し硬化するアクリル塗料と異なり、湿気で硬化する反応型であり、乾燥までが速いという事です。タックフリーまで数分から15分程度しかないため、アクリル塗料とはちょっと塗り心地が違いますが、ドライブラシもやろうと思えば出来ます。このへんは技術次第という感じでしょうか。

 丈夫な擬岩を作る方法は幾つかありますが、そのうちの一つに、スチレンフリーのポリエステルやエポキシ樹脂で発泡スチロールを保護し、その上にさらにポリエステル樹脂などを重ね塗りするという方法があります。色を加える場合には、それぞれの樹脂に有機溶剤で溶かした顔料を加えることになりますが、それだけだと色の幅に限界がありますし高価になりがちなので、こうした塗料もまたあると便利かと思います。

 もっとも、絵筆と絵の具があっても、書ける絵は描き手次第なのは当たり前、このへんの道具がいくらあろうと、まぁなかなか良い塗装は難しいもの。このあたりは、模型制作やジオラマ制作のサイトを参考にすると良いかもしれません。使える塗料は変わってきますが、塗装の仕方などの技術的な部分は、それらが勉強になるはずです。

 岩っぽいものを作りたい場合、乾燥スタイルのサバナ気候を再現したようなテラリウムを作りたい時にはこのへんを使うのが良いのではないかと思います。

 アクリルエマルション系水性パテ。コニシのウッドパテ(RA)ヤヨイ シールパテ(RA)など、何種類かある。酢酸ビニル系もあるが、試作してないので詳しいことは分からない。

■パテ(+樹脂モルタル) (>>menu)

 パテには色々ありますが、今回は管理人がビバリウムに使えると思うパテについて。パテの自作もかねて。基本的には発泡スチロールやアクリルなどに塗って、表面を固くしてみたり造形してみたりする為のものであって、最終的には別のもので塗装します。したがって、これを塗料して良いものか迷ったのですが、まぁ塗料っぽい使い方するから、まぁいいか、と思ったのでした。常にこのサイトは適当に運営されております。

 耐水性に優れているわけではないので、乾燥系のテラリウムならば可能かもしれませんが、少なくとも多湿系のビバリウムでこれを表面にするのには無理があります。ポリウレタン樹脂系コーキング材や、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、防水ニスなどで上塗りをして使うものだと思います。

 パテはものすごく大雑把に言えば、充填材(骨材、フィラー)というベースとなる素材の粉末を、接着、硬化する素材で練り合わせたものです。充填材はタンカル(炭酸カルシウムCaCO3)、タルク(滑石Mg3Si4O10(OH)2 )、シリカ(無水ケイ酸SiO2)などが一般的でしょうか。シリカはかなりざっくりとした括りですが、アエロジルなどの製品名で売られているものが一般には入手しやすいでしょうか。

 各種パテのうち、まずエポキシパテは個人製作のビバリウムに適していない気がします。理由は中でも比較的高価だから。大きいものを作るのに向いているとは思えません。ポリパテ(ポリエステルパテ)は、自作するならばアリかな、という気はしますね。骨組みや発泡スチロールを心材として、その上にポリパテを盛って造形する。相応の固さが欲しい、例えばドワーフモニターなどのそれなりの大きさがあり、爪が鋭いトカゲに使うマテリアルを製作したいというならば、ポリパテになりそうです。でも、こうしたものに使うものはそれなりに巨大なので、自分で作る場合は硬化時間も調整したポリパテを自作し、それで造形して、最終的にはさらにポリエステル樹脂で塗装となるので、かなりな大がかりな作業ですね。管理人はどうもこのへんの成分に弱くて頭が痛くなるので換気していても厳しいのですが………マンションで自作される場合には近隣へのご配慮を。

 水を加えることで化学反応を起こして硬化するタイプのパテは、石膏をベースにしているものが多いようです。粉末で販売され、水で練って使います。良さそうだと思うのですが、まだそれほど試作していません。ただコストを安く抑えることができるので、大きいものを作るときには重宝しそうです。

 管理人が作っているのがヤドクガエル用ビバリウムやヤモリ用のテラリウムであり、そこまで大きくないこともあり、一番手軽に使えそうと考え、管理人が好んで使っているのは、合成樹脂エマルション系のパテです。入手しやすいものはアクリルエマルションで充填材を練ったものでした。製品によってはプラスティックなどへの付着も悪くなく、硬化後の削りや、中には塗装が出来る(被塗装性に優れる)ことを謳っている製品もあり、安心感があります。管理人が実際にビバリウム製作に使用したことのある製品は、「ヤヨイ化学 シールパテ(RA)」「コニシ ウッドパテ(RA)」の二つです。(他のは試用してみて、結局使わなかった)

 これらは水性パテと称されるもので、ものすごく乱暴な言い方をしてしまうならば、アクリルエマルション系の水性ペンキでタンカルとかのフィラーを練り合わせたような感じです(いえ、ホントはぜんぜん違うんですけども!)。溶剤が含まれていないので発泡スチロールなどに使うことも出来ますし、乾燥すればそれなりの防水性を期待できるわけです(ただしウッドパテはけっこう溶けますけど)。

  手軽にホームセンターなどで手に入るであろう「セメダイン かべパテ」は、MSDSを見た限りでは、充填材については公開されていませんが、酢酸ビニル樹脂エマルションと書かれており、木工用ボンドよろしく、水には弱いでしょうから、エポキシ樹脂などで仕上げる予定の乾燥テラリウムであれば使うのも悪くはないでしょうが、少なくとも多湿なケースで、塗装に割れなどがあったときに(もちろん、基本そうしたことがないという前提で、こうしたパテを使うわけですが)、そこから溶けても困るな、ということで、実際にどうなるのかは分かりませんが、結局使っていません。

 「ヤヨイ化学 シールパテ」の充填材はタンカル(炭酸カルシウム)であるようです。「コニシ ウッドパテ」は公開されていないようなのですが、MSDSにはシリカが記載されていますから、全部がそうなのかは分かりませんがシリカが含まれているのでしょう。

 硬化したアクリル樹脂やシリコン樹脂は不水溶性ですので、溶けるとすれば化学的に変化していない充填材から予測することができます(石膏は反応して硬化しますが、硬化した後のものを調べればいい)。炭酸カルシウム、タルクは主に珪酸マグネシウム、シリカは主に無水珪酸とすれば、どれも殆ど水に溶けません。炭酸カルシウムとかは少しは溶けることは溶けるのですが、パテになっていれば、流水に曝されてもそうそう簡単にビバリウムの排水管にパムッカレが出来るということはないでしょう。

 各種フィラーのpH。左から水道水、タンカル、タルク。フィラーではないが、鉄道模型用に販売されているシーナリープラスター。
 石膏。水を加えて固めたものを水に入れて一昼夜おいたもの。水に溶けやすいので、単体では水の多いビバリウムには使えないが、家にあったので試しに調べてみた。

 とはいえ、ごく僅かですが溶けるのは確かです。化学式を見れば分かりますが、これらはどれも水に溶けると弱アルカリを呈します。ビバリウムに使うには望ましく無いと言えますが、そこはいちおう、ポリウレタンシーリング材で余すことなく塗るのだから大丈夫だろう、ということです。とはいえ、さすがにそういう前提だったとしても、強アルカリのものを使うのは躊躇われます。

 そこで、自作パテや塗料を作るときの参考にするべく、各素材の粉末を水に入れ、一昼夜置いたものの上澄みに、ホームセンターで売っていたpH試験薬を入れてpHを調べて見ました。左から、水道水、タンカル、タルク。折角なので家にあったシーナリープラスター、それから石膏。水道水がだいたい中性とすると、タンカルは弱アルカリ、タルクはごく弱いアルカリ。この二つやシリカは問題なく使えそうかな、という気がしますね。対してシーナリープラスターは強アルカリで、これは使いたくないな、という感じです。

 したがって、自作でパテを作るときには、タンカルを使ってもタルクを使ってもシリカを使っても、だいたい問題はないのではないかと思います。

 石膏は流水には溶けてしまうので、今回のような用途ではタンカルなどを使ったほうがよいでしょう。ただ、固さという観点では優れていますし、工夫すれば水に多少は強くできますから、ケースバイケースだとは思いますが、もうちょっとこの辺は試作が必要でしょうか。

