一年ほどヤマトシロアリをなんとなく飼育してみました、というお話。

プラケース(いわゆるコバエシャッタープラケのLサイズ)で、ヤマトシロアリを飼育してみました。飼育してみましたと書きましたが、一ヶ月に一回ぐらい水を加えるということすらせず、三ヶ月ぐらい放置していたこともあったかもしれない、という感じであり、存在感としては、植物とかそっちに近いような……?(いやまぁ、給水タンクもあったせいか、乾燥してなかったから、水を加えすぎになってはいかんな、と思ったから何もしなかったんですけどね。ほんとですよ?)

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ちなみに飼育容器はこれ。フタを撮影しわすれましたが、ポリプロピレンのあれです。
ただ、これはシロアリを取り出した後の破片をとりあえず中に入れたところであって、飼育していたときはもうちょっと整理されてました。ちなみに下にあるのが、新しくセットアップした衣装ケース。

ヤマトシロアリの飼育はいろいろ紹介されてますが、我が家でやった基本となるセットは、木材を綺麗に並べつつ、隙間にクワガタ用のクヌギマットを入れる(ふんわりと埋める)、というものです。いちおう餌にしたいわけで、それなりに増えてくれないと困りますから、やっぱり木のほうが簡単に手に入るしよいのではないかと思ったからです(それに、なんかティッシュペーパーはうちでは案外難しかったです……なにがいけなかったのかな……)

入れる木材はそのまま入れるのではなく、水分をしっかり吸収させます。これは、ヤマトシロアリは湿った木材しか食べることができないからです。
なので、

・木材を1週間ほど水没させる(レンガとかのっけるor蓋をしめちゃう)→外で一週間ほど放置(カビとか生えるかも)→もっかい沈める→外で放置→もっかい沈める (ホダ木とかだったら別にいきなりそれを使うで問題はないかも)
・取り出してケースの中に並べる。
・気持ち隙間にクワガタ用のクヌギマットを敷いていく。
・シロトビムシを入れる or マルチング材をトビムシの発生源として期待しつつ少し入れておく。

という感じにセットアップして、

・たまに水を木材に吸わせる

というのが日々のメンテナンスです。紐で貯水タンクから給水する方式とかいろいろ試し中ですが、まぁ基本こんな感じ。

ただ、コバエシャッタープラケでやっていると、一ヶ月にいちどぐらい水をチェックするぐらいでよく、むしろ忘れないようにスケジューラなどで管理したほうがよいかもですね。

温度は28℃が良いという話ですが、これが気温なのか地中の温度なのかよくわからなかったし、発酵熱とかもあるかもだし、そもそもうちは涼しいし、ということで気温で24-26℃ぐらいです。ともかく冬も冷やさないし、夏場もそんな暑くならない感じです。

餌として試した木材は、トウヒ、米松、赤松、杉、クヌギ、コナラです。

トウヒ、米松、赤松、杉はホームセンターで売ってただけのやつです。原産国は不明とゆーことですね。クヌギ、コナラに関しては、ヤフーオークションでクワガタ用の産卵木として売られているやつです。たぶん、シイタケのホダ木だったやつですな。

トウヒ

(トウヒ。指で割ったところ。もろくなった部分にはもうあまりいなくて、この先をぐいぐいとやって割って取り出した。10ヶ月を経過してもそれなりに硬くて割りづらい。もっとも、これは効率的に餌にできていないせいかもしれないが。米松や杉のほうがまだ割りやすかったが、裏を返せば、その分、安定したコロニーの住処になるということかも?? いやまぁ、条件同じじゃないから、大差ないのかもしれませんがね)

使ってみた感じ、これらどれもをよく食べます。そりゃまぁ、ヒノキなどの食べづらいというものは、最初から除外したからですが(苦笑)
(参考→どんな木材がいいの?。なお、接着剤が気になったから集成材は試していない)

