パターン/Pattern
ストライプ=Striped
劣性遺伝する遺伝性変異。Motleyに対し複対立遺伝する。
最初に作出されたのは1985年と古く、場所は米国ではなく英国。Mike Nolan氏の手によるものとされる。両親はワシントン州シアトルのErine Wagner氏から販売されたWild Caughtのペアから産まれたSiblings(同腹、おなじクラッチの兄弟姉妹。シブリングス同士での交配は、兄弟姉妹交配になる)。
当初、雄の生殖能力の低さに悩まされ、固定と繁殖が思うように進まなかったと述懐されているが、現在のストライプにはそのような欠点は見受けられないので、どの様な方法がとられたかは詳らかではないが、改善されたのだろう。
今までに、数多くのブリーダーが積極的に他品種との交配に組み入れ、現在では複数の多重遺伝表現個体が作出されている。
モトレー及びストライプに共通して云えることだが、それ単体で黒色色素減衰に似た作用を持つとされる。
頸部から尾に繋がる一点の途切れも薄弱もない濃い完璧なストライプのことは、フルストライプと呼ばれることもあることからも分かるように、あまり居ない。これとは逆に、ストライプ模様が途中で消失したり切れたりするものから選抜交配によりストライプの八割から九割以上を消失したようなものをヴァニッシング・ストライプ(バニシング・ストライプ)とも呼ぶ。
元々はフル・ストライプに近いものが主流だったのだが、最近はバニッシング・ストライプの方が多いというか、ストライプが数多く繁殖されるようになったことも一因であろうが、どっちつかずな中途半端なものが多くなった。むしろ、そうしたものが多くなったことから、フルであるとかバニシングであるとかいう呼び方が生じたのかもしれない。
ノーマルに比べて虚弱という印象があるのは、前述した時代の影響が色濃いのではないかと思われるが、現在に於いても完全に払拭されたとは言い切れないところがあることはある。ただ、かなり改善してきているのは事実だろう。個人的には近年のものは、そんなに難しくない印象がある。
モトレー=Motley
モトレー。モトレイ。モトレィ。お好きなもので。管理人的にはモトレイだが、やっぱりモトレーが一般的なようなのでモトレーに統一してみた。
Motleyとは、”斑(まだら)”の意。この形質を示す個体は、今までに複数捕獲されているという。なんかの本に詳しく書いてあったのですが、何の本だったのか忘れました………<手を抜き始めております
劣性遺伝する遺伝性変異。Stripedに対し複対立遺伝する。MotleyとStripedのヘテロ接合状態のものは、大抵モトレーストライプと呼ばれるが、同じ呼称を使っていつつ、Motleyのみから作出されるものもある。
こちらは、モトレーの性質のうち、背骨に沿った方向で模様がずれる方向性が強まった結果、背中のラインが繋がったストライプ状のもの。時折産まれる事がある。遺伝子的にはMotleyであって、Stripedが入っている訳ではないのだが、これが後述するMotley-Stripedに結構似ているので面倒なことこの上ない。ただ、確率的にワンクラッチに一匹出ても珍しいぐらいなので、作出した人には分かると思われる。ストライプモトレーと言い分ける人もいるようだが、統一された言い方という訳ではないようだ。
MotleyとStripedのヘテロ接合状態のMotley-Stripedは、結局のところ中途半端になってしまうことから作出する人も少ないのだろう、管理人もあまり見たことがない(写真でなら、何度かあるが………)。見る機会が少ないので、外見で判断できるのかどうかまではよく分からない。取り敢えず、現時点では、管理人には見分けられる気がしませんですね。
モトレー・ストライプ/Motley-Striped
MotleyとStripedの異接合による中間形質。MotleyとStripedを掛け合わせると、すべてがこれになるが、個体差が激しい。また、全体的に模様の流れの強いMotleyといった印象になる。
ワイド・ストライプ/Wide-Striped
MotleyとStripedの異接合による中間形質の中でも特殊なもの。再現性は低く、ワイド・ストライプ同士を掛けても確実にワイドストライプが得られる訳ではないという。
ワイドストライプ同士の交配で、ワイドストライプに成りうるMotley-Stripedの組み合わせの中からどれぐらいの確立でワイドストライプが出るかは不明である(確率的には、半分はモトレー・ストライプになるが、それらの表現が必ずワイド・ストライプになるかまでは分からないということ)。