 これらの充填材から作られた水性パテも、だいたい同じか、より溶けづらいので中性にかなり近いぐらいのことが期待できるのではないかと思います。

 左から水道水、「トーヨー タイル接着剤」「コニシ ウッドパテ」「ヤヨイ シールパテ」「ヘンケル タイル接着材」

 そこで、「ヤヨイ化学 シールパテ」「コニシ ウッドパテ」、そして一応、樹脂モルタル代表としてヘンケルドイツのヘンケル社の日本法人であるヘンケルジャパンが販売しているdufixブランドの「タイル接着材」、それから、岩やタイルをパックパネルがわりに貼り付けたいかも、というケースを考えて、アクリルエマルション系接着材である「トーヨー タイル接着剤」を、それぞれ乾燥させたものを水に漬け、その水のpHを調べてみました。写真を見ると一目瞭然ですが、「ヘンケル dufixタイル接着材」はセメントだけあってpHが非常に高いです。ウッドパテはだいたいpHが8ぐらい。写真にはありませんが、「セメダイン かべパテ」も同じぐらいでした。「ヤヨイ シールパテ」がこの中では健闘しており、厳密にはパテとは違いますが「トーヨー タイル接着剤」はなかなか優秀なのが見て取れます。

 次に接着の具合を見てみましょう。剥がれやすいアクリル板に、それぞれの製品を塗ってみます。一番綺麗に接着されるのは、そもそも接着剤であるタイル用接着剤の面々です。特にアクリルエマルション系接着剤である「トーヨーのタイル接着剤」は一番接着力があります。ただ、接着剤が割れたりしない、接着剤同士の結びつきが強いものなので、剥がれるときはペリペリと綺麗に剥がれてしまいます。というか、アクリルなどでは剥がせます。したがって、強固に接着したい場合は、アクリルに予めサンドペーパをかけておくとよいのかもしれませんが、作り替えるときのことを考えて、これはこれで良いのかも知れません。ただ、爪のあるモニターなどの生き物だと、ばりっと全面が剥がれかねないので、気を付ける必要がありそうです。どちらかと言えば、この製品本来の使い方である、タイルやスレートを貼り付けるために使うのが一番よいのでしょう。

 次点は「ヤヨイ化学 シールパテ」「コニシ ウッドパテ」で、だいたい同じようなくっつき方をします。ナイフなどで引っかけると、割れる欠片ごとに剥がれる感じで、全体が剥がれていく感じではありません。ただ、気持ちシールパテのほうが水を含ませて擦ったときにばらばらと崩れやすく、中にも浸透しやすいようです。ウッドパテはやせが大きく、ひび割れしやすいのですが、一度乾燥してからは水が浸透しにくいようです(といっても、耐水性や防水性はなく、水は染みこみますし、水を付けて擦ると崩れていきます)。パテはそれほど丈夫ではありませんから、いずれにせよ、その後、さらに塗装などをして使うものなので、そこまで大きな差ではないと考えて良いとは思います。

 「ヘンケル タイル接着材」は、乾いているときはまずまず固く丈夫で、剥がれるときも部分しか剥がれないのですが、水が触れたときによく吸水し、吸水した状態ではとても脆く、アクリル板に塗った状態では、軽く爪でひっかいただけで擦った部分が綺麗に剥がれてしまいます。これは、あくまで乾燥した状態で使うべきということでしょう。もともと強アルカリなので剥き出しで水が浸かるような状態で使うものではないと思いますが。

 こうして見ると、「トーヨーのタイル接着剤」は、使い勝手がよく接着剤として悪くない感じですが、でも、木工用ボンドとシリコンの間みたいな感じで、固まっても柔らかさがあるので、造形には向きません。あくまで接着剤として良いので、ビバリウムにスレートなどを貼り付けるときには、コレを使おうかな、という感じです。 

 石膏系のパテのひとつ。ヤヨイ スーパー。無機顔料や水性アクリルエマルション塗料で簡単に色付けすることができる。安価だが、それなりの硬度がある。ただし、単体では耐水性は期待できない。

 いずれにせよこれらのパテは発泡スチロールや発泡ポリウレタンを上から保護して、固くするという用途でしかないので、重要なのはコストパフォーマンスかもしれません。コストパフォーマンスという意味では、石膏系パテのほうが安くて手頃なのですが、石膏系は耐水性がないのがネックでしょうか。耐水性を上げるべく、アクリルエマルション塗料とかを添加すると良いらしいですが………

 管理人の場合、造形にはアクリルペンキとか加えてちょっと耐水性を高めることを期待した「ヤヨイ シールパテ」や「コニシ ウッドパテ」を主に使っていますが、まだこれで作ってから日が浅いので、もう数年使ってみないと、確かなことは判断できないかな、と思います。

 食器の塗装にも使える食品衛生法適合の製品である、和信の水性ウレタンニス。それなりに耐水性はあるが、防水ではないので多湿な環境や、水を張るような環境では使えない。右の二つは、水性の防水ニスを謳う製品のひとつ、パジコのスーパーエクステリア マットバーニッシュ&クリアバーニッシュ。マットのほうが防水性が上とも書いてあるので、テラリウムに使うならばマットだろうか。

■水性ニス (>>menu)

 水性ニスの中には幾つかの種類がありますが、基本的には屋内の木材に使うためのものであるため、多湿環境での使用は想定されていません。例えば、和信ペイント水性ウレタンニス(RA)など、屋内用途とされるものは、実際に水没させてみると、少し吸水するようで白っぽくなります。したがって、常時は濡れていないようなモノにしか使えません。水性フローリング用ニス(RA)も同様でしょう。また、水性フローリングニスはシリコンを含む塗料の上には乗らないと書かれていますので、試してはいませんが、シリコンアクリル塗料には上塗り出来ないと考えたほうが良いのでしょう。こうした水性ニスを上塗りする予定のものの下塗りには、アクリル塗料を使っておくなど、塗料を選ぶ必要があります。

 水性ニスには、水に沈めても大丈夫だとされる、防水ニスというものがあります。パジコのスーパーエクステリア マットバーニッシュ&クリアバーニッシュなどがそれで、一液で手軽に防水が得られるのは有り難いところでしょう。道具も水洗い出来ます。ただ、特にこの手の製品の中には、弱溶剤の製品もあるようなので、試し塗りをしてみたほうがよいでしょう。少なくとも、スーパーエクステリアは溶剤を含まないので大丈夫なようです。

 乾燥環境を再現する場合には水性ウレタンニスで十分でしょうが、床材が湿っていて、毎日霧吹きするような環境では、防水ニスとされるスーパーエクステリアのような製品を使うのが確実かと思います。

 ニスは乾燥すると固くなり、なかなか丈夫になります。けっこうかちかちです。ただ、爪でぎゅーっとやれば凹ませることができる、折ることができる、そのぐらいの丈夫さです。二度三度塗りぐらいの話なので、もっと重ね塗りをすればより硬くできるのかもしれませんが。多くの防水ニスは無着色なので、予め着色しておくか、内装用の水性ニスを使って厚めに何度か塗り、最後の仕上げとして防水ニスを塗っても良いようです。

 作ってみたら、なんとなく想像していたものよりずっと丈夫な仕上がりになり驚いたのですが、それでも固さという意味ではエポキシには及びませんから、鋭い爪のあるトカゲなどには、これでは力不足ではないかと思います。あっさり貫通しちゃうのではないかと。あくまで小型種向け、非力なヤモリなど向けという感じでしょうか。

 建築用シーリング材のひとつ、2成分形ポリウレタン系 建築用シーリング材 ボンド ビューシール6909 (RA)。建築用なのでサイズが6Lからしかない。着色にはモルタル用のカラートナーを使ってみた。写真はトーヨーというメーカーが出しているカラーパウダー、レッド、イエロー、ブラック。主原料は酸化鉄なので、生物にも安全なのではないかと思われる。

■2成分形ポリウレタン シーリング材 (>>menu)

 シーリング材(コーキング材)の中で、ポリウレタン樹脂系と呼ばれるものについて。ものすごくアバウトに説明しますと、この中には二つのタイプがあり、ひとつが1成分形と呼ばれるもので、もうひとつが2成分形と呼ばれるものです。
 もちろん、これらは塗料ではありませんが、ビバリウムでは塗料のような使い方をするので、塗料の項目に含めてしまいました。

 まずは、2成分形ポリウレタン シーリング材について。二液混合型とも呼ばれますが、これは主材(基剤)と硬化剤を混合することで反応が開始し固まるタイプのシーリング材(コーキング材)で、家屋の外装、目地などに使われています。建物のコンクリートの継ぎ目にあるアレです。ビバリウムには、その中でも、低モジュラス(=弾性がある仕上がりになるもの)で、ノンブリードとされるものを用います。

