(左から、ネジ式スモール(ポリカーボネートネジ)、蝶番式スモール(ネジ留め)、ネジ式スモール(ネジ穴改造版トラス頭ステンレスネジ)、蝶番式ラージ(シリコン接着)、ネジ穴式ラージ(ポリカーボネートネジ))
 

▼クリアースライダーを改造して前開き式ケースを作ろう。

最初に言っておきますが、今回も今回で無駄に長いですよ。まぁいつものこと、ということです?

秋山くんが面白いケージを作っていたので、管理人も真似て作ってみることにしました。

プラケースを縦にして使うというのはよくある方法ではありますけど、なんか管理人は好きになれなくて、そういう使い方をしてきませんでした。でも、これはありだな、と思ったのですね。一番面白いなと思ったのは、ロックが機能するところです。マグネットキャッチなんかの追加費用が必要ないということですよね。ローコストは性能だと思うのです。

蜘蛛を入れる場合は空気穴をあけるぐらいで良いでしょうが、管理人の場合、ヒルヤモリやクチサケヤモリ、チビヤモリを入れたかったので、天井の部分にメッシュを張りました。ここを省略できるなら、よりシンプルになるでしょう。たとえば、穴あけだけにするとか、メッシュではなくアルミパンチングボードを貼ることにするとか。

さて、せっかくなので、順を追って説明していきましょう。最初に管理人が作ろうとしたのは、秋山くんが作っているのと同じ蝶番式のものでした。
(余談ですが、このへんのケース製作は、ふたりともThe Dark Denに影響を受けて始めたところがあります。動画としてはこれであり、動画の中に登場しますが、アラクノボードのスレッドが発祥です。)

まぁクリアースライダーにしろ管理人が作ったガラスのやつにしろ、原型とはだいぶ違ったものになっていますが(笑)、まぁ切っ掛けとして)

《クリアースライダーを改造して作る前開き式ケース 蝶番ver》

《基本性能》

・前開きドア(上から手前に開く)
・ロック機能つき
・材料費1000円以下(小さいほうなら500円以下)

基本工程は以下です。

1.フタの切断
2.扉になるパーツの調整(不要部位のカット、切断面処理)
3.天井部分の加工(穴あけ、金網の接着)
4.前面下のパーツの接着
5.蝶番の接着

うまくやれば、1日で加工することもできます。乾燥するまで待つ必要はあるので、完成は翌日にはなりますが。

《材料》

クリアースライダー(スモールでもラージでもよい RA ) 余談ですが、現在Amazonだとクリアースライダーのラージが1500円とかになってて分けらからないのでリンク貼りません。まぁ700円ぐらいなものですよ。
・ちょうど良い感じのステンレスメッシュ(安くつくりたいなら100円ショップの篩(ふるい)を買いましょう)
・ちょうど良いサイズの蝶番 (極限まで安く作りたいなら、テープかステンレスメッシュをシリコン貼りしましょう)

《工具》
・防護ゴーグル
・金バサミ(ステンレスメッシュを切るならば)
・カッターナイフ
・歯の細かい身が1mm以下の薄いノコギリ(例えば、オルファ(OLFA) クラフトのこ 125Bとか) 
・シリコン&コーキングガン or ホットボンド&グルーガン (ホットボンドのほうがサクサク進むので楽かなぁ?)
・マスキングテープ
・紙やすり
・アクリルカッター(あると便利)

1.フタの切断

切り方はお好みで。
王道なのは、例えば、蓋の目的のラインにカッターナイフで罫書き、その傷をガイドにしてノコギリでカットしていく方法です。
アクリルカッターがあるなら、それで一回ぐらい引いておくとよりよいかもしれませんが、アクリルカッターはすべるのが世の常なので、注意が必要です。その線をガイドとし、ノコギリで端っこからゆるゆると切る感じです。

とはいえ、これまっすぐに切るのはけっこうコツがいります(アクリルカッターで削った部分をガイドにすれば、それほどおかしくはならないでしょうが)。管理人もノコギリやってみたんですが、大小をそれぞれ一枚ずつやってみたものの、これはけっこう大変だなーと思ったので、以降は電動工具に頼りました(爆) 