ただし、ワイドストライプが出た組み合わせでは、再度、同程度の確率でワイドストライプが出現する傾向があるらしい。
ヴァニッシング・ストライプ/Vanishing-Striped
Stripedの中でも、模様が薄くなるものを選抜交配することで、模様を消したもの。
サンスポット/Sunspot
Stripedから派生したとされる品種。何がどうなるとこういう模様になるのかは全く不明。非常に魅力的な品種であるので、作出方法が分かれば面白くなると思われるのだが……
ジグザグ/Zig-Zag
斑紋が名前の通り、ジグザグに交互に流れることで背中で大きく繋がった状態になったものを指す。
遺伝は傾向遺伝。このような模様の乱れは、サウス・フロリダの個体群には比較的多いというが、現在知られる変異の由来がサウスフロリダのみなのか、それとも他の何かが混ざったものなのかは明らかではない。いずれにせよ、飼育下でそうした模様のずれが、傾向として遺伝することに着目したブリーダーたちによる選抜交配がなされている。ただ、傾向としてしか遺伝しないこともあって、遺伝変異とのコンビネーションはあまり進んでいない。もともとサウスフロリダに由来するラベンダーや、比較的古い遺伝子であるアルビノやアネリなどでは幾つか知られる。
模様の一つや二つが崩れるということは、サウス・フロリダに由来するものでは、比較的散見されるが、体の一カ所や二カ所の斑紋模様が崩れているレベルでは、ジグザグとは呼ばれない。明確な基準があるわけではないが、体の模様の七割から八割が崩れているような、一見ぱっとみて、普通の模様の部分が殆どないように見えるものが、ジグザグと呼ばれているようだ。
ジグザグという名称そのままに、背筋で左右に模様を分けて、それが丁度斑紋半分ずつぐらいのずれになるもの、つまり斑紋内部が段々になりつつ、頸部から尾に向かってほぼ繋がっているような、ある意味非常に整ったジグザグも存在しなくはないようだが、大抵はずれは場所によってまちまちで、均一にずれるということはなく、全体的にランダムなものが大半となっている、中には斑紋が流れて繋がったようなものもいる。こういったものは、ジグザグ模様とは呼べないと思ったのか、アズテックと呼ばれることもある。ジグザグと現象としては同じものなので、ジグザグと呼ぶ人もいるが、いずれにせよ遺伝的には同じ傾向のものと捉えて問題ないようだ。
Zig-Zag Wide-Striped | Anerythristic Aztec | Inca(baby) | ||
Adult | PhotoData: (C)EndlessZone |
PhotoData: (C)EndlessZone |
パターンレス/Patternless
この名で呼ばれるものには二つあり、一つはJeff Risher氏のMotleyやStripedのコロニーから出現したものとして、ノーマル、アネリスリスティック、アルビノ、スノウが知られている。このパターンは首の後ろの模様を僅かに残す事もあるが、それを除く全身の模様が消失する。
再現される条件はよく分かっていないが、Jeff Risher氏由来のPatternless同士の交配で、子供に完全なパターンレス、頸部にストライプ調の模様が入るもの、ストライプが全体の三割ぐらい入り下半身は模様が完全にないもの、サンスポット調だがさらに薄いものなどが同一クラッチから幅広く生まれる例が知られる。この事からも、Stripedあたりがベースとなっていることは伺える。
ただ、そうすると、それでは別のStripedから選抜交配していくことで、同じものに辿り着くことが可能か?という疑問が出てくる。少なくとも、同じ系譜のパターンレス同士からは容易に再現することが可能であることは分かっているが、パターンレスと呼べるレベルまで、他のところで消失させることに成功したという話も聞かない。
もう一つは、FloridaのKeys諸島及び半島南部(Lower Florida)に棲息するKeys Cornsnakeから見つかった変異で、当初はGraniteと呼ばれていたもので、これも一時パターンレスと呼ばれた事もあるようだ。現在ではテラッツォの名で知られている。
途絶えたと言われていたが、このほど再びハーペトロカルチャーのシーンに復活を果たしている。一度舞台から姿を消した理由はよく分からない(たぶん、人気がなかったんでみんな殖やすの辞めたというだけの理由な気がするが………)。