チャコール/Charcoal (Anerythristic-B)
=Anerythristic-B
No Photograph
現時点で二系統知られるAnerythristic/赤色色素欠損のうちの一つ。後に見つかった事から、こちらはAnerythristic-Bと呼称されることもあるが、基本的にはチャコール/Charcoalの名が使われることが多い(当サイトでも、なるべくチャコール/Charcoalを使用する方向で)。
木炭の名で親しまれるように、その色調は純粋に黒い。ほぼ完全に赤色色素、及びその元となる黄色色素が欠損する(詳しくは後述するが、完全に無くなる個体がすべてではない)。
単体で外見上、Anerythristic-Aに比べて黒色部分がより黒くなる印象があるが、外見からの見極めは個体差もあるので困難と言われる。実際、幼体時期での見分けは、かなり無理がある(これは、Anerythristic-AにもAnerythristic-Bにも幅があるので、典型的な個体を別にすれば、だいたいが断言しかねる範疇に収まってしまうから。経験的に自分が殖やしたものならば分かる、という人はいても、すべてに適用できるものではないらしい)。
Anerythristic-AとAnerythristic-Bは、表現形は似ているが、複対立ではなく、遺伝子座が異なる、互いに非対立の遺伝形質である。
つまり、Anerythristic-AとAnerythristic-Bを交配すると、仔はすべてが外見上ノーマルのダブルヘテロとなり、さらにそうしたダブルヘテロ同士の交配により、Anerythristic-AとAnerythristic-Bのダブルホモが存在し得るということ。遺伝子座は異なるとされる理由、ダブルホモのが存在するということは、Anerythristic-Bの発見の経緯から判断されている。
Anerythristic-Bの発見は1984年、Reverse Okeeteeで知られるBill Love and Kathy Love夫妻が、フロリダ/Florida州リー/Lee郡のパインアイランド/Pine iland産とされるAnerythristicのメス個体を入手したところに端を発する(このあたりは、夫妻の執筆した書籍に詳しい→参考文献参照。Anerythristic-Aの項目で述べたように、現在でもAnerythristic-Aの個体は野生下で見つかることがある)。
勿論、両氏は此の個体を偶然手にした訳ではなく、出会ったのは偶然であったが、他のアネリスリスティックとは何かが違う、と感じてこの個体を入手したと著書で述べている。入手した当時61cm程度だったこのメス個体は、それまで知られていたアネリスリスティック(Anerythristic-A)の特徴であった喉元の黄色を欠いており、現在知られるAnerythristic-Bにかなり近い外見であったようだ。成長するに従い、喉に黄色が発色してきたのだそうだが、それでも、「何か」それまでのアネリスリスティックと違う、と感じられたとのことである。
この雌が成長した際、両氏はまず、Anerythristic-A(当時は、Anerythristic-Aしか見つかっていなかったので、単にAnerythristicと呼ばれていたのだが)との交配を試みた。すると、子供にはAnerythristic-Aと、Normalが出現した。
この時点で、元となった雌個体が、通常のAnerythristic-Aではないことが分かる。もしも、この雌個体がAnerythristic-Aのホモ接合による表現形であるならば、子供は全てAnerythristic-Aが出てくる筈だからだ。そして、もしも、Anerythristic-AとAnerythristic-Bが同じ遺伝子座にあり、複対立としてAnerythristic形質を呈しているならば、子供は、Anerythristic-Aと、Anerythristic-AとAnerythristic-Bの組み合わせによる複対立形質にならねばならない。Anerythristic-AとAnerythristic-Bが、同じ遺伝子座に存在する遺伝子であるが、異接合の場合は表現型にならないという可能性は、此の雌個体が、赤色色素を欠損していたことから否定される。ここから、Anerythristic-AとAnerythristic-B同士を交配した際に出てくる外見上Normalの個体は、ダブルヘテロであると推察されている。
次に、両氏は、この雌個体に対してスノウ/Snowを当てた。この組み合わせからも、Anerythristic-Aと、Normalが出現している。それぞれ、どのような割合で出たのかは明らかになっていない。この組み合わせが試された理由は明らかにされていないが、異なるアネリスリスティックが存在するならば、それを使ったスノーはどのようなものになるのか、という至極自然な流れであったのかもしれない。
最初の作出年度は書籍では見当たらなかったが、その後数年をかけて、Anerythristic-Bは固定され、品種として広く知られるようになった。
関連品種
ブリザード/Blizzard
ファントム/Phantom
ピューター/Pewter
ホワイト・アウト/White-Out