ただ、もちろんノコギリでできないわけではないです。ノコギリの長さより切断する長さが短ければ、ノコギリだけでも十分やれますし、腕がよければかなりまっすぐに綺麗に切れることでしょう(管理人の場合は、腕がよくないというだけです)

管理人のやり方を書きますと、材に対して、軽めにぐっと押し当て、2-3cmぐらいノコギリを引き、削ります。ノコギリを持ち上げ、引いたラインに寸分たがわず当て、またぐっと押し当てつつ、引く。これを繰り返すと、上手くやれば罫書きやアクリルでやっておくよりも、また丸ノコなどでやるよりも、綺麗に切断することも、できなくはないようです。しかし、流れてしまったら悲劇ですが。

あるいは、裏からやるという手もありです。
どういうことかというと、傷がつかないよう、柔らかいなにかを敷いて、裏側から切ると良さげでさした。フタのサイドの部分に入れた切り込みをガイドにする感じでしょうか。こちらも、ノコギリが流れると悲しいことになりますので、短いストロークで作業すると失敗がないでしょう。

ぶっちゃけ、あれですね、クリアースライダーには仕切り板がついてきますので、それで練習するのがよいのではないかと。

どちらも、最高に上手くやれば、とてもまっすぐに綺麗に切れます。重要なのは一番最後で、力を入れすぎると表側に向かってクラックの懸念がありますかね。1/3ぐらい切り込んでラインができたなら、もう余計な力を入れずに、ノコギリで削る、というという感じで切っていくとよいのではないかと思います。

ハンドルーターと丸ノコを駆使して切るというのももちろんありです。ダメな人はミニテーブルソーでやりましょう(身も蓋もないな!) そして管理人はダメな人ですよ?

2.扉になるパーツの調整(不要部位のカット、切断面処理)

フタの裏側にはツメがあるが、これは不要なので除去する。ハンドリューターがあればそれほど難しくはない。

クリアースライダーのフタの裏側のツメの部分をさくさくとカットします。これがちょっとでも出っ張っていると、開くときにひっかかって上手くいきません。コツコツいきましょう。

300番目。仕上げにはもっと目の細かいものがいい。削りすぎると間があきすぎてしまうかもしれないので、荒目はあくまで毛羽立っているものを除去するに止める。

その上で、切断面を全体的に整えていきます。バリをとったら、サンドペーパーを板に置き、そこに擦り付けるようにしてヤスリ掛けをしましょう。だいたい300-400番台で荒く、2000-3000番台で仕上げでしょうか。

かなり目を細かく仕上げるのは、小さいヤモリを入れたとき、指先を入れようとして引っ掛かってしまうということを想定してのことです。バリが立っている状態では、”返し”がたくさんある隙間のようなものですから、より細かく仕上げたおいたほうが、リスクは低減されるかなと。

サーキュラーテーブルソーを使うと、かなり細く綺麗に仕上がるので、ダメな人はそうした道具を使うとよいでしょう。普通の丸ノコのテーブルソーだと切りしろが分厚すぎるし、そもそもポリスチレンを丸ノコで切断するとか、一発でキックバックして破片飛び散るか、よくてクラック走りまくるのがオチなのでやめておきましょう。

ハンドルーターだと、丸ノコの径が小さいと、やや刃が斜めになるのでやりづらいですが、それでも慣れればなかなかやれるかな、とは思います。50mmぐらいのやつがあればまっすぐに刃を当てられるので、大丈夫でしょう。ただ、それなりに危ないので、慣れた人にしか、おすすめはしかねます。ゴーグルをお忘れずに。

3.天井部分の加工(穴あけ、金網の接着)

通気口とするエリアを決めます。もし四角形ならば、4点にドリルで穴をあけます。そして、カッターで軽く傷をつけ、アクリルカッターで削っていきます。
これで最後までやってもよいのですが、少し削れたら、ノコギリで切っていったほうが、たぶん楽です。ホットナイフでもできなくはないです。