 硬化剤はもともと、そこそこ溶剤臭がしますし、攪拌して硬化反応が始まってからの匂いはけっこうなものがあります。健康に宜しくないでしょうから、工作時から36時間ぐらいは特に換気をしっかりしたいところです。ちゃんと換気しないと、頭が痛くなってたいへんです(まねしないように)。試したことはないですが、同じ部屋に生き物を置いておくと、大丈夫なのかどうかが気になりますね。経験上、24時間ぐらいで殆どの匂いの発生は和らぎますが、完全硬化までは若干匂いの発生が続きますので、寒すぎると反応が進まないのですが、できれば屋内ではなく開けたベランダなどで作業をしたいころです。秋ぐらいまでに作るのがよいのかもしれませんね。余談ですが、この手の製品には冬用と夏用があり、生産月により違う性質のものを販売しているようです。屋外で制作する予定だが、ちょっと寒いかもしれない、という場合は、このあたりをチェックして購入するとよいかもしれません。

 一般家庭では攪拌するのもたいへんで、一回で使い切らねばならない二液タイプというだけでも面倒なのに、国内ではワンセットが6Lのものしか販売されていないところがネックと言えます。この手のものは、強引に分けて保存しても、それがどれだけ保つかは微妙ですし、正確に分けるのは難しですし、それは諦めたほうが無難でしょう。
 6L=6000mlですから、5mm厚で塗りつけたとしても塗装面積は12000平方センチメートル=1.2平方メートル。450*450*900mmの水槽の背面、底面、両側面を塗ったとして、12150平方センチメートルなのですが、実際やってみた感じでは、そんなに分厚くは塗ることはなく、2-3mmが良いところなので、半分ぐらいで足りてしまいます。余裕で15000-18000平方センチは塗ることが出来るでしょうし、塗る面積も実際には全面ではないですから、900*450*450mmの水槽二個を塗ってもまだ余るぐらいなのではないかと思います。もし底面に塗らないで背面と側面だけを塗るのであれば、三個ぐらい塗れてしまうでしょう。

 この一度に使い切る量の問題さえクリアできるならば、シリコンに比べて格段に塗りやすく、ピートモスやセラミスバークファイバーなどのマルチング材 (RA)などの各種素材を乾燥前に密着させると、中々によく密着してくれるので、使い勝手は良いように思います。ちょっと密室で硬化させると健康に良くないので、換気はしたほうがよいとは思いますが。

 この手のには色々な製品がありますが、ノンブリードタイプであればどれも使えるのだろうと思います。管理人が使ったことがあるのは、『ボンド ビューシール6909 (RA)』のみですが、セメダインの『S-750NB』、サンスター技研の『ペンギンシール PU9000typeNB (RA)』あたりは、仕様を見るかぎり使えそうかな、という気がします。

 混ぜる作業は均一さが重要ですから、二液を混ぜるのには電動ドリルと攪拌棒(製品名では電動ドリル用カクハン棒、パワーミキサー等)を使うのがよいでしょう。ただし、強い負荷がかかるので、低速で行うところは注意が必要です。まちがって高速で回そうとすると、モータが焦げ付きます。

 これらの製品は基本は白色で、混合具合を見るためのトナーが入っています。少量のブラックで、製品仕上がりはグレーになります。したがって、ビバリウムにおいては、色を付ける必要があります。

  何を使うのがベストなのかはよく分かっていませんが、架橋に影響しなけれ何でもよいような気がします。管理人が使っているのは、モルタル用のトナーなどの無機顔料で、トーヨー(トーヨーマテラン)という処が販売している、カラーパウダーという製品。なぜコレを使っているかというと、通販で目に付いたのがこれだったからというだけの理由です。無機顔料は、絵の具用は分かりませんが、モルタル用に販売されているものは、昨今のものは安全性に配慮しているのではないかな、と思うのですが………無機顔料には様々なものがありますので、いちおう原材料には注意したほうがよいような気がします。まぁ日本国内では余程特殊な色でないかぎりは害はないと思いますが。特殊な色は高価なので、ビバリウムには使えないでしょうし。

 管理人が使っているトーヨーのカラーパウダーは、酸化鉄を主原料とする顔料で、レッドはFe2O3、ブラックはFe3O4、イエローはFe2O3H2Oから出来ているそうです。他のメーカーのものも、さらっと調べた感じ似たようなものっぽいと思われるのですが、いちおう酸化鉄系の顔料であるか調べてから使うと良いでしょう。6Lに対し、ブラック:レッド:イエローを、100g:150g:50-60gぐらいの比率で入れると濃いめの茶色になります(ビターではない甘めのチョコレートケーキのような色です。ただし、元から入っているブラックのカラートナーも加えた場合です)。このあたりは好みで着色するとよいでしょう。あまり色作りをしていないので分からないのですが、個人的にはブラックがもうちょっとある120-150g:150g:50gあたりのほうが良いような気が。

 ………と、ここまで書いていて気になっているのが、溶剤臭気が抑えられた2成分形ポリウレタン コーキング材というのも、製造されているのではないか、ということです。言っては何ですが、ボンド ビューシールの臭いはかなりなものがあって、飼育している生き物の直ぐ傍で使うのは躊躇われるレベルです。
 管理人がビューシールを入手したのは、はっきり言えば一番安かったからです。他の製品のほうが、低臭気で優れているかもしれません。セメダインのS-750NBが、もしも低臭気だったとしたら、それは凄く魅力的ですね………というわけで、どうにも気になって入手してみたのですが、まだケースが出来ていないので、使うに使えず………低臭気なのかどうかは分からないのでした。いつになるやら………。
 低臭気であることを一番の優先事項と考えるならば、現時点で一番優れているのは、たぶん以下で紹介するセメダイン ウレタンシール S700NBでしょう。

 1成分形ポリウレタン系 シーリング材 左が『コニシ 建築用弾性シーリング材 ボンド ウレタンコーク (RA)』『セメダイン ウレタンシール S700NB (RA)』 ウレタンコークには、アンバー、ブラック、アイボリー、ライトグレー、ホワイトがあり、ウレタンシールにはホワイト、、アイボリー、アンバー、グレーがある。写真は左からアンバー、ブラック、アンバー、アイボリー。

■1成分形ポリウレタン コーキング材 (>>menu)

 2成分を混ぜて作る2成形ポリウレタンシール材が反応硬化型と呼ばれるのに対し、手軽に使えるのが湿気硬化型のもの。『セメダイン ウレタンシール S700NB (RA)』、『ボンド  ウレタンコーク (RA)』などがあります。
 詳しくは以下で述べますが、低臭気なものが欲しいならばウレタンシールS700NB、臭気はしてもよいから作業性がよいものが欲しいならばウレタンコークがでしょう。

 おなじみのコーキング・カートリッジに充填されており、コーキング・ガンに入れて使用します。空中湿度に反応して硬化反応が起こるところはシリコンなどと同じ。小さいサイズで制作するならば2成分形よりもこちらのほうが良いでしょう。シリコンと比べて数割ぐらい高価ですが、そんなに価格差はありません(大抵は。高いホームセンターだと高いですけども、そういうところはシリコンも普通に高いですからね………価格差の割合は同じぐらいじゃないかな)。

 臭気の強さは製品によってけっこう異なり、2成分形と比べて、施工時に発生する臭いは、

 2成分形(ボンド ビューシール)≧1成分(ボンド ウレタンコーク)>

>>>1成分(セメダイン ウレタンシールS700NB

 といったところ(下のほうが臭わない)。
 ボンド ウレタンコークは、2成分形よりは弱いように思いますが、それでもけっこうな溶剤臭気がします。完全硬化すれば一転臭いは収まり、水で流せば残り香もなくなりますが、硬化開始から3日ほどはけっこうな臭気なので、硬化中は気温が10℃以上(望ましいのは20℃以上)ある風通しのよい屋外に置くか、全力で換気をするべきなのは同じということです。

 今迄試した製品の中で、低臭気という意味で優れているのは1成分形のセメダイン ウレタンシールS700BNで、内外装向け、環境対策品と称するだけあって、殆ど臭わない気がします(臭いの種類がそもそも違いますが、臭いの度合いという観点ではシリコンより臭わないような気がします)。ただ、施工時の臭いについてはそうなのですが、完全硬化後については、ウレタンコークのほうが全く臭わず、残り香を洗い流せばほぼ臭わないのに対し、ウレタンシールのほうはちょっと臭いが残りやすいような気がします。よく分からないのですが、匂いが残るパターンと、2週間ぐらい使っていると匂わないパターンがあって、理由はまだ解明できていませんが、残るほうはなにやらけっこう時間が経過してもちょっと匂いを感じます。匂いがしている状態でも中にいるカエルには影響はないようなのですが、あまり良い気はしませんね………

