玉蜀黍畑の唄/CornSnakeSongs

iconハイポ・ラベンダー/Hypo-Lavender

iconHypomelanistic+Lavender


Hypo Lavender female (C) 桔梗屋

 HypomelanisticLavenderのコンビネーション。Lavender系品種はもともと日本人の好みに合うのか人気が高いが、その正統派の発展系と云えるこの品種もまた、国内で高い人気を誇るようだ。

 Lavender化によって生じた黒色色素がHypomelanisticによって減衰しているので、原理としてはゴーストのそれに似ていると云えるかもしれない。ただ、元となったLavenderによるのか、Hypomelanisticによるのかは定かではないが、黒色色素の減衰度合いが強くかなり薄いものもいれば、あまり薄くならず斑紋内部が均一な灰色になる程度で止まるものもいる。いずれにせよ、もともとラベンダーに備わっていた透明感のある灰色がより薄く透き通り、地肌部分の色抜けも相俟って、全体的な雰囲気としては薄墨で画かれたかのような、淡麗な印象を持つようになる。

 薄い色が好まれるからだろうか、年々、ラベンダー色が薄くなっている印象がある。ただ、現在の品種改良の主流は、ラベンダー色に主眼を置いてはいないようだ。つまり、一見して分かる、Hypo-Lavender最大の特徴――赤色色素の増幅作用と、Lavenderが組み合わさることで生じた、淡くその地肌を彩る橙色、これをより深化させることに心血を注いでいるブリーダーが多い。

 この色調を指してCotton Candyという名前が提言されたことがあったが、定着していない。これは、品種名を聞いただけで、その外見が直感的に惹起されるような分かりやすさに欠けた名前だった為に、支持を得られなかったというのも大きいが、初期にコットン・キャンディと呼ばれたような特徴は、単純にHypomelanisticLavenderのコンビネーションだけでは、必ずしも再現されなかったというのも一因であるようだ。
 美しい淡橙の発色には計画的な選抜交配が欠かせず、結果、コットン・キャンディは、一部のハイポラベンダーに顕れる、地肌に乗る淡橙色を意味する言葉として残ったものの、品種名としてはすっかり忘れ去られた。
 ちなみに、コットン・キャンディというのは綿菓子のことで、これまた米国で売られているだけあって着色ばりばりな感じの綿菓子である。食べたことはない。というか、見たことあるけど、食欲をそそられなかった……。

 典型的なものは、コットンキャンディ・ハイポラベンダーとか、それっぽい色々な名前で売られているので、スノウの中にもバブルガム・スノウが存在するみたいな感じに思っておけばよいような。

 主流はコットンキャンディ調のものであるけれども、別にそれが全てという訳ではなく、色々な人が思い思いの方向で品種改良を進めている。たとえば、橙色を重視せず、むしろ廃し、ただただひたすらに、地色を白く、斑紋のラベンダーの色合いを薄く淡くしていくことに傾注する方向性もあったようだ。これにはHypomelanisticというよりも、Miami-Phase血が貢献していたという話を耳にした。ただ、この方向性は人気がないので廃れ気味である。そもそも、この方向であれば、選抜交配するよりも、Aneryt-Lavenderを作れば良いからかもしれない(そこから更に選抜するなら、アネリラベンダーから選抜したほうが面白そうだ)。
 何れにせよ、どれが、何が一番ということはなく、どれも面白い。というか、色々あるから面白い。今後は、この品種の中で色々と細分化が進むのかもしれない。

 ただ、コットンキャンディ調のものも含め、そうした選抜の極みは当然ながら全体のごくごく一部に過ぎず、一般的には、言っては何だが中途半端なものが大半になっている。
 下のギャラリィの二段目一番左などは、これは相当に綺麗なハイポラベンダーになる。大抵は一段目のように、頭から頸ぐらいまでは残っても、下半身からは二年目から三年目にはオレンジ色は喪われてしまう。思うに、オレンジ色の綺麗なものほど、地色のラベンダーがより薄くなっていく気がする。ただ、薄ければオレンジが綺麗かというと、そうでもないので、見分ける指標にはならなさそう。

 厖大な手間とそれなりの時間、それを貫く意志力を要するものの、なればこそ挑み甲斐があるというもの………と、思う人々が、挑む世界なのでしょう、選抜交配というものは。

 余談でありますが、ハイポラベンダーに就いて言えば、幼蛇の頃に橙色が綺麗に出ているからといって、成体になったときに綺麗であるとは限らなく、また幼蛇の頃に綺麗でないからといって橙が成蛇になったときに皆無かというと、実はそういうわけでもなく………幼蛇の頃合いに将来像を見極めるのは、管理人には無理です。
 幼蛇の頃ではなく、成長して後々赤が乗るようになって来るというのはどういうことぞや、と云えば、おそらくは予想でしかありませんが、その由来となっているものが、オケーティやブラッドレッドの赤ように、成長に伴って生じてくるものだからではないでしょうか。
 いずれにせよ、ブリーダーにしてもよく分からないところでもあるようなので(取り敢えず、管理人には分からない)、幼蛇の頃に見極めるのは諦めておいたほうが無難だと思います。というか、そんな方法あったら自分が実践してますよ!という話ですね………模様とか、その場のフィーリングで選ぶのが、結局のところ一番ではないかと思う今日この頃だったり。

 ところで、ハイポラベンダーはコットンキャンディ調を強めようとすると、自然それに伴いラベンダー色が消えて行ってしまう事が多い。此が極まると、ラベンダーの配色がほぼ消失する。

 問題は、極まったものがハイポラベンダーとしての完成形なのか?という事だろう。勿論、それもハイポラベンダーとしての完成形の一つではあるのだろうが、それ以外に方向性は無いのかと云えば、疑問の余地がある。
 ラベンダー色を消失させてコットンキャンディ調の色調を出すだけならばハイポ・オパールにしてしまえば良い。どちらかと云えば此の方が完成度は高いと云えよう。
 色合いをうっすら残すならば、ウルトラメル・ハイポラベンダーでも良いことになる。

 と、考えると、ハイポラベンダーとしての独自性を発揮出来る余地があるとすれば、それはどの様なモノであるか?、という処に考えが及ぶ。そう考えるのも、ある意味、ラベンダー色を消失させる方向のものが、既に極まっているからこそではあるのだが、何れにせよ、やはりラベンダー色はなるべく消失させず、ある程度色は濃いままでありながら、地肌の部分にコットンキャンディ調の色合いが乗るのものもまた、ハイポラベンダーとしての一つの完成形なのではないか――なんてことを、友人と話したりしたのでした。
 ということで、ハイポラベンダーには色々あって、色々あるのが面白さなので、好みで好きなものをチョイスすれば宜しいのではないかと思う今日この頃です(ぐだぐだなまま終わる)。

関連品種
ラベンダー/Lavender
ハイポ/Hypomelanistic
ハイポ・プラズマ/Hypo-Plasma (Hypo Lavender Bloodred)

Hypo Lavender female
baby 6 month yearing 2 year old
Hypo Lavender
Adult female
Hypo Lavender
Adult male Adult male Adult male Adult male

iconLavender+Hypomelanistic+Striped

Hypomelanistic Lavender Striped

 ハイポラベンダーのストライプ。クオリティは随分色々あるらしい。どうでも良いが、ハイポラベンダー全般に言える事として、オスのほうが透明感があって綺麗である。メスは赤がどうしても弱くなってしまうからで、これはもうどうしようもない。ただ、極々稀に、メスでも綺麗に橙色が発色することがあるのだが、そういう個体は大抵