貼り付けたら、金網を貼ります。目の細かいステンレスメッシュを切るときは、金属片が舞うのがイヤな人は、養生テープを裏表に張って、そこにマジックで切断のラインを引き、その上から切断すると良い感じに切れるんじゃないかなと思います。

 特にフチのところ、これもうちょっと短くしたいんだけど、そういう風に切ったら絶対細かい針金飛び散りまくるよねぇ……っていう場所を切るときに、よくやります(一枚目はこれなんでやってるかっていうと斜めにカットしてるので、どこかで細かい針金が出るからですね)。

 ただ、粘着力の弱い養生テープだと思ったよりは破片をとってくれなくてがっかりなこともあります。でも強粘着の布テープだと、剥がすときに剥がす方向をちゃんと考えて剥がさないと、金網が歪んじゃって悲しいことになったりすることもあります。世は無常です。このへんは一回二回やれば慣れると思います。

写真のはずいぶんと幅広く使ってますが、切断する場所の両側1cmもあれば十分なので(線径にもよりますが)、縦にカットして使うとエコですかね。

さて、よい感じにカットしたなら、シリコンかホットボンドで接着していきます。

こんな感じかなーとマスキングテープを試しに貼ってみて。

シリコンを塗ってみる(塗ってからステンレスを押し当てて、でてきやつをヘラで均してます)。

ホットボンドの良さは作ったらすぐ固まってくれることでしょうね、さくさく作れる。シリコンの良さは仕上がりと耐久性でしょうか。まぁ仕上がりは丁寧にちゃんとやれるかにかかってますが(汗) デメリットはマスキングしないと綺麗に作れないこと、かなぁ。

場合によっては、何点かをホットボンドで固定してたわみを目立たなくし、シリコンで仕上げるという手もなくはないです。透明シリコンだと見えてしまうかもですが。

なんにせよ、なんらかの方法で固定する方向で。固定できるならなんでもありでしょう。

4.前面下のパーツの接着

これ、表の面にもマスキングしてるのは、サイドの面にマスキングしたからだったと思うのですが、やってみたけど余剰分は固まってから除去すればいいだけなので、内側だけをマスキングするので十分でしたね……


金網の貼り付けのときもそうですが、接着作業の8割はマスキングです。まぁ、割合は今適当に書きました。でもあれですよ、塗りは養生8割って誰かが言ってた気がします。
マスキングをしたら、シリコンで接着します。シリコンが面倒なら、ホットボンドでもいいでしょう。それだったらマスキングテープいらないですね。

霧吹きをあまり気にせずやりたいなら、マスキングしてシーリングをしっかりしておいたほうがいいような気がします。接着したら、マスキングテープでしっかり固定しておきます。っていうか、固定しておかないと、作業を続けられないからです。

ただし、後述する「隙間をしっかり塞ぐ」工程を行う場合、この前面下パーツの組み立ては一番最後のほうがよいかもしれません。それから、中身が乾燥系だったりすれば、そもそもシリコンで接着するのではなく、すべてをネジ止めにしてしまうという方法もありかもしれませんね。タップでネジを刻む必要はありますが。

5.蝶番の接着

クリアースライダーのフタだったパーツをよい感じの位置に固定し、ズレないようにマスキングテープで固定したら、蝶番を貼り付けます。

100円ショップで売ってるプラ蝶番が欲しかったのですが管理人は見つけられなかったので金属製のものを使いました。接着したら、シリコンが硬化するのをのんびり待ちます。

当たり前ですが、蝶番はかならずしも接着する必要はありません。すでにネジなどを持っているなら、蝶番をネジ止めしてしまうのも良い手かもしれません。この辺の蝶番だとM2.6かM3あたりが適当でしょうか。まぁ、そのへんは蝶番に合わせるとういことで。

ちなみに、うえのほうの写真は蝶番を左右につけてますが、まぁめんどいので真ん中にしたバージョンも作ったんですけど、あれだ、スモールの左右バージョンの写真がないですな……撮影しわすれたか…………

…………………………まぁいいか<おぃ!