 この溶剤臭気の強弱以外にも、この二つには違いがあります。明らかに影響してくるポイントは粘度で、ウレタンシールはウレタンコークに比べ、粘度がちょっと高めで作業性が悪く、加えて、素材への食いつき、すなわち振り掛けるピートモスなどのマテリアルでの密着性でちょっと劣るのです。粘度は、だいたいシリコンと同じぐらいで、ハケなどでは塗りづらく、コテを併用して塗っていく必要があるでしょう。ウレタンコークも、2成分形のビューシールに比べると心持ち、もったりしているのですが、それでもウレタンシールよりは塗りやすいです。

 粘度、作業性だけであれば、これまた頑張りましょうで済む話なのですが、付着力に優劣があるとなると、これはもう、一番重要なんではないかという要素なので、ウレタンコークの臭いがものすごい強いというデメリットを相殺しうるだけの長所なのではないかという気がしてくるわけです。

 したがって、大型のものや、入り組んでいて塗りづらいものを作る場合、飼育環境はもとより、生活環境とは異なる外で乾燥させることが出来るならば、作業性に優れる『ボンド  ウレタンコーク (RA)』が良いかな、と思います。逆に、生活環境、屋内での作業に限定される、飼育場所に固定されたものに作業したいなどの場合は、作業性や素材への付着性では劣りますが『セメダイン ウレタンシール S700NB (RA)』が良いでしょう。ウレタンシールを使うときは、厚めにウレタンシールを塗りつつ、ピートモスなど押しつけやすい素材を厚めに敷いて、全体を手で押さえて圧迫することを意識しましょう。この工程をちゃんとやれば、ちゃんと付着すると思います。

 まとめますと、どちらを選ぶかは、作業場所が確保できるか否か、で変わってくるのでしょう。

 尚、どちらも防カビ剤は含まれていないようです。ウレタンコークには、アンバー、ブラック、アイボリー、ライトグレー、ホワイトがあり、ウレタンシールにはホワイト、アイボリー、アンバー、グレーがあります。この中でビバリウムに使えそうな色は、アンバー、ブラック、それらと混ぜたり、顔料を混ぜるのを前提に、アイボリー、ホワイトも良いかも知れません。ただ、ウレタンコークのアンバーはややグレー調で、ウレタンシールのアンバーは、信越シリコーンにあるようなアンバーで、同じ名前でもちょっと色が違います。どれも、単体でビバリウムに使って、ちょっと下地が露出した場合、なんだかな…………という色であるような気がします。

 『セメダイン ウレタンシール S700NB』のアンバー四本にアイボリーを一本加え、酸化鉄系の赤と黄色の無機顔料で着色してみた。ポリプロピレンの容器であれば、硬化したあとに剥がせるので何回でも利用できる。五本でおおよそ600*600*600mmのビバリウム一個分(壁面がそれほど入り組んでおらず、底面を塗らないならば四本で足りるかもしれない)。

 色着けに関しては、カートリッジタイプを購入しているのに、それを他の容器に出してしまうのは何だかな、という感じなくはないですが、ポリプロピレンあたりの容器に取り出して、例えばアイボリーやアンバーやブラックをヘラやミキサーを使って練り合わせてみたり、顔料を加えて色をつけていくしかないかもしれません(同じメーカーのものならば混ぜても問題はないでしょう。違うメーカー同士では混ぜるべきではないと思います)。ただ、顔料をたくさん加えると、ちょっと硬くなっちゃう感があります。たぶん付着力も落ちるのではあるまいか、という気がするので、加えすぎには気を付けた方が良いでしょう。例えば、ウレタンコークは、無機顔料を加えすぎると、ウレタンシールとさほど変わらない固さになってしまうような気がします。あまり顔料を加えないで好みを色を出すのは、なかなか難しいところですが、ひとつの方法として、黒は顔料ではなく、ブラックで販売されているものを使って、これにアイボリーを混ぜて赤と黄の顔料を加える………といった方法が、無難ではないでしょうか。あまり作り込んでいないので、最適な比率は見出せていないのですが。

 ピートモスのような細かいものを付着させる場合は、隙間から見えることはあまりでしょうが、それでも長期的には剥がれてくる可能性はあるので、やはり気になりますね。ブラック一択っていう手もなくはないですが………でも、黒だとちょっと暗すぎる気がするんですよね………アンバーが茶系ではないし、赤っぽい色のものがないので、茶色を作るには、無機顔料の赤や黄色を使うしかないのが悩ましい。

 付着させる素材は好みかと思いますが、一応書いておきますと、湿っていると失敗しますので、かならず乾燥させて付着させましょう。ピートモスは管理の問題なのか、ちょっと湿って売られていることがあるので、衣装ケースなどに開けて、数日乾燥させて使うのが確実です。
 どちらの製品も、付着力の違いはありますが、シリコンよりもずっと付着させやすいでしょう。というか、シリコンが基本付着しないというべきかもしれませんが(そもそも、シリコンは本来、その、すぐに乾燥し、ものを付着させないところが優れているから使われているのだと思いますが)。

 カタログ(コニシ公式サイト)によればタックフリーは23℃環境で6時間、5mm厚完全硬化までは23℃環境で7日を要します。やってみた感じでは、付着させる作業は1時間から長くても2時間までには終わらせたほうがよいような気がします。2成分形は、1成分形よりも時間的には余裕があるように思います。1成形タイプは湿気による反応硬化型なので、湿度により変わってくるのでしょうが、詳しくは調べていません。シリコンなどはタックフリーは6分(信越シリコーン公式サイトのシーラント45のカタログによる)ですから、格段に作業時間に余裕があります。余談ですが、オキシムタイプのシリコンは24時間でだいたい動かせるようになりますが、こちらも内部までの完全硬化には7日ぐらいを要するものだったりします。

 モルタルはすごく沢山の種類がある。写真はタイル接着材という製品だが、これは骨材に樹脂粉末を含むので、樹脂モルタルと呼ばれるもの。セメント(ポルトランドセメント)であることに変わりはなく、接触した水は強アルカリ性を示す。

■セメント(モルタル)

 塗料に括ってよいものか悩みますが、塗料っぽく使う製品もありますし、実際のところビバリウム製作では塗料っぽく使うことが多いのでここに含めます。パテも似たような扱いですし。
 モルタルは、それ単体でビバリウムを作れる優れた素材です(といっても、シーラー、トップコートなどの塗装は必要になりますから、単体と言ってよいものか、という気はしますが)。コンクリート製で、防水塗料やコート材を塗って作られた貯水池なんかが最たるものでしょう。プールとかもある意味そうです。といっても、よほど巨大なものでない限り、コンクリートでビバリウムを作ることはないと思いますが。でも、池とかバックパネルとかに限れば、モルタルで作っている人はけっこういるようです

 モルタルを利用する方式のメリットは、頑丈なものが作れることです。とても硬く、重量級の生き物に使うものを作ることができます。ですが、モルタルは水に濡れると強アルカリ性になるため、池などの飼育設備を作るには、しっかりとしたあく抜きと防水処理が必要になります。詳しい方法は、そうした製作について触れたページを参照すべきで、此処では解説を控えます(管理人にはあまり製作経験がないからです)。

 いずれにせよ、中和、アク抜きをしないとほぼ全ての生き物にとって有害で、水棲生物を含め多くの生き物に致死的です(種類によるとは思いますが、このページが想定しているヤドクガエルの場合は、弱酸性~中性が好みだったはずです。)。

 モルタルは、表面を中和させ、塗装して遮断してしまえば問題ないのは確かですが、モルタルの種類によって方法や必要な時間が変わってくるようなので、製品ごとの違いを把握せねばならず、難しいところですね。既にその製品について熟知していれば問題はないのですが。

 モルタルは何かと重いです。ですが、その分だけ丈夫です。場合によっては、重さに意味があるという場合もあるでしょうから、結局のところ適材適所なのだと思います。例えばオオトカゲや、イグアナのような巨大で重量がありパワフルな生き物の場合は、モルタルで作るのが一番よいでしょう。猛禽のように爪が鋭い場合もそうですかね。

 造形全部をモルタルで作らなくても、モルタルの種類を選べば(シーラーなどは必須ですが)、軽い他の素材でベースを作り、表層に塗るようにして盛りつけて造形するという方法も可能です。ただ、下の素材によっては、でっぱったり複雑な造形をしている箇所に力がかかると表面がモルタルでも破損する懸念があるので、しっかり下地に付着させる工夫や、下の素材や構造に気を付ける必要が出てくるでしょう。大きい場合、とても高さがあって、中に入れる生き物が重量級だったら、針金とかで鉄筋構造にしなきゃダメかも知れませんし………ただ、正直、管理人はそういう生き物を飼育していないので、結果作ったことがあんまりなく(二回ほど作りましたが………)、モルタルについては説明するほどの知識はないので、このページでは素材の紹介に留めたいと思います。

