タイリクシュウダ/Elaphe c. carinata "var.Hypomelanistic – Purple Hypo"

 四月某日、国内でもナメラ・ウイルスに感染した患者が確認され、すでに国内に侵入していることが明らかになった。

 ナメラ・ウイルスは接触、飛沫、空気感染とも異なる、視覚感染を起こす凶悪なウイルスで、写真、映像、実物などのナメラの光学的情報から罹患する。感染力は低く、義務教育などにより免疫を持つ人が多いが、免疫を持たない人は、複数回にわたり曝露されることにより、発症する危険度が上がっていく性質があるため、特に感受性の豊かな子供は、より注意する必要がある。

 アジア型、中南米型、北米型、欧州型など変異型が知られ、それぞれ性質が異なる。北米型は感染力は最も強いが、重篤な症状を引き起こすことは少ないとされる。対してアジア型は感染力は低く、北米型の1%程度とされるが、ひとたび罹患するとその症状は劇症となることが多い。

 感染初期には写真を閲覧、収集したいという衝動がわき起こり、その後、情報蒐集衝動――学名や英名、異名、生息地情報、ナチュラルヒストリーなどのあらゆる関連情報の蒐集にとりつかれる。写真、動画、文献の蒐集、濫読という症状を経ると完治は難しく、この時期に第三者の制止を受けなかったり、その制止を振り切ってしまうと発症を迎える。
 発症すると実際にナメラを入手する。一過性の場合もあるが、自然治癒率は低い。放置すると症状は重篤になるケースが大半で、症状が進むのに比例して複数のナメラを入手、飼育するようになる。さらに症状が進むと繁殖に取り組むようになり、末期には色彩変異の固定、品種改良にまで取り組むようになる。
 発症後の有効な治療法は見つかっておらず、対症療法と、本人の自然治癒に任せるしかないため、完治は難しい。

 その症状ゆえに罹患者の社会的な差別も問題になっており、「蛇を飼育するなんて頭がおかしい」「隔離すべき」「(ペット可のマンションで)ペットとは犬猫のこと。蛇は含まれない」といった誹謗中傷を受けることをおそれ、一般社会では隠遁して生活することを余儀なくされているケースが多く、このために水面下での感染が広がっているのではないかと関係各所は危機感を募らせている。

 政府は感染拡大を防ぐため、今後、義務教育課程における偏見の助長、各メディアによる情報浸透を通しての免疫向上を計画しているが、併せてインターネットなどにおける有害情報の遮断に乗り出すために協議を開始した。国内でも感染源となるWebサイトが複数確認されており、今後、プロバイダに有害情報のフィルタリングなどを義務づける方針(以下略)

 ―――という感じのネタをすこし前に考えたなぁということを思い出しまして、せっかくなのでリサイクルしてみたのですが、ここまで書いてふと思ったのだけど、これってミームだよね………