とまぁ、ともかく、とりあえず、わらわら殖えるクチサケさんを血統管理するのにはお手軽なケースが複数必要なので、よい感じです。普通のプラケで飼えるじゃん?というのは言ってはいけない。

SphaerodactylusやGonatodesの場合、中で孵化した個体が出てくる可能性がありますから、きりしろが思った以上にできてしまった場合は、隙間にあたる部分に、極薄のプラスティックパーツを貼り付けるとか、切断面にシリコンを塗って上手く成形し、隙間を塞ぐとかする必要があるでしょうか。

ただ、作ってみて思ったのですが、これ、隙間なくしっかり作るというのは、普通に手間の嵐です。

市販のケースもそうですけど、ほとんどのものは小さくなってもそんな安くならないっていうか、むしろ小さいほうが作るの面倒だったりすることもしばしばあるわけで、結局のところ価格の大半は手間に対する費用ですよね。

まず綺麗な切断が難しい。まぁここは後でシリコンで埋めるなどして埋める方法がないわけではありませんが。しかしプラカッターやノコギリでの切断はなかなか緊張します。ズレたら傷がついてがっかりなことになりますからね。それを避けるべく、かっとする周辺には養生テープを貼り付けておく、なんてのは悪くない手かもしれません。失敗を前提に作業は考えたほうがいいですからね。

次にマスキングがめんどうです。が、これはまぁこういうのを組み立てるときは毎回面倒であり、ことさらこれがそうだというわけでもないですが。

つまるところ、ガラスで作るのと、ほとんど手間暇が変わりません。そりゃまぁ、マグネットキャッチとかを考えると、まぁ治具なしで作るガラスのに比べたらかなり簡単かもですし、材料費が安いとか、治具がいらないとか、危険度が低いとか、そういうメリットはありますが、普通にこれも手間の嵐でして、どうせ作る手間暇かけるなら、アクリルとかガラスで四角いの作ったほうがカッコよくて良いやつができるかもしれない……と思った管理人なのでした。

でもまぁ、作っている最中は楽しかったし、生まれたばかりのちびちびしたやつを入れて毎日メンテナンスするために、手軽なケースというのは必要だし、100均の米びつ的なケースも長く使って紫外線に当て続けたことでそろそろ使えない感じになってきているし、見た目もなんか良い感じだし、おひとついかがですか?

と、そんな下書きをしていたその日。

管理人の脳裏にひとつのアイデアが! 次回へ続く!

と、言いたいところですが、次回とか面倒なのでこのまま続けます。なんで最初からそっちのバージョンで書かなかったかっていうと、下書きして、最後に並べた写真を撮影したら投稿だなーとかやってた時に思いついちゃったんですよ。かといって、ここまでのをお蔵入りさせちゃったら、せっかく書いたのに勿体無いじゃないですか!

というわけで続きます。ていうか、もう最初に写真を出しちゃってるわけですが。

そもそもの切っ掛けは、蝶番式を幾つか作ってみて、思ったのです。

「蝶番を接着するのめんどいな……」

と………

それに、小さいほうだと特にそうなのですが、正面に蝶番があるのは、やっぱりなんか個人的に微妙です。まぁ悪くはないんだけど。でも両サイドに2個接着するのも面倒だし、ちょうどよいサイズの蝶番がないから、左右につけても異物感は否めない。段差になってる外側ぎりぎりのところにぴったりな蝶番とかあれば、まぁありかなーという気はしますが、なかなかそう都合の良いことはないですし。

これなら、100円ショップの米びつ的なケースとかのほうが、いいんでは? いやいや、あれは上から開ける感じだし、だからこれにしようとしてるわけだし……でもあれだと穴あけて網を貼るだけでよいのに、これは無駄な手間暇なのではあるまいか……いやでも見栄えはよいような……でもこれだけやるならガラスとかアクリルで作ったほうがもっとよくない? アクリルは高いけど、ガラスは自分でカットして磨けば安いよねぇ……