 パワーのない生き物を飼育する場合、バックパネルやマテリアルを作りたい、ということならば、塗料やパテのように使える製品もいくつかあり、なかなか便利ではあると思います。例えば、写真にありますポリマーセメント系のタイル接着剤は、発泡スチロールなどの表面に塗布すると岩っぽい風合いを出せるので、ジオラマ製作ではよく使われています。もともとはお風呂場などに使われるタイルを接着する為のもので、いちおうアクリルや発泡スチロールにも付着しますし、入手もしやすいのですが、あくまで乾燥状態の話で、これ単体では完全に水没させたりすると擦るだけで剥がせてしまうぐらいの強度しかないため、しっかり塗りたいときには、下塗りと上塗り処理などが必要ではあります。また、接触した水を強アルカリ性にしてしまうところは通常のモルタル同様で、完全に何かで被覆してしまうといったことでもないかぎり両棲類用のビバリウムに使うことは難しいでしょう。

 もっと実践を積めば、或いは書けるようになる気もするのですが、管理人は他の素材で作っていることが多いので、あんまり実践の機会もないし、はたして今後、追記できるのかどうか………。

     

icon塩ビ・アクリル接着剤 (>>menu)

 瓶に入っているが、特にサンデーシートのほうはかなり臭うので、保存には密閉容器に入れておくほうがよいようだ。

 写真は溶剤タイプのアクリル接着剤と塩ビ接着剤。塩ビとアクリルの異種接着には50%:50%で混ぜたものを使います。塩ビ用接着剤には幾つかありますが、異種接着をするには溶剤タイプを使うのがよいでしょう。塩ビパイプなどの場合は、普通の接着剤でもよいですが。
 といっても、ビバリウム製作では塩ビパイプを排水系に使いますが、パイプの中を水が満たす訳でもなく、水圧がかかるわけでもないので、ただ差し込んでおくだけで大丈夫だったりしますが。

 そんなわけでアクリル接着剤の話。製品にもよりますが、右端にあるような注射針のようなもの(先が針になっていないので、正確には針ではないので、ようなもの)がくっついた目薬の瓶みたいのを使い、接着剤を接着部に流し込むというイメージです。接着剤といっても溶剤であり、隙間に素早く浸透すると、接触面であるアクリルを溶かし、結果アクリル同士を接着します。蒸発はものの数十秒から数分程度であることから(奥まったところは乾燥しづらい)、板と板の角を合わせて接着するようなことは簡単で、すぐに組み立てられるので楽なのですが、ある程度の広さ、例えば板と板をそのまま貼り合わせる、という事は難しくなります(不可能ではないですが、綺麗に接着するのは難しい)。
 アクリルに垂れると跡になってしまったりと厄介なところもあるのですが、そういう場合は研磨剤をバフを使い磨くと綺麗になります。

     

icon各種樹脂 (>>menu)

 不飽和ポリエステルはノンパラフィンの製品を使う。右はスチロール樹脂。缶に入っているが、基本的にそんなに長期保存できるものではない。単価が安いからといって大きいの買っても結局はムダになるものなので、使い切る量を毎回購入するのがよいだろう。(経験談ですか? <そうですが?)

 エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチロール樹脂などがビバリウム制作には使用されることがあります。これらの樹脂は、液体で缶に入って販売されています。硬化剤と呼ばれる成分を加えて攪拌し、化学反応を起こさせることで硬化します。硬化すると摩耗にも強い非常に丈夫な樹脂となるなるため、ベースとなる素材の表面に塗布したり、布や繊維に浸透させたり、何かを封入することに使えます。ただ、樹脂の種類によっては、溶剤を含むために、ポリウレタンフォームや発泡スチロールなどを溶かしてしまいます。具体的には普通の不飽和ポリエステル樹脂だと溶けてしまうので、これを使いたい場合には、スチロール樹脂や、発泡スチロール用樹脂として販売されているもので一度下塗りをし、乾いたところで、さらに不飽和ポリエステル樹脂を重ね塗りするのが主流です。不飽和ポリエステル樹脂は作成時に出る臭気が強いので、飼育部屋ではなく、別の部屋で製作するか、かなり強力に換気しながら作業をする必要があるでしょう。エポキシもかなり臭いますが、不飽和ポリエステルほどではありません。個人的にはエポキシ樹脂のほうが良いのではないかと思うのですが、不飽和ポリエステル樹脂は何かと安価なので、大きいものを作るときは検討したくなるのですよね………小さいものの場合は、エポキシのほうがオススメです。

 樹脂の種類やグレードにもよりますが、通常は硬化したときに透明~薄黄褐色の透明になるため、ビバリウム製作では、着色剤を樹脂に予め添加するか、FRP用のペンキを上塗りします。発泡スチロール用の下塗り樹脂には、後から重ね塗りをすることを考慮に入れて、灰色などに着色されているものがあります。この場合は、FRP用ペンキで塗装すると良いでしょう。クリアなものを作りたいときはグレードの高いエポキシ樹脂などを選択するようです。てかりが出てしまうのでビバリウムで透明なものは不自然になってしまいますが。

  実のところ管理人はこのタイプの材料には明るくありません。知識も足りないですし、技術も拙いですし、もっと経験を積まないとな、という感じです。でも、製作こそ面倒ですが、完成品の安定性は抜群ですし、技術さえあれば面白いのは確かだとも思いますが。

 基本的なこととして、ざっとやってみた感じ、これらは屋内でやるべき作業ではないというのは間違いないかと思います。特に不飽和ポリエステル樹脂は匂いがひどいです。なので、多少高価であっても、趣味で作る範囲においては、エポキシ樹脂で作ることを管理人としては強く推奨いたします………いやもう、ホント、なんなのってぐらいひどいので。どれも匂うという意味では違いませんし、もちろん、製品のグレードにもよるのかもしれませんが、だとすると管理人が使ったものよりももっとキビシイものもあるかもしれませんからね。尚、飼育で使いますので、ノンパラを使用したほうが良いのではないかな、と思います。でもあんまり詳しくないのですよね、このへん………なんか苦手なので、あんまり今後も上手くならない気がします………。

     

iconカッティングシート (>>menu)

 バラ売りもされているが、ロールで買うほうが安価。耐候性のあるものはそれなりの価格がする。

 カッティングシートを合板などに貼り付けることでテラリウムを製作するのは、水分を多用しない、ヘビ向けのビバリウムを作るときに使われる手法です。トカゲなどと違い爪がないヘビは、カッティングシートのように薄く破れやすいものも、破く心配がないからです。木材はメーターを超えるようなサイズでも加工性が高く、大型や、イメージとしては本棚のように多段のものを効率よく簡単に製作することが出来ます。棚の固定にはネジなどを使えるので、しっかりと固定したり、接着剤を使わなければやり直しも簡単です。

 カッティングシートには、全耐候性と呼ばれる、十年以上屋外での使用に耐える製品があり、これを使えば、木材に貼っただけでヤモリやヤドクガエルの飼育に耐える大型ケースを製作することも可能であるようです。ただし、蛇のビバリウムであれば問題はないのですが、餌にコオロギやハニーワームを使うヤドクガエルやヤモリなどの飼育では、特にハニーワームなどのように顎の力が強い昆虫の前には突破されてしまいかねないので、カッティングシートはあくまで木材表面への下地とし、さらにカッティングシートの上に、コルクなどを貼り付けていくのが一般的です。また、底面及び底面から数センチ、土を敷く部分には、アクリルや、もう少し分厚い、池を製作するときに使う塩ビシートを使うほうが確実でしょう。

 この手の製品を使う場合、製品として問題がなくても、工作の上手下手により、製品の性能を十全に発揮できない事態が考えられるので、シビアな環境を作るケースをこれ単体で作る気にはどうにもなれません。ヘビやヤモリ用などには良さそうだな、と思いますが………。

 ただ、ガラスやアクリル製のビバリウムで、壁面に色々なマテリアルを設置するとき、将来的に作り替えたりする時のことを考えて、壁面に予めカッティングシートを貼り付けておいいたり、またはバックシートとして貼ったりという用途として、管理人は好んで使っています。特にガラスはクリアなものしかありませんが、そこにシリコンでものをべたべた貼ると、裏から見たとき、なにかと見栄えがよろしくありません。カッティングシートを貼ってあれば、これが解決できます。また、ウレタンフォームは紫外線に弱いため、ウレタンフォームをガラスに直接吹き付けると、数年で裏側から痛んできてしまうので(紫外線に強いと謳われる製品は別ですが)、なるべく光を透過しない黒や濃い緑などを使うとよいでしょう。

