Dendrobates tinctorius “Oyapock” & Philonotis falcata (2014.10)

 
 写真はカマサワゴケ。 Philonotis falcata です。ちょっと手前がボケちゃったですが………

 低照度のビバリウムでも育成できる苔ってないものかなぁ、と思いつつ、国内でちょいちょい採集したりして、検疫用ビバリウムで検疫しつつLEDとかでも育成できるかチェックしたりしているのですが、コレというものはなかなか見つからず。幾つかは、ちゃんと育つことは育つのですが、なんかこう、わさーっと壁面に広がってくれるようなのが欲しいわけです。
 そんな折、ピクタさんのところで、ビバリウムのような人工環境でもよく育つ苔として幾つかの種類が販売されておりまして、入手してビバリウムで育ててみました。イベントとかで売ってたりするのです。

 そのうちの一つがコレ。密集して生えるので、上手く生えるとふさふさして良い感じです。ちょっと遠近感よく分からなくなってますが(苦笑)
 他にもビバリウムで育つという苔を何種類か購入したのですが、このカマサワゴケは一番古くに導入したやつで、写真のような感じでビバリウムの中でそこそこ広がっている状況だったのでご登場。採集してきたやつも含め、他のは上手いこと繁茂させらたら紹介するかも(採集してきたやつは同定ちゃんとしなきゃですけど。上手く育ったら同定するのでいいかな、とか思ってやってない)。

 カマサワゴケは明るい緑色が綺麗で見栄えするというのも魅力ですが、撒き苔がしやすいというのもよいところです。撒き苔というか、刻まなくても、長く育った苔を手に持って、それでソイルやコルクの表面などを”撫でる”と、そのあとそこからちびっちゃいのが生えてくるのだそうです。撫でてみたり、指の腹で塩を撒く感じで擦ってみたり、擦った指で壁面を撫でてみたり、まぁいろいろやってみたり?
 何に生えて何に生えないのかは、まだよく分かりませんが、光が十分なビバリウムの中ならば、いまのところソイルやセラミス、溶岩プレートなんかはには生えているようです。岩系にはたぶん生えてくれる。ピートブロックに生えてくれないかなーと思ったのですが、いまのところ生えてくれませんね。pHかな、とも思いましたが、ピートをシーリング材で発泡スチロールに貼りつけたやつには生えてくるので、単に下のほうに転がしてあるから光が足りなかったのかな。春になったらこのへんももう一回試してみよう………

philonotis_falcata

 左のほうのやつがそれ。手前のほうにも、ちょびちょび小さいものが(右のところにあるのはこれはキューバパールです。あとなんかシダも見えるけど)。これは植え付けたわけではなくて、擦り付けたところからこんな風に出て来ます。ここから育ち始めると周囲に広がっていくはずです。

 そこそこ弱い光でも育ちますが、やはり最初は強い光を当てたほうがよく育つのは確かで、広がるときも光が良く当たる場所に広がっていく傾向があります。なので、照明の良く当たる上のほうからスタートするとよさそうです。上手いこと繁茂した場所ができれば、あとは適度にヤドクガエルが歩いたときとかに広げてくれることに期待できるかな、と。いえ、実際にそれで広がるかどうかまでは分かりませんが。
 ただ、光が強すぎると、ビバリウムの環境にもよりますが藍藻が発生しちゃうことがあるのが難しいですね。植物入れるとまず持ち込むので、こればっかりはな。どうしたものか………。

 低照度でも育ちますが、太陽光とかだとかなりな勢いで育つので、暖かい季節にはビバリウムで殖やすだけでなく、発泡スチロール&ラップなどで一気に育成するのもありだと思います。
 よく知られている、こんな感じのやつを作ると簡単に育ちます↓(いちおう穴は適当に空けている)

Hemianthus callitrichoides  /キューバパールグラス

Hemianthus callitrichoides /キューバパールグラス

 写真はキューバパールなんですけど、同じような塩梅で育てられる、ということで(<写真撮影がめんどかったな、さては?)
 3cmぐらいに伸びたカマサワゴケを量産し、ビバリウムに散らしまくれば、かなり短時間でビバリウムを苔で覆えるかなぁと期待しているのですが、現在量産の段階でもう秋なので、取り敢えず現段階のやつをビバリウムに撒くか…………とか考え始めている今日この頃だったり。

 ちなみに一番目の写真は、小指の先ぐらいのカタマリを、壁面や凹みに押しつけたり、欠片をちょっと撒いたりしてから半年-7ヶ月ちょっとぐらいだったような気がします。正確なところは忘れましたが、かなり少量でスタートしたのは確かです。
 藍藻が生えやすくなる問題はありますが、少数の場合は屋内ではパワーLEDのような強力な照明でスタートするのが安全な気はしますね。
 というのも、いまひとつ明かりが強くない底面あたりに散らしたものは、やっぱり枯れてしまったようだからです。現時点では一般的な熱帯魚用のLEDライトで維持しています。

 一般的に販売されている苔の多くは屋上緑化とか庭園用のものなので、正直ビバリウムで育てるのには無理があるものばかりです。日陰で育つとされる苔も、いってはなんですが蛍光灯の光よりもかなり強い光を必要とします(人工のあかりはホント貧弱ですので)。スナゴケはねぇ…………あれはステキなんですけど…………ヤドクガエルビバリウムでメタルハライドランプ使ったら、よほど巨大なビバリウムでファン使ってるとか、なんか対策していないかぎりはヤドクガエルが死んじゃうと思うし…………

 シノブゴケとかコウヤノマンネンゴケとかは、ばしばしと照明(LED or 蛍光灯)を当てていればビバリウムでもそこそこ育ちますが、こう、表面を覆いまくる感じではないですし。
 もちろん、綺麗だし面白いので僕も好きではありますけども。個人的にコウヤノマンネンゴケはかなり好きです。

 そんなわけで、苔探索の日々は続くのでした。次は枝とかを覆うように生えてくれて、ちょっと垂れ下がる感じで繁茂するような感じの苔を…………