そして、ぼんやりしながら、いくつか改造することしばし。

----これ、側面のところで留めて、フタにしたりできるのではないか?と管理人は思い至りました。

机の上にあったCDケースが目に飛び込んできたから思いついたのか、思いついた後に、ああ、これと同じ構造だ、と思ったのかはもう定かではないのですが、ともかくその理屈です。

その実物が、最初の写真にも写っているもの。

これの左右と

これの右です。

理屈はシンプルですが、加工が思ったよりも面倒だといちおう述べておきます。では参りましょう!

《クリアースライダーを改造して作る前開き式ケース ネジver》

基本工程は以下です。

1.フタからのパーツの切り出し(単純な切断ではない)
2.ドアになるパーツの調整(不要部位のカット、切断面処理)
3.ドアになるパーツの調整(ネジ穴の作成と調整について)
4.天井部分の加工(穴あけ、金網の接着)
5.前面下のパーツの接着

4-5は共通なので今回は省略です。

《材料》

クリアースライダー(スモールでもラージでもよい RA )
・ちょうど良い感じのステンレスメッシュ(安くつくりたいなら100円ショップの篩(ふるい)を買いましょう)
・シリコンorホットボンド
・M3ネジ。L12あたりがよい。素材はステンレスかポリカーボネートが推奨。必要な場合はM3用のワッシャ

《工具》
・防護ゴーグル
・金バサミ
・カッターナイフ
ミニルーター&丸ノコ(ルーターの太さにもよるけど、50mmぐらいあるのが望ましいような)
・歯の細かい身が1mm以下の薄いノコギリ(例えば、オルファ(OLFA) クラフトのこ 125Bとか) 
・シリコン&コーキングガン or ホットボンド&グルーガン
・マスキングテープ
・紙やすり
・電動ドリル&ドリルビット(2.5mm,4.0mm,場合によっては6.0mm)
・タップ(M3)&タップハンドル

1.フタからのパーツの切り出し(単純な切断ではない)

最初からクライマックス。ここが一番面倒なところです。これについてですが、手作業でやるのは、かなり難しいと思います。てかやってません。できなくはないかなぁとは思いますけど……最低限、ハンドルーターがあったほうがよいんじゃないかな〜。まぁ、そのぶん、工作の危険度は増すということではありますので、そのへんは自己責任で。

前回のものは、扉を真っ二つにして、下のロックのない部分を手前のパーツとして、上をフタとして使用するだけでした。
なので、まだ楽だったのですが、今回は両サイドの部分をパーツとして利用するために残します。

長さは好みでよいですが、加工性も考えたほうがよいでしょう。管理人の場合は丁度よいのでクリアースライダーのフタの表面に空いている穴(これはスライドするときの摩擦を少なくするために空いてます)を基準にサイドの出っ張りの長さを決めました。おおよそ3cmでしょうか。一番最初に作ったやつは思ったより切っちゃったので、写真は切れ込みが入りすぎてますが……(汗)

スモールとラージでは若干変わってきますが、基本は同じです。

写真に赤線を加えてみました。見ればわかりますが、普通は切れません。というのも、横から切っていくわけではないので、正面にたるフタの一番長い線のところを切るのが面倒なわけです。

まず、フタとして切断する位置を決めます。管理人の場合、スモールでは5cm、ラージでは6cmという部分は共通とました。そこから見て、出っ張りの長さである3cmほど先の部分を、サイドから切れ込みを入れます。

そして次に、この切れ込みから、ロックのある方向に向かい、正面の部分を切っていきます。切る長さは、上半分とした半分に分かれる部分まで、です。正面から見ると、コの字の空いている部分を下にするようなカットをするということです(ロック部分を上とした場合)。

前にも増して、この上下に分けるカットというのが厄介です。正攻法は、場所を決めたらカッターで罫書き、アクリルカッターで少しずつ削り、ノコを差し込めるようにしてカットしていく、というところでしょうか。