     

icon道具・消耗品(マスキングテープ、手袋) (>>menu)

 S.M.Lとあるので、自分の手に合ったサイズを。ドラッグストアとかにも売っています。

 天然ゴムで作られた使い捨て手袋です。ディスポーザブルグローブ、ともいいます。塗装、接着といった、シリコンや塗料を使うシーンでは手に汚れが付着すると、予定外のところにも塗料や接着剤が付着してしまい見映えが悪くなりますから、手袋は利便性の高いアイテムです。
 ただし、有機溶剤や油性ペンキなどゴムを溶かしてしまうものを使用しているときは、ゴムが溶けてかえって素材を汚してしまうので、ケースバイケースです。粉(パウンド)がついているタイプの手袋は、接着面や塗装面を汚すのでこうした用途には向きません。粉の無いタイプ(ノンパウダー、パウダーフリー)を使用したほうがよいでしょう。
 管理人はアクリル接着の際には使いませんが、シリコンの塗布や各種の塗装、ポリウレタンフォームを使うときには使用するようにしています。

 幅広のものや、塗装用にはビニールと組み合わさったものなどもあったりする。種類の違いをあまり把握していない、というのが正直なところ。ホームセンターでまとめ買いしているだけ。

■マスキングテープ
 シーリングをしたり、綺麗にケースを作ったりする上で絶対に必要なのがマスキングテープです。簡単に剥がせる紙テープといった風ですが、水が浸透しないようにもなっています。マスキングテープには塗装用のものもあるようですが、違いを管理人はいまひとつ理解していません。だいたい、オレンジかブルーものを利用しています。近所で売っているのです。
 使用方法は至って単純、「シリコン(もしくは塗料)を、くっつけたくない場所に貼り付ける」です。塗っている時間よりも、マスキングにかける時間のほうが長かったりします。綺麗に折り返せているかとか、そういうのが仕上げに影響してきますからね………。色々な幅のものがありますが、ビバリウム製作では10-12mmぐらいのものでいいでしょう。まぁ、いちばん見掛けますし、安いですし。

 

icon切断、穿孔、切削、研磨 (>>menu)

 ビバリウム製作に使用する各種道具と、その簡単な使用方法について。加工全般――切断、穿孔、切削、研磨について。

icon 防護メガネ、固定具、ジグ、補助器具 (>>menu)

 写真を使い回しておりますよ? ゴーグルは、メガネをしていてもかけられるというものもあるので、そういうものがよいです。思わぬ方向から破片は飛んでくるものなので、メガネではなくゴーグルでなければダメですよ。『メガネしてるから大丈夫じゃないかな』という軽い気持ちで植木鉢を加工していて、微細な破片が目に刺さって病院に直行した莫迦な人がいるらしいですからね! ちなみに、白目に刺さっていたので大事ありませんでした。

 早い話が防護用品です。 防護メガネ (AA) は、切断、穿孔、切削、研磨といったあらゆる加工作業すべてで必要です。電動工具を使った作業では、切りくずが飛んで目に入る危険性がありますし、切断とは関係ない作業でも、事故の際に何か破片が飛ばないとも限りません。金属やガラスの加工、ジグソーやトリマーの加工、研磨材が飛び散る可能性のあるフェルトホイルを使用しての研磨作業――どのような作業であれ、パワーのある電動工具を使う場合は、常に防護メガネを忘れないことが絶対に必要。一番大切だと言って過言ではありませんですよ。
 手袋は、シリコンや塗料を扱うときには、手を保護する意味であると便利なのですが、電気工具を扱うときには、手袋をしていると(とくに軍手のような繊維で編まれたものだと)巻き込まれる危険があるので、このあたりは各電気工具の取扱説明書を参照してください。

     

icon 切断工具(カッター各種) (>>menu)

 各種カッター。この中で管理人が愛用しているのは、NT カッタープロシリーズ AD-2Pという右側中央の銀色のカッター。たぶん今迄に10本は買ったかな。鋭角の刃が良いです。あと、左上の、オルファ(公式サイト)スクレーパーL型は丈夫で使いやすく、オススメです。

 カッターナイフ 、デザインカッター、アクリルカッター (AA)円切りカッター (AA) など。少し違いますが、スクレーパ (AA) (スクレーパー)やノガバー(バリ取り)も此処に含まれるでしょうか(沢山項目作ると色々面倒なので、まとめちゃいたいのです)。

 カッターに関しては、説明不要でしょう。大きいものと小さいもの、二つあると便利です。小さいものは、デザインカッターの代用になります。ビバリウム製作では、それほど精密な作業をしないからです。
 アクリルカッター、円切りカッターは、使用する必要性があれば購入、といったところでしょうか。
 スクレーパはビバリウム製作ではとても便利なので、一本購入することをお勧めします。カッターの刃だけを使えば代用できそうなものに感じられますが、強度が違いますし、取っ手が付いていると取り回しが全然違います。シリコン剥がし、カッティングシート剥がしなど、とにかく剥がすシーンで威力を発揮する道具です。ノガバー、バリ取りは、切断面を均すのに使うもの。精度は出ませんが特にパイプの中のような曲がったところや、荒い面取りなどに役立ちます。   

     

iconノコギリ(万能鋸、金鋸、糸鋸) (>>menu)

 写真の上に写っているのは、ソーガイドという道具。ノコギリとセットになるが、けっこう便利で、気に入っている。だいぶ年期が入っているが、下のカナノコのようなシンプルなものの場合、それ用のヤスリで目立てすることで長く使える。

 ノコギリには色々な種類がありますが、基本的には万能ノコギリと呼ばれるものを購入しておけばよいでしょう。日本のノコギリの多くは引くときに切れるノコギリです。
 金属の切断や、刳り抜き切断などが必要になったら糸鋸を購入する必要性が出てきますが、記憶を振り返る限り、ビバリウム製作では、万能ノコギリ一本で事足りてしまうと思います。アルミニウムフレームを使う場合は、金属ノコギリが欲しいところですが、数が少ない場合は、ホームセンターなどでお願いしてしまったほうが楽でしょう……無論安価だとは言えないので、数が必要だったり、先々のことを考えたらならば、購入して損だということはないのですが。

 余談ですが、普通の人にはノコギリがあったところでまっすぐな直線など出しようがないので、管理人はソーガイド (AA) などの補助器具を使っています。

 電動ノコギリは、何種類かありますが、手頃な価格で入手可能なのはジグソー、丸ノコ、正確にはノコギリではありませんが切断砥石を使ったディスクグラインダ、スライド丸ノコ、といったところでしょうか。そのうち、ジグソーは、工作の幅が広がるし、楽に使えるのでオススメです。ただ、丸ノコ、ディスクグラインダの使用はオススメしかねます。工夫と固定台さえしっかりしていれば綺麗に切断できるのですが、ちょっと危険度合いが大きすぎるからです。スライド丸ノコとかならまだ安全だし便利ですが、ちょっと高いですね。このページで紹介しているものは、こうした電気工具がなくても作れるもののみになっています。   

     

icon ハサミ(金バサミ) (>>menu)

 金バサミ。万能バサミといった名前で売られていることもある。

 ビバリウム製作では、実はハサミはあんまり使いません。剪断応力で対象を切断するハサミは、切断面が微かですが曲がるので、綺麗に平面に貼り付けるカッティングシートなどの切断には向かないし、それ以上の厚みがあるものであれば尚更だからです。こうしたものの切断にはカッターを使うべきでしょう。

 ただ、ステンレスメッシュや金網などを切断するには、金バサミ(万能ハサミ) (AA) に登場して貰いますから、まったく不必要という訳でもありません。ステンレスメッシュなども金バサミで切りたいところです。普通のハサミでも切れないことはないですが、たぶんすぐにハサミがダメになてしまいます。

 これらのメッシュのうちでも、特に、目の細かい、つまり細い金属線で編まれた網を切断するときは、切り屑がたいへん危ないので注意が必要です。粘着テープを裏表に貼り付けたりして切断するなど、切り屑が飛ばないようにしましょう。また、できれば新聞紙などを広げたベランダなどで切断すべきです。それでも切断時の力の掛かる方向などで、けっこう飛び散るもので、それらが衣服につくかもしれないので、注意してください。絨毯やカーペット、それから衣服に付着すると、簡単に取れない上に大変危険です。皮膚ならば痛いですむかもしれませんが、眼球に入ると大事です。そういう場合は、すぐに眼科に掛かりましょう。

     

icon 電動ドライバ(ドリル) (>>menu)

 個人的にはバッテリータイプが好きだが、思い立ったときに直ぐに使えるという安心感がコンセントタイプにはあるのも確か。あとちょっとこっちのほうが安いか。

 ホームセンターの特売とかで、数千円ぐらいで販売していることすらある電動ドリル。木工ではないので、インパクトドライバよりも電動ドリルドライバが便利です。

 電動ドリルはあるとすごく便利なのですが、よくよく考えてみると、あんまりビバリウム製作では必要ないような気もしてきました……穴開けるのって、ミスティングシステムのときぐらい?