以下、なんとなく一年ぐらい仕込んでみて感じた特徴を、なんとなく書いていきます。そうかなぁぐらいで、別に根拠とかはないので、斜め読みしてください。

クヌギ、コナラは直径十数センチの丸太で、それ以外は板材です。
割れる、というのは素手で割れるかいなか、ということです。

トウヒ:水を吸い込みづらいので、レンガなどを重しにして水没させる。ちょっと固めで、半年ぐらいでは取り出そうと思って力を加えてもうまく割れない。
米松:トウヒよりは吸うが、やはり最初は水を吸い込みづらいので、レンガなどを重しにして水没させる。トウヒよりは少し柔らかく、良く食べる。トウヒより良く食べるかも。良く食べれられた材は割りやすい。
赤松:だいたい米松と同じ感じだけど、米松よりなんか密な感じ? 管理人が買ったやつがそうだっただけかも。あと、心材部分の赤松だと、ちょっと硬いのか食べる速度が遅い。わざわざこれを選ぶ必要はなさそう。
杉:なんの杉なのかよくわからないけど杉材。良く食べる。水分は最初は吸収しないので水没させる(とはいえ、トウヒとかと比べて少しは吸いやすい)。ただ、安い、幅のそんなにない板の場合、心材の板に当たることが多く、餌としては微妙かもしれない。
クヌギ、コナラ:椎茸の原木だったのか、なんなのか良く分からないけど、まぁともかくクワガタ用の産卵木として売られているやつ。吸水性が抜群によい。10ヶ月目の段階で、簡単に手で割れるようだった(その前の段階で試していないので、いつの段階で割れるようになったのかは不明。入手した段階ではもちろん割れるようなものではなかった)。

結論から書きますと、トウヒor米松or杉 + クヌギ&コナラでやってこうかな、と思っています。

まず、トウヒの板は移動しやすく朽ちづらいので、一番最後まで使わず保存しておく、ほかのケースに移動するときの種とする、種親用のコロニーのスペースとするといいんじゃないかなと思います。
クヌギやコナラはどんどん殖やす用の材です。取り出しやすいですからね。

まぁ、ぶっちゃけいえばクヌギやコナラだけでいいんじゃないかな感ありますが、これらはすごく吸水するので、少し違う環境を用意しておく、保険として考えています。

もし水を加えすぎてしまったときは、トウヒなんかの中で生き残ってくれるのではないか? 逆もまた期待できるのではないか?、ということです。

もちろんクヌギもコロニーになるでしょうから、そっちで繁殖するのに慣れたら、それだけにしてしまうかもしれません。が、管理人は何かとミスする人間ですからねぇ……管理人のようにずぼらでおっちょこちょいな人間は、最高の効率を目指すのも重要ですが、ミスのときに全滅しないことが期待できるようにしておこう、ということですね。

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先に書きましたように、クヌギやコナラは、切断面を下に、縦にして並べると、注水したときに水を吸い上げて1日程度で水がまわります。むしろ水を入れすぎるのを注意すべきでしょう。

ただ、とにかく柔らかくなったクヌギやコナラは割りやすい。簡単に取り出せます。ただ、割ってしまうとシロアリはそこから移動してしまうようなので、使い切りと考えるのがよさそうです(埋めてしばらくすると戻ってくることもあるようですが)

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(クヌギだかコナラだかのホダ木を割ったところ。シロアリがわさわさ出てくるとたのしい)

トウヒや米松などは板材、あるいは角材を使いました。角材などは縦にしやすいですが、板材だと横のほうが安定性がよいでしょうか。単純に並べてもよいのですが、板の上に細めの麻紐かタコ糸を2−3本ほどおき(なくてもいいです)、軽くクヌギマットを散らし、板を載せ、麻紐を折り返して板の上に、を繰り返して、側面からみたとき長い麻紐がぐねぐねするサンドイッチな感じで積んでいき、一番上の麻紐を貯水タンクに差し込んでおくと、なんかびみょーに水が吸われていってくれないかなー?と期待したりしました。案外うまくいっている感ありました。でも、別に麻紐やらなかったやつも普通に食べていましたが <ぉぃ

↓これは、トウヒの板と板のあいだ。

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本当は立てたほうが水分を加えやすいでしょう。

ですが、わざわざこの方法にしたのは、クヌギ(ホダ木)がものすごく簡単に水分を吸うので、それとの差別化を意図したからです。

あと、丸太だと割ってそれをダメにしないと取り出せませんが、板の間にだいたい2mmぐらい、適当にですがクヌギマットを散らして積み重ねるようにする方式だと、板と板の間に住処を作って、板を外しただけでこのような風になっているので、うまくやれば、板をトントンとやるだけで、簡単に取り出すこともできるかもしれません?