しかし、やってみましたが、これ綺麗に仕上げるのはけっこう大変かなと思います。これをやるには、少なくともハンドルーターがあったほうがよいでしょう。それで最初の切れ目を入れるわけです。

ノコが流れないように、罫書きとアクリルカッターでの簡単な削りはしておくのも手です。

もちろん、慣れているならリューターで最後までやっていってしまうのもありです。その時は切断方向と回転方向の関係をよく考えて(説明書を読んで)カットしていきます。もし、刃をフタに対して垂直に当てることができず、斜めに入ってしまうなら、傾ける角度は下のほうのパーツに傾けてカットしたほうがいいでしょう。

2.ドアになるパーツの調整(不要部位のカット、切断面処理)

ここは基本的には最初と同じですね。クリアースライダーのフタの裏側のツメの部分をさくさくとカットします。これがちょっとでも出っ張っていると、開くときにひっかかって上手くいきません。コツコツいきましょう。

そんなわけで省略。

3.ドアになるパーツの調整(ネジ穴の作成と調整について)

カットしただけでは、回転させたときにパーツが干渉してしまいます。そこで、クリアースライダーのロックの部分を参考に、ケースに装着したときに外側になる部分の角をヤスリがけで丸くします。基本的には、端に横から見たときのフチの高さを直径とした円があると考え、その外周となるように端の部分を処理するだけです。

それが終わったら、マスキングテープで、ケース本体とフタを固定します。

さきほど述べた、円の中心を参考に、2.5mmのドリルで穴を開けます。長い目で見ると、本体まで穴をあけてしまうのがよいでしょう。中まで通すのが気になるなら、中に通じるところは貫通させずに盲穴にしてもよいでしょうが(ネジの長さの調整が必要になりますね)。
注意点はポリスチレンなのでとても割れやすいため、回転速度をあげて無理なく穴をあけていかないと、上手くあかない(割れてしまう)ということが一つありますが、どれぐらいの径にするのがベターか、というところも思案すべきところです。

両側に下穴をあけたら、フタのパーツをとり、本体部分の穴に、タップでM3のネジ山を刻みます。

さて、ここから難しいところなのですが、フタの(この場合)下の両サイドから出っ張っているパーツ、ここに空いている穴を、ケース本体に留めるネジに通すことで、前開きのドアにするわけなのですが、当然ですが、このままでねじ止めすると、余裕がなさすぎて、扉として機能しません。

切断面の切りしろにもよりますが、フタには厚みがありますので、あまりに遊びがないと、フタと手前の板となる部分がひっかかって、上手く開かないし上手く閉まらないからです。まったくダメというわけではなく、ばちん、という感じで毎回ひっかかる感じであり、それが気にならないなら、そのままというのもひとつの手ですが、個人的にはよくなさそうな気がします。各パーツに負担がかかって、長持ちしなさそうかなぁ、といいますか。

これを解決するために、フタのほうの穴の径を拡張します。そもそもネジを通す時点でフタのほうを拡張しないとネジが通りませんので、拡張自体は必須です。
ネジが通るという意味では、3.0mmのドリルで拡張するので十分なのですが、その数値では、上のようなことになります。しかし、穴をあけすぎて遊びがありすぎると、今度はぐらいついてしまいます。

結論から書くと、管理人の切りしろ(1mm程度)の場合、最適な数値は4.0mmでした。この数値の穴あけの場合、クリアースライダーケースを縦に置くのではなく、平置きしたとしてもロック機能は働きました。これが5.0mになると、遊びがありすぎて、フタがスライドすることでロック機能が働かなくなります。縦置きにしたときはフタの自重で外側へのスライドが抑制されますので、ロックは働きますが。

大きい穴をあけすぎると、ロックが十全に機能しない。そうなると、地震の振動などで開いてしまったりしないかが気になる。

この辺りは切りしろにも依存するところなので、一概にこの数値が最適値である、というのは言いづらいところではあります。自分の作成環境によって最適な数値を見出してください。

