玉蜀黍畑の唄/CornSnakeSongs

iconAmelanistic/アメラニスティック

iconAmelanistic


No Photograph

 黒色色素欠損。黒色色素が完全に欠損しているもの。
 通常、ハープタイルホビーの分野で単にアルビノと云った場合、文脈上は、このアメラニスム/Amelanismを起こした個体、すなわちAmelanistic/アメラニスティック個体を意味するほど、もっとも知られた、また、誰もが想像しやすいと思われる色素変異。コーンスネークにあっては、黒色色素が抜けると赤色色素が最も目立つことになるので、全体として赤いヘビになる。瞳も黒が抜けて透明な赤目となる。

 最も古いアメラニスティックの記録は、1953年にNorth Carolina/ノースカロライナで捕獲された雄個体であるという。此の個体を用いてH.Bernard Bechtel氏とElizabeth Bechtel女史の手により、1959年に繁殖が試みられた。複数の雌親から採れた子はすべての表現形が野生型(ノーマル)であったが、これらを用いた次の世代での交配試験が1961年に行われ、黒色色素欠損が劣性遺伝形質であることが明らかとなった。

 現在でも時折、アメラニスティック個体は捕獲され、それらの遺伝型は同一(既存のものと交配させると、一世代目ですべてがアメラニスティックになる)であるというが、近年捕獲された場所や、どれぐらいの頻度で見つかっているのか、これまで何個体ぐらいいたのかという詳細な情報は審らかではない。
 アメラニスティックがハープタイルホビーの世界で広まるには1970年代まで待たねばならなかったが、紹介されて後は、高い人気と指示を獲得し、突然変異を固定して飼育するという文化の始原となった。

 1980年代半ば頃には、広く普及することとなったAmelanistic/アメラニスティックだが、当時は他の色彩変異遺伝子が殆ど知られていなかったこともあってか、数多くのブリーダーが、Amelanistic/アメラニスティックに於ける品種改良に取り組んだ。そして、既に発見から半世紀、ハーペトロカルチャーに於いてブリーディングが始まってより四半世紀を閲するAmelanistic/アメラニスティックという色彩変異は、同一の変異遺伝子を使っているだけにも係わらず、現在までに、リバースオケーティ、フローレッセントオレンジ、キャンディケイン、サングロウ、更に派生系であるホワイトリバースオケーティ、オレンジキャンディケインなど、数種類以上の品種が確立されている。

 現在では、こうした品種名の附いていない、黒色色素欠損遺伝子を持つ個体が、アメラニスティック、あるいはアルビノと呼ばれている。

Amelanistic

iconStriped AmelanisticAmelanistic+Striped


Striped Amelanistic female

 一番最初に作出されたストライプとのコンビネーション品種だが、それだけに幾つかの派生品種が存在する。キャンディ・ケイン・ストライプやサングロウ・ストライプなどは、数は少ないが昨今積極的に作出されている様子。今後は此らと絡められたストライプの品種も御目見得していくことだろう。

 作出当初は窮めて羸弱い品種として知られていた。この当時を知る人に言わせると、レベル的には現在のラヴァと似たようなものだった、というのだから推して知るべしであろう。

 だが現在はそうでもなく、健康な、普通に飼育できる品種になっている。少なくとも管理人が飼育してみた範囲では、それほど弱さは感じない。とはいえ、それは弱い品種に比してという意味であって、強健品種かといえば、普通品種という位置付けが適当だろう。うろ覚えだが、確かイギリスで最初に作られた品種だったような。

Striped Amelanistic
baby 10 month

iconMotley AmelanisticAmelanistic+Motley


No Photograph


Motley Amelanistic
baby

iconFluorescent OrangeAmelanistic


No Photograph

 発音をどう日本語表記するかは微妙な問題だが、分かりやすさということで当サイトではフローレッセントと記述している。別にこんな風に聞こえるという訳ではないですが。伸ばす部分はあまり伸ばさない様な気がしますし。なんというか、"girl"は日本語で書くならガールが適当だろうが、アメリカ人の発音では”ガゥ(←ゥに、僅かにルがかかる)”のように、短く切ったような発音になるようなものです。あんまり気にしない方向で。別にフロオレッセントでもフルオレッセントでも好きなように表記すれば良いのではないでしょうか。発音に忠実であるというところも気になったのですが、でも、文字の美しさ的にフローレッセントだと管理人が勝手に思ったので、このサイトではそうしています。Google検索で引っ掛からなくても気にしないのです。