たぶんですが、クヌギマットである必要はなく、シロアリが好む厚さのプラスティックのプレートなどをスペーサーとして間に挟んでいけば、それでいいような気もしますね。自分で隙間を埋めていくと思いますから。

なお、板はただ並べて終わりではなく、クヌギマットでやんわりと(隙間からなんとなく板が見えるぐらいな感じで)地中に埋めた感じにしたほうが、なんかよさそうでした。地中で通気とか平気なのかな?と思いましたが、なんか平気なようです。木材を何度か水にさらして放置してを繰り返したからなのか、別に関係ないのかは定かではないですが。

なお、食べているのは、15-18mmの厚みの板材だと、上から2-3枚目から5枚目あたりのようでした。上のほうはちょっと乾きやすかったということなのか。そして一番下の材は、あまり食べていませんでした。たまに水を注いでましたから、水没するわけで、それはよくないという判断なのでしょうか。

これらの板材は、今回はプラケースでやることもあって、10-15cmぐらいの長さのもので、適当に切りました。いちおう、シロアリを取り出しやすいか?と思われたサイズということでもありますが、よくよく考えると、管理人は丸ノコ持っているので切断はそれほど苦ではなかったですが、ハンドソーだとけっこうめんどいかもですねぇ。

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(ともかく、なんか大小いろいろいるです)

ところで、種親をどうするのか?という問題について。

管理人は飼育するにあたって、王と女王を採集するというのを最初から考えませんでした。というのも、ヤマトシロアリはある程度のコロニーがあれば、飼育繁殖できるらしいから、です。もちろん効率は落ちるでしょうが、女王を見つけるには地中を掘らないといけないという話だし、それは難しそうです。それに、シロアリのいるところを見つけられたなら、同じ場所に材を積んでおけば、失敗したときに再び種親用のものを回収に行けるかもしれない、というのも理由です。(イエシロアリとか怖くてやる気がしません)

ところで、最初のコロニーはどれぐらいの容積があるべきか?

結論は出ていませんが、やってみた感じ、これは多ければ多いほどよいのではないか、という印象です。

最低でも30*40の角材であれば20cmぶんぐらいはないと、そこから増加する速度がかなり遅いです。できれば、Mプラケぶんぐらいの容積、理想は30cm水槽サイズぐらいの容積がある材をそのまま採ってこられれば楽そうです(切り出したら容器に入れてささっとクヌギマットで埋めてしまえばいいんじゃないかな)。

ヤフオクとかで売ってる200-300ぐらいの数だと、飼育するのも難しいし(不可能ではないですが)、そこからたくさん繁殖させるとなると何年かかるやら、ということになってしまいます。

やはり、住処になっている木ごと、スタートするのがよいでしょう。
たぶん、Sプラケぐらいの容積があれば飼育自体は問題なく行けると思いますけど。

これは倍々ゲームのようなものなので、最初のスタート時に産卵可能な副生殖虫が多ければ多いほどよいはずです。

具体的には、18*100*150の板材2枚ぐらいに生息していたシロアリだと、一年間育成して、ようやくLプラケの半分ちょっとぐらいに殖えた、という状況でした(苦笑)

いっちゃなんですが、こんな程度の量、うちだと一回餌にしたら終わりでした(しかも全個体に与えられたわけでもない)。一年やってこれかー、という感ありまくりです。メクラヘビの餌にもしづらい。

なので、現在はロックスの740 3Lという一番大きい衣装ケースで飼育を開始しました。最初のコロニーも、Mプラケぶんぐらいの木材に住んでいるものを移植したので、今回は早いといいのですが……はてさて、今回は、どれぐらいの速度で殖えてくれるかな?

屋外の木材を持ち込むことに忌避感がある方もいるかもしれませんが、ツボカビとかはカエルの皮膚がない状況下で三ヶ月の期間があけば、問題なくなるんだったような?(うろ覚えなので各自調べてください。そして管理人に知らせてくれたらいいと思うです?)。
どうせシロアリを繁殖させるために半年は放置するのですから、そりゃ問題なくなっていることでしょう。……まぁ、細菌とかはあるかもしれませんので、そのへんは知りませんが、そこまで致命的なのがそんなにいますかね……? それもう検疫しても苔とか観葉植物とか使えなくないです?

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という感じで、今日はこのへんで。

衣装ケースでざくざく増えたぜ!となるのか、家屋が傾くか(<ぉぃ)、そのへんのことは、また一年以上先のことになるんじゃないでしょうか(笑)

余談ですが、このサイトはトップの画像サイズは最大で1280*960サイズにリサイズされていますが、オリジナルのサイズはこれより大きい場合がままあります。画像を表示した状態で “-1280×960″をデリートして読み込めばオリジナルを表示できます。ただし、5120*3840のサイズだったりすることがあるので、読み込むときはご注意を(このサイズだと、だいたい5.0MB弱あります)

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(なんか土壌線虫のようなものを見つめる?シロアリさん。)