ただ4.0mmであったとしても、少し遊びがあってガタつく、というのは確かです。これがどうも好みではない、という場合には、フタのほうの穴に細工をするとよいでしょう。

5.0-5.5mm程度の穴をあけます。下手をすれば割れてしまうので、気をつけて加工します。

ここにマスキングテープを両側にしっかりと貼り付け、外側だけカッターナイフで切り抜きます。

そして、シリコンを埋めこみます。このとき、気持ち中央を凹ませておくとよいでしょう。そして、内側から中心に楊枝を刺して通します。本当はポリプロピレンからカットした同じようなパーツのほうがよいのですが、楊枝でも代替は可能です。これの写真を撮影しわすれたのですが、マスキングテープに刺した楊枝は、そのままだとまっすぐならないので適当な足場を用意してやり、水平になるようにして固まるのを待ちます。

3-4時間して少しシリコンが固まったら、楊枝を回転させながら抜き取っておきます(まぁ完全に固まってから抜いても、そんなに問題はない気もしますが)。


完全に固まったらマスキングテープを外して完成です。これにより、初期位置で固定されつつも、開閉時にはフタに遊びがあるので、あまりフタ同士がばちんとなったりしないようになります。

とはいえ、この加工はやってみるとあたりまえですが、面倒なので、普通に4.0mmの径で穴をあけるのでよいと思います。ただ、この数字は管理人の工作の場合であり、切りしろがどれぐらい出るかで変わってくると思いますので、自作にあたっては少しずつ広げて様子を見るのがよいのではないかと思います。

4.天井部分の加工(穴あけ、金網の接着)
5.前面下のパーツの接着

この二つは省略です。

さて、最後の工程、

6.ネジでとめる

ネジはM3のネジで、ラージの場合はL12ぐらい、スモールの場合はL8-10ぐらいが適当でしょうか。

ネジには、ネジの頭にいくつか種類があります。横からみたときに、どら焼の上半分みたいな感じになるトラス頭、雪平鍋をひっくり返したかのようなナベ頭、座繰りにはめ込むことで表面をフラットにする皿頭などです。

ポリカーボネートのネジだと透明で全体的に均一な感じがでますので悪くないですが、頭の選択肢が多くありません。気軽に買えるのは(=Amazonや秋月電子などで購入できるものは)皿頭かナベ頭なのですが、ナベ頭は個人的にはこの場合にはマッチしないかなと思いますし、でも皿ネジもいまひとつな感じあるのですよね。

基本的にネジはしっかりと固定されて、かつフタはネジに干渉しない、というのが望ましいのですが、皿ネジを選択し、フタの穴の部分に座繰りを作った場合、その部分をちゃんと磨いて滑らかにしておかないと、ネジにひっかかります。ネジに引っかかっていると、開けたりしめたりしたときに緩んでしまうかもしれません。まぁリューター持っているなら、座繰りのあとに砲弾型の回転砥石でささっと撫でればよいだけではありますが。

まぁケース本体のミミだけじゃなく、中まで貫通させてしっかりねじ止めしておけば問題なさそうなんですけど、そこはまだ運用が浅いからよくわからないところなのです。

個人的にはナベ頭はないので、そうなるとトラスなんですが、これはポリカーボネートのものはないようなので、ステンレスあたりになるでしょうか。個人的には使ってみた感じ、悪くないなと思っています。耐久性もありそうですからね。まぁ好みで決めればいいでしょう。

フタのほうの穴を、シリコンで埋めるタイプで作った場合。シリコン穴は、これにより、フタがカタカタすることはなくなります。ただ、開けるときはフタを少し気持ち上に持ち上げるようにしないと、少しひっかかります。もっとも、引っかかってもシリコンのほうが柔らかいので、そちらがたわむため、少し抵抗感があるもののしまる、といったところでしょうか。
ただ、シリコンは摩擦係数が高く、開閉時にネジを回してしまうのでは、という気が少しします。実際やってみた感じそうでもなかったのですが、なんかよくないかなと思ったこともあり、ワッシャをかませてあります。ワッシャを使う関係上、トラスのステンレスあたりがよさそうな気がします。

