マイアミ/Miami-Phase
=Miami-Phase
Miami-Phase。日本では、マイアミ、と呼ばれている。その名が示す通り、フロリダのマイアミ周辺に存在した個体群から選抜して交配し、その特徴を色濃く残すように累代を重ね作り出された品種とされる。
外見的な特徴としては、斑紋内部は深みのある赤をしており、地肌は赤い色素が少なくなり、灰色となる。この地肌の部分に赤が極力入らないものが、よりマイアミとして完成度が高いとされている。
ただ、マイアミには大別して二つのタイプが作られているようだ。一つは斑紋が背中の上に乗り、腹側部には伸びないもので、このタイプは全般的に、色調として斑紋内部が深紅色をしている。
もう一つは、斑紋が腹側部まで、斑紋が広がっているもので、このタイプは斑紋内部が橙色がかるものが多い。バンディッド、ミルクフェイスと呼ばれるものは、こちらの特徴から選抜していったものだと推察される。ただし、橙色のものが多いというだけで、赤いものがいないわけではない。
他の産地に比べて卵の大きさがやや小さく、数が数割り増し程度多い傾向があるとされる。産卵数が多いといっても、ヘビの最大長は他産地と変わるものではないので、自然、孵化サイズも小さくなる。ただ、案外消化力は強く、幼蛇の頃から半分に切ったりすればピンクマウスを消化できるので、飼育がしづらい個体群であるという印象はない。
その品種の特徴として、どうしても斑紋内部の赤に鬆(フロスト)が入りやすい傾向がある。これを改善しておかないと、多重劣性遺伝表現形に絡めた時の完成度に影響が出てくるのが、悩ましいところだろう。しかし、この鬆は、マイアミの他の要素、つまり地肌の赤の抜け具合であるとか、斑紋の赤の色であるとか、そういう部分の遺伝に関わっている部分に関係があるのか、無くすのは難しい。
もっとも、「フロストが好きだっ!」という場合はこの限りではなく、鬆がより強く入るように改良したフロステッド・コーンという品種もあるぐらいだから、一概にデメリットと考えてしまうのは早計なのだろう。
管理人は鬆が入る個体を好まないので、このサイトでもそうした傾向に対して否定的なニュアンスが含まれる文章が多いかもしれないけれど、正確なところを言うならば、中途半端なのが嫌いなだけで、鬆も極まってフロステッドになっていると、それはそれで綺麗だと思っていたりする。多彩な品種の一つとして面白いし。もともと、バターやモトレーなどはサングロウ調になるような組み合わせでブリーディングしていたのだが、最近、フロステッド調のモトレーも綺麗だな、という気がしてきているとか。サングロウの方向性では、均一であることがその価値だから、美しさの判断基準は一つの方向性しか向かないが、フロステッドにあっては、模様全体の調和や、或いは不均衡が映えることもあるだろうから、フロステッドの方が色々なものが楽しめるだろう。
関連品種
キャンディ・ケイン/Candy Cane
ハイポ・キャンディ・ケイン/Hypo-Candy Cane
クリムゾン(ハイポ・マイアミ)/Crimson or Hypo-miami
Miami-Phase | ||||
baby | yearing | sub adult |
Milk-Phase ( Miami Banded ) = Miami-Phase+Select
Miami-Phaseから選抜交配を重ねることで、背中の斑紋を腹側部まで伸ばすようにしたものを、バンディッド、或いは、その外見がミルクスネークに似ているところから、ミルク・フェイスと云う。当然ながら、腹側部の下までであって、腹部にまで模様が及ぶ訳ではない。この模様にしてバンディッドにするには地肌の色と斑紋の色が違わなければならないので、バンディッド系は主にマイアミをベースに作られてきた経緯があるが、近年はオケーティをベースにバンディッドにしている人もいるようで、全く世の中頭がオカシイ人が多いと思う今日この頃(ほめております)。
その成立の経緯から、他品種との組み合わせは少ないが、アルビノとのコンビネーションは知られており、アルビノ・バンディッドとか、バンディッド・キャンディ・ケインとか呼ばれる。
背中の斑紋を押し広げるという原理になっている為、その色調はどうしてもオレンジ色を抜けるものではない――という予想をあっさり覆して赤いものも作り出されているというのだから、世の中にはファナティックな人で溢れているな、と思う今日この頃。畏ろしい限りですねぇ………(しみじみ)
Milk-Phase | ||||
Adult (C) 桔梗屋 | Adult (C) 桔梗屋 |