  でもまぁ、ドリルは穴空けのみに使用するにあらず。それに、一家に一台あると、何かと便利だから、という理由で購入しても顰蹙を買わない電動工具の一つですし、入手してみるのをオススメします。

  電動ドリルにはコンセントに繋ぐタイプと、充電器式のものと二つありますが、狭い場所での取り回しなどを考えると充電器式のものが管理人は好みです。ただ、充電池には寿命がありますので、そこは考慮しなくてはならないでしょうか。コンセントタイプは、充電池残量を気にせず、ずっと使い続けられるところが魅力ですね。ただし、もしも、ダイヤモンドコアドリルやダイヤモンドホールソーを使って、ガラスに穴を空ける作業をしたい、という場合は充電式ドリルにすべきです。100Vの電源に接続している防水仕様でない電動ドリルを水を掛けている状態の場所で使うというのは、正気で考えれば自殺行為だからです。このサイトでは、そういう工作には必ず充電式のドリルドライバを推奨します。

 そんな訳で、一個持つだけならば、充電式ドリルドライバがオススメです。重いですけど、がんばりましょう。

 さて、有名メーカのものであればどれでもかまわないでしょう。仕事で使うのではない、DIYレベルの安価な電動ドリルであれば、価格差も殆どなく性能も似たようなものだからです。そんな良いってものがあるわけではなく、だいたいの場合、生産国も同じようなところであり、グリスの匂いが悪いとか、悪いところもだいたい同じということなのですが。管理人はホームセンタで新春安売りしていたという理由で、BLACK&DECKER (AA) の製品を最初に買い、次にBOSCH (AA) を買いました(どちらも一万円前後の製品)。次はRYOBI (AA) にしてみようかな、と思っています。たまに、バッテリが一個オマケでついてくるパックなんかが春とかに売り出されることがあります。バッテリが二個あると、交互に使い回しができるのと、長く使えるのでオススメです。

 電動ドリルドライバは、使用するドリルビットの種類で工作の自由度が大きく変わってきます。ビバリウム製作では使いませんが、プラスドライバビットは基本中の基本です。ネジによって、使うドライバビットはいろいろあるので、小さいものと中くらいのものと大きいものの三つに対応したドリルビットが、それぞれ一つずつぐらいあると便利です。最初は、ビットセット (AA) あたりから始めるのが手堅いかもしれません。ビバリウムを乗せる台を作るなら、木ねじなどを回すためにこれらは威力を発揮します。

 様々なドリルビット。鉄工ドリル、フォスナービット、フェルトホイル(中央奥)、面取りカッター(中央)、ホールソウ(左手前、右奥)、自由錐(中央右から2番目)、ガラス用ダイヤモンドコアビット(右手前)、六角軸回転ヤスリ(左上、鉄工ドリルの手前)

 電動ドリルで使えるドリルビットには様々なものがあります。このサイトで作るようなものに使うドリルビットには、「鉄工用ドリルビット (AA) 」、「木工用ドリルビット (AA) 」、「アクリル用ドリルビット(あるいは、マルチドリルビット (AA) )」などがあります。専用のものを使った方がよいのは当然ではあるものの、鉄工用ドリルビットで木工用ドリルビットの代用をすることは出来なくはない(工作の方法次第)と管理人は思いますが、逆は不可能です。

 それから、アクリル用ドリルビット、これはアクリルに穴を空けるのに使用するものです。一見、アクリルなら、鉄工用とかで代用できるのでは?と思われるかもですが、鉄工用ドリルビットで綺麗にアクリルに穴を空けるのは至難の業です。余談ですが、鉄工用ビットをヤスリで削ってアクリル用に仕上げることも可能ですが、自分で作ってみたところ、それなりに作るのが難しく面倒だったので、此処では紹介しません。

 もっと大きな穴を空けたい場合は、ホールソー (AA) (ホールソウ)、自由錐 (AA) 、と呼ばれるものがあります。どちらも、素材としては固くないものに穴をあけるためのものです。ホールソーは決まった大きさの穴しか空けられませんが(ブレもあるため、かなりアバウトなサイズになりますが)、比較的綺麗に空けられます。木工用のものは安価に入手できますが、鉄工用はけっこう良い値段します(鋼材が良いのと、精度が高くできているからです)。でも、鉄工用が必要になるシーンは、ビバリウム製作にはないでしょう。自由錐は任意の大きさを空けられて便利なのですが、ホールソーに比べて加工がしづらいので練習が必要なことと、小さいサイズの穴の場合は限界があること、周囲にぶつかるものがあると使えないなどの制約があります。

 フォスナービット (AA) は、所謂「止め穴」加工をすることの出来るビットです。中央はちょっと凹みますが。これがあると、例えばミスティングシステムの隔壁ユニオンは5mm厚対応ですが、10mmの板でも、5mmの深さに穴を掘り、さらに中央に穴をあけることで、埋め込むカタチでミスティングシステムをセットできます(余談ですが隔壁ユニオン(チューブフィッティングミニ)の外径は概ね16mmです)。

 此以外にもアングルビット (AA)回転ヤスリ (AA) 、研磨材をつけてアクリルを磨くフェルトホイル(回転バフ)など色々面白いビットがあり、電動ドリルを購入すると、あれよあれよとドリルビットが増えていき、電動ドリルよりも高くついてしまうかもしれません。まぁ、そういうものです(笑)   

     

icon トリマー、ルーター (>>menu)

 ルーター・テーブル。トリマやルーターは、こうしたテーブルか、最低でもジグとそれを固定するクランプがないとまともな工作をすることは出来ない。小さいパーツを安全に送るにはグラインダートング、フェザーボードを用意したりすることが望ましく、それら諸々を自作したりすることになる。切り子が飛ぶので掃除機が必要で、普通の家庭用だとすぐに詰まるのでサイクロン集塵器を自作したりしはじめると、もはや本末転倒である。

 トリマ、リューターなどとも呼ばれます。たいへんに危険な工具であるため、当サイトでは使用を推奨しません。
 扱いを間違うと、指を欠損したりすることも有り得ますし、破片が飛んで失明することも起こりえるでしょう(それはまぁ、ゴーグルしとけば良いだけの話ですが)。電動工具は、どのような道具でもそれは起こりえることですが、トリマーやディスクグラインダ、丸ノコはそうした危険度合いが他の電気工具(電動ドリルやジグソー)に比べて格段に高いので、管理人はこうした道具を使わなくても製作できるものを、このサイトでは紹介しています。正確には、そのあたりはアウトソーシングして、本職の方々にやっていただくという姿勢なわけです。アクリルのカットオーダーとか。

 幾つかの場面では、実際にトリマーを使った加工をしているので、一応道具にも書いておきましたが、そういう場合でも、代替えとなる加工方法を併記するようにしています。加工対象がアクリルなので、殆どの工作は糸ノコとヤスリで再現可能でしょう。
 また、昨今はアクリルのセミオーダーというのを引き受けてくれる店舗は数多く存在しますので、自分で工作せずとも、発注すれば簡単に、自分で作るよりも高い精度のものが手に入ります。個人的には、発注するのが一番じゃないかと思っています。
 これを固定できるようにした台、ルーターテーブルというものもありますが、これまたあまり使うものでもありません。そもそも騒音がスゴくて、近隣住民への配慮がものすごく必要になる機械で、粉塵がスゴイのでマスクと防護ゴーグルをした上で掃除機などが必須で、掃除機ではあっという間に切り屑が貯まってしまうのでサイクロン集塵器が必要で………とまぁ、いっちゃなんですが、本末転倒になります。だって、飼育することが目的であって、DIYが趣味ってわけじゃないでしょう?