ひとつ注意点があり、ポリカーボネートや亜鉛メッキのスチールならば、まだ回転砥石やサンドペーパーに擦り付けて長さを調節できますが、ステンレスを削って調節するのは骨が折れますので、ステンレスを購入するときは長さをよくよく考えてからにすべきでしょう。ラージ用の長さを買って、カットしてスモールにも利用しよう、というのができないということです。

ポリカーボネートのねじ。どう考えても余るので、電気街とかで電子部品を通販するときにおまけで買うほうがよい(どう考えてもそんな人は少ない気がする)

いずれにせよネジでケースとフタをしっかり締め付けてしまうと、開かなくなりますので、完全に締めるわけではないです。そのため、ネジ山の刻みがゆるいとか、いろいろな理由で緩んでしまうことはあり得るかもしれません。いまのところ大丈夫みたいですが、何かあったらもう本体のほうのネジ山に接着剤を流してしまうのが簡単かもですね。いちど調整間違えるとアウトですが(苦笑)

本体とフタのパーツの間の擦れがどうも気になる、という場合はM3のポリエチレンワッシャーをかましてもよいようです。

さて、そんな感じで、蝶番を使わなくしたことで、材料費が減少。

カットの厄介さは増大。しかし、蝶番の貼り付けの手間暇も考えれば、まぁトントンでしょうか? いえ、なにより正面に蝶番が来ないというのは、なかなか素敵なものではないですか?

しかし、その構造上、蝶番の回転位置が奥に行きますから、フタと本体との間に隙間が必要となる、というのは欠点です。上に紹介した、シリコンで隙間を埋める、ネジの穴に細工をするといった追加の加工で解消できる部分ではありますが、単純にカットして蝶番を貼り付けるだけというシンプルさも、魅力的だなと思うのも確かです。

結局のところ、どちらを選ぶかは、正面に蝶番が来ることをよしとするか、否か?ということころで選択するのがよいかもですね。

クリアースライダーは、まだまだ改造していろいろ作れる面白いプラケースだと思います。たとえば棚なんかも簡単に作れそうですよね。というわけで、皆さんいろいろ改造して面白製品を作って、そしてそれをネットで公開してほしいなぁと思う今日この頃です。管理人がそれを真似したいですので(笑)

今回のものにしても、この形になるまでには、ちびちび作ったりしながら、秋山くんとメッセージでやりとりをしていたことが大きいです。例えば穴にシリコンを入れて埋めることでかたかたとスライドしてしまうのを抑制するといったアイデアは、「縦置きしたときではなく普通置きしたときにも使えるのか?」ということを訊かれ、それをどうにか解決出来ないかな、と考えたから出てきたことです。管理人だけなら、普通置きについてまでは考えなかったでしょう。

このフタの下をコの字のように切り出して、フタにするという改造の方式は、フタをかぶせるタイプのケースとなっているものならば、同様に作れる可能性があるでしょう。ロックがないので、小さな磁石かなんかを上のほうに貼りつけるとか、なんらかのロックの必要性はあるでしょうが。
プラケだと斜めになっちゃうのがどうもなぁ、というかたは、クッキーが入っているこうしたボックスであるとか、適当なよさげなものを見つけて作ってみたら面白いのではないでしょうか。
他にも、海外だと衣装ケースのフタを切断して、蝶番でつなげて縦置きのケースにする、なんてのがけっこう昔からありますよね。だから大きいものもいけるんじゃないかなという気はします。とはいえ、もちろん、ものにもよるでしょうし………それに、大きいものの場合は蝶番はそれほど目立たなくなるだろうし、耐久性とか考えると、蝶番にしたほうがよさそうな気はするかな。

そしてこれを作ったことで、引出戸式のガラスビバリウムを改造して、前面を一枚の扉にするものを作るにあたって、ひとつの閃きが(以下略。DIYは続くよどこまでも)