 元々のフローレッセントは、Rich Zuchowski氏の元で1987年に偶発的に生まれたもので、親は、シブリング同士であるAmelanistic/アメラニスティック個体。つまり、兄弟姉妹交配の中から偶発的に生まれたもの。何故こうした兄弟姉妹交配でのペアリングが試みられたかというと、この雌には部分白化を感じさせる特徴があったため、その特徴を遺伝させることが可能であるかの検証であったと書籍にはある。残念ながら、それらの要素は子に受け継がれなかったのだそうだが、それらの子は成長するにつれて、地肌の色が鮮やかなオレンジ色になったという。このペアから生まれた子すべてがそうであったのか、少数がそうであったのかは記述では触れられていない。
 このオレンジの色調が、他に類を見ない美しさだったため、フローレッセント・オレンジの名が付けられた。名前が示すように、この品種の特徴はその独特の色調にあるのであり、ブロッチの形状や、縁取りの白さの幅は、その構成要素ではなく、むしろ外見上はOkeeteeよりも斑紋の形状も平たく数も多い、変わったアメラニスティックという雰囲気をしているものが多い。

 ところが、後々に、リバース・オケーティ/Reverse Okeeteeの中から、選抜交配により、オレンジが鮮やかに美しく出るものが出現するようになった。これらは外見上酷似し、色調だけで云うならば、見分けることは至難であったという。それを受けて、Rich Zuchowski氏はフローレッセントの系統を、氏の維持しているリバース・オケーティ/Reverse Okeeteeのコロニーに吸収させ、リバース・オケーティ/Reverse Okeeteeのクオリティを上げる事に使用したとされる。

 そうした経緯を辿ったが故に、現在では、この系統はかなり曖昧なものとなっている。本当の意味でのフローレッセント・オレンジとは、Rich Zuchowski氏が嘗て作出したその系統の、形質を受け継ぐものを云うのだろうが、2000年代初頭以降、アメリカでも殆ど見掛けられなくなっている。ただし、国内に幾人か、かなり古い時期に入手された方がおり、独自に系統維持しているとも聞いているし、米国でも、かつて放出されていたフローレッセント・オレンジの個体を維持し、そこから繁殖を行っているブリーダーが少なからず存在する。ただし、本当にその数は少ないようだが………。

 また、前述したように、Rich Zuchowski氏のリバース・オケーティ/Reverse Okeeteeの中には、フローレッセントの血が流れている筈であるから、それらの中で、蛍光オレンジの色濃い個体をして、フローレッセントと呼称したとしても、差し支えはないような気もする。

 そうした経緯で、存在自体が不明瞭になってきている品種ではあるが、しかし、比較的古く90年代に入手した一部のブリーダーの間では人気が高いのか、営々と維持している人も少なくないように見受けられ、現在でもこの名の品種が少なからず流通している。
 余談だが、単純に劣性遺伝するものなのか、そうでないのか、その遺伝的性質はよくわからない。ただ、フローレッセント同士の交配であれば、子供はフローレッセントになるのだそうな。

iconハイビノ/Hypomelanistic-Amelanistic

iconAmelanistic+Hypomelanistic


Hybino

 Amelanistic/アメラニスティックとHypomelanistic/ハイポメラニスティックのコンビネーション。
 この組み合わせは、ハイポメラニスティック・アルビノを略してハイビノと呼ばれることが多い。かなり古くから存在している筈のコンビネーションだが、流通量が多いとは言い難く、むしろ見かけない品種の一つであるような気がする。

 理由の正確なところは分からないが、幾つか想像できなくはない。ひとつは、外見上、これがハイビノである!という断言をするのが難しいので、いざ違ったらどうしよう、という理由から、そうじゃないかなと思ってもハイビノ扱いでなく流通させている可能性がぱっと思いつく。実際に自分でこの品種を作ることを考えると、では出てきた個体が確かにハイビノであると確信するには、成体にして、ハイポとアルビノそれぞれに掛け合わせて、両方の遺伝子を持っているかどうかを確かめるしかない。
 外見上差違がないわけではなく、赤の発色などで、かなり違う雰囲気になるので、正直別物であると思うが、では間違いなくそうなのかと問われれば返答に窮する感は否めないので、こうした手続きを取る他はない。この絶対ではないという理由が、かなり響いているのだろう。
 検証するだけの価値があれば、或いは調べてその系統を維持しようとするだろうから、有り体に言えば、そこまでの価値がハイビノに見出されていないだけかもしれない。

 ただ、マイアミとのコンビネーションである、ハイポ・キャンディケインなど、ハイビノに絡む品種も存在するので、全くないという訳ではない。

 もう一つ想像されるのは、サングロウにハイポが既に加えられている事がある、という一説だろう。正直自分で検証していないので(そして面倒なので今後も検証する予定もない)、確かなことではないが、サングロウにはハイポメラニスティックが導入されているという話は古くからあったようだ。
 確かにハイポメラニスティックを加えると斑紋内部の赤は深みを増すし、全身が赤くなるので、品種改良の方向性としては沿うものではあるが、サングロウが必ずしもイコールハイビノであるかというと、そうでもないようなので、やはりこのあたりは区別しておくべきなのではないかな、という気がする。ただ、そうやって分けたとして、まぁどっちかというとサングロウのほうが有名なような気がしなくもないような。だからハイビノは人気ないのでしょうかね?

Amelanistic
(LastUpdate:(2009/11/22))