Sphaerodactylus t. torrei CB Adult male

 右目がこっちを向いているように見えるのは、水滴がくっついているからです。

 この種が属内最大種だというのだから、頭が痛くなってしまいます。そしてまた、この属の中でも、この種が出回っているという事実は、この趣味に没頭する人間の宿業の深さたるや海溝のそれに匹敵するのではあるまいかと、心胆寒からしむものがあります。

 いや、ホントに、これ、なんで出回ってるんですかね………? どういうルーツなんですか。調査の際に捕獲されたものが、みたいなことなのかな………。でも、棲息地が棲息地だからなぁ………

 まぁ、なんにしても、この類のヤモリは良いですね。ヤドクガエルのそれに似た楽しさがあります。ただ、なんだ………一年間に上手くやっても四匹しか殖えないとか、どういう生き様なの、それ、という感じではありますが………ヤドクガエルよりどうしようもないですね………エッグフィーダー種でももうちょっと殖えるというのに………(でも、よく考えてみると、Goniurosaurusとか、上手くやって年間に6-8だから、まぁ、そんな差はないような気はしなくもない………かな?)

 でも、それだけに、純粋に飼育を愉しめるという感はあります。飼育し続けるには繁殖させる必要性があるというこの焦燥感はなかなかです。小さいヤモリですが、ちゃんと食べさせておけば絶食にも比較的強いようで、一週間程度ではびくともしないようです(限界を調べる気はさらさらないですけどね)。もちろん、種類にもよるでしょうが。

 小型のワラジムシ、一緒に湧かせたトビムシ、シミ、ショウジョウバエ、ピンヘッドから三令ぐらいまでのコオロギ、ハニーワーム、ローチなど、様々な昆虫を食べます。成体でも1cmそこらの、小型のローチがあると便利でしょうが、この手のは平滑な面を登れる連中ばっかりなのがネックかな…………そういう意味では、シミあたりが良いかもしれません。もちろん、あなたがヤドクガエルキーパーならショウジョウバエがありますから、余裕綽々です。成体ならばカスリショウジョウバエをよく食べます。何種か飼育してみたのですが、この属のものは、昆虫ゼリーなどの甘いものにはあまり興味を示さないようです。昆虫ゼリーとか食べてくれたらそれなりに面白かったのですけどね。

 余談ですが、この手の小さい生き物には、ノシメマダラメイガとか、チャマダラメイガとかの、小さいメイガ(冥蛾)を繁殖させてみると良いかもしれないな、と思います。早い話が、ちっちゃいハニーワームみたいな。暖かい季節に、蟻が入らないような高い場所に、小麦粉、ココア、米、糠などを紙袋に入れ、5mmぐらいの穴をあけておきます。大きい穴だとゴキブリ入っちゃうのでご注意。ま、このサイズでもチャバネや小さいゴキは入っちゃうでしょうが、大きいのが入らなければよしとしましょう………衛生的な問題は後で解決するとして。場所としては直射日光の当たらないような軒下のようなイメージの場所(吊せると、よいかもしれません)。あとは、どこからともなくやってくるのを祈りましょう? 湧いたら、ある程度育成し、蛹をとりだして羽化させ、これをクリーンな環境へ導入し、衛生的なメイガを養殖するとよいかと思います。ちなみに、ちっちゃいメイガと書いたのは、以前飼ってたのが何だったのか、結局調べないまま殖やすのやめちゃったからです。たぶんノシメだったと思うのですけれど。
 でも、このへんまた再開しようかな………とか思ったり。この手のとか、L.williamsiとか、Phelsumaとか、あとヤドクとかもよく食べますし、片手間にでもやっておこうかな、とか。
ハニーワームでもいいんじゃないの?と思うかもですけれど、ウチには育ったハニーワームを食べるようなヤモリがあんまりおらんのです………まぁ、強いて言えばPhelsumaの大型種ぐらいは食べるかもしれませんが。あと大きいのはヘラオヤモリですが、連中はハニーワームを食べませんし………。
 経験上、ヘラオはハニーワームの類はほとんど食べない気がします。成虫も食べた記憶がありません。よほどお腹が空いている頃だとエダハとかは動きに反応して食べたような記憶がありますが……ある程度肥えてくると、興味を無くすんですよね。あるいは、その状態でもピンセットで口元に持っていくとかすれば食べるのかもしれませんけれど(基本的に管理人は目の前に落とすタイプ)。ただ、ヘラオ全般が別にワームの類を食べないとうことではなくて、こいつらはヨトウムシへの嗜好性がめちゃくちゃ高いです。ギュンター、エベノー、シコラエ、ヘンケリー、ファンタスティカあたりは少なくともよく食べた記憶がありますね。とくにギュンターはやたら食べます。

 尚、ヨトウムシの類は季節にトウモロコシをプランターに植えておくと採集できることがあります(ことがある、というのは、以前やろうとしたけど、採集できんかったです。地域によりますからね、このへんは………)。採集したものは生の餌が必要ですが、卵から孵化させたものなら、チモシー主原料のラビットフードとか、そのへんで育成することができます。ただ、大量繁殖はちょっと難しかったりするのですが………ある日ばたばたー、みたいなことがあるとかないとか。底を鉢底網にしたケースで飼育し、清潔さと、あまり密度を上げないことに注意しつつ、あとは複数のケースでやる、という感じでやってましたが、もっと上手い方法があったのかな。手間暇がたいへんで、結局やめてしまったのですが……もういちど採集に行きますか………って、もう、そういう季節も終わりですね。

…………て、え、なに、あと今年も残り1/4っ!? Σ( ̄□ ̄;