     

iconヤスリ(鑢) (>>menu)

 右から、サンドペーパ各種(耐水、非耐水)、下からワイヤーブラシ、菱形の両刃ヤスリ(油目)×2、鉄工用中目、ドレッサー、左上はサンドペーパ・ホルダ。左がダイヤモンドヤスリの一種、ダイヤモンドプレート。サンドペーパホルダは、角材にサンドペーパを巻き付けて端をステープルで打ったり、ガムテープで貼っただけでも十分使える。というか、まぁビバリウム製作ではあまり使わない気がする。

 何かと便利な道具、ヤスリ (AA) です。というか、ヤスリは工作の必須道具の一つでしょう。

 アクリルでケースを作る場合や、アルミ部材を使用する場合には必要になります。ヤスリは粗目、中目、細目と三種類は欲しいところですが、粗目は中目で代用できなくはないので、細目と中目で十分かもしれません。
 安物を買うと、いっちゃなんですがホント安物なので大して使い物にならないことがあります。あれは鉄がよくないのでしょうね。

 余談ですが、ヤスリは”押して”削ります。例外として、砥粒を付着させたタイプのヤスリである、サンドペーパや、それに類するダイヤモンドヤスリ、ドレッサーなどがありますが、これらには、ヤスリの目に方向がないからです。コンパウンドに方向がないのと同じですね(でも、綺麗に仕上げるには往復ではく一方向で加工したほうがよいことに変わりは無いと思いますが、どうなんでしょう)。それ以外の、いわゆる木の柄のある棒のようなヤスリには刃の目に方向があり、それが引っ掛かる方向でしか削れません。つまり、引いて削れることはなく、当然ながら往復させて使うものではありません。むしろ力を入れて引いたりしたら、ヤスリの寿命を縮めます。

 いろいろなものを製作している人の映像で、ヤスリがけをしているときに往復して削っているように見えるものがあるかもしれませんが、あれは引くときには力を抜いている筈です。押して削ったら持ち上げて、削り具合をチェックし、削るところに当ててもう一度押して削るようにすると、精度よく工作できるかもしれません。

 ヤスリは使ったら工業用油(ミシン油とか)をつけて、ワイヤーブラシで掃除しましょう。

 サンドペーパ(サンドペーパー)やダイヤモンドヤスリなんてものもあります。サンドペーパー以外は、まぁ、ビバリウムケース製作では使わないかな………。サンドブラストとかは………まぁ普通の家庭では無理だと思いますし……………。そういえば、一部の乾燥系の爬虫類の床材として、サンドブラスト用のクルミのグリットっぽいものが売られていますね。

 アクリルは製作途中でどうしても傷がついてしまったり、接着剤がたれてしまって見映えが悪くなることがあります。そういうときは、研磨することで輝きが戻せます。凹みが激しいとどうにもなりませんが、それでも誤魔化すぐらいは出来るでしょう。研磨材は専用のものがあるので、それを布につけて、ごしごしと磨くだけです。より重点的にやりたい場合は、電動ドリルの先端に着けて使用するフェルトホイル (AA) と呼ばれる道具もあります。ケースバイケースで使い分けるとよさそうです。

 無段階変速のディスクグラインダには、磨き布を取り付けるパーツがあります。ただ、木工などではよく使いますが、ビバリウムの制作では磨く面積がそんなに広くはないので、使う場面は殆どないでしょう。   

     

icon タップ(タップレンチ) (>>menu)

 複数のタップとダイスがセットになったもの。廉価なセット品は安価だが、精度は低く、切れ味も悪いので、オススメはしかねるが、そんなに使わないなら、安価なのは魅力ではある。

 無くてもどうにかなるけれど、あると便利で、一度使うと、なんか病みつきになってくる道具。
 タップとダイスは、所謂ネジを切る道具です。アルミ、アクリルなどがビバリウム製作では加工対象となるでしょうか。幾つか種類がありますが、基本的に扉を固定するなどの用途であれば、JIS規格のミリネジ(M1とかM5とか書いてあるもの)を購入すればよいでしょう。

 PT(テーパねじ)用のタップや、NPT(アメリカ管用ねじ)用のタップも存在しますが、別になくても困りません。このへんは『ミスティングシステムのつくりかた』でちょっと触れています。ただ、写真のような安価なセットは、切れ味が悪いし、あんまり綺麗には切れないし、耐久性もよろしくないです。タップレンチを別に買わなければならないですが、個人的にはOSGTRUSCOのスパイラルタップがオススメです。使うと安価なセット品などと、あまりの違いにびっくりするぐらい違います。

    
       

icon養生テープ、多用途テープ(ダクトテープ) (>>menu)

 布ガムテープ、養生テープ(緑)、ダクトテープ(正式名称はよくわからん………)

 マスキングテープは材料に含めたのに、こっちは違うというところが、このサイトのいい加減さを端的に象徴しているような気がしなくもないですが、あちらはシリコンあるいは塗料とセットであるのに対し、こちらは固定具の一種という風に考えて、こちらにしてみました。ただ、もちろんマスキングテープも固定具として使うことが出来ますし、よく使っています。この養生テープも、塗装のときにはマスキング用として使う事もあります。じゃぁどっちでもいいじゃん、という気がしなくもないですが、こちらはマスキングといってもけっこう大雑把な場合で、細かいパーツもとなると、やはりマスキングテープを使うのが本道かと。

 養生テープというのは、緑色あるいは白っぽい半透明のガムテープみたいなものです。粘着力が弱くなっており、一度貼り付けたあと、簡単に剥がしたりできるので、一時的な固定に使えたりします。マスキングテープより力があるので、テンションを利かせて貼り付けることも可能です。コルクと組み合わせるであるとか、ちょっとしたときに役立つので、一個か二個あると便利でしょう。余談ですが、管理人は養生テープを短くカットして飼育ケースの表面に貼り付け(大抵はポリプロピレンのケースの話ですが)、油性ペンで個体情報などを書き込む名札代わりにしています。ケースを移したら、ペッと剥がして新しいほうにくっつければよいので。    

     

iconクランプ (>>menu)

 左上が角クランプ。真ん中が挟むタイプのクランプ。いろいろなものがあるが、プラスティックを加工する時に傷が付かないよう、接地面が樹脂かゴムになっているものがよい(だいたい市販されているDIY用のものはそうだけれど)

 クランプ (AA) を始めとする固定具は、綺麗に仕上げる上ではそれなりの数が必要になります。一個は百円ちょっとから数百円ですが、十個買うとなるとそれなりでしょう。しかし、これは他に代替できないものなので(作るものが小さければ、養生テープや工夫で代替することもある程度は可能ですが、大きいもの、固定に力がかかる部位では限界がありますので)、購入することをお勧めします。これがあるとないとでは、工作の自由度にも、かなり差が出てくるからです。とはいえ、実際に作る段になってみて、必要になった数購入するというのでも良いかと思います。

 貼り合わせるとき、クランプで固定をすると綺麗に接着できるが、力をかけ過ぎれば歪む原因になる。特にアクリルは、挟んだ状態で溶剤を流し入れると、クランプで抑えている部分には溶剤が染みこみづらいので均一に仕上がらない。このように、組み立てるものによっては、固定しないほうが綺麗に、正確に組み立てられることもあるので、固定すればよいというものでもないのが難しいところ。

 クランプには幾つかの種類があります。ワンタッチで簡単に軽く固定することを目標としたもの、取り付けには両手を使ってネジを締めていかねばならないが、しっかりと圧力をかけられるぐらい固定できるもの。
 それぞれに一長一短があり、長所短所を補い合うものなので、それぞれのタイプを数本ずつ、持っておくのが良いと思います。右の写真に写っているのは、クイッククランプと呼ばれるものの一つで、先端を逆にセットすると、広げる方向にも使えるので重宝しています。

     

icon治具(L字金具、自作治具) (>>menu)

 この外側の木枠も、ジグと言えばジグになる。

 L字金具はクランプの写真のほうに写っているのがそれです。100円ショップとかでも売っていますが、あれは精度がかなり悪いので、自分で調整する必要がでてきます。それはさておき、例えば左の写真の、外側の木枠も治具になるし、板が歪まないように外側の治具に押し当てているアクリル板も、シンプルですが治具と言えるでしょう。もっとも、このままでは接着剤を入れたときに一緒にくっつきかねないので、アクリル板を少し浮かせるための板を入れる必要がありますが。
 ルーターやトリマの治具を別にすれば、治具はなくてもだいたいの工作は可能なものです。あればあったで効率が上がるし、少なくとも精度は上がります。無くても出来なくはないが、あったほうが良い、工具とはだいたいそんなものです。ただ、殆どのパートは、養生テープなどで代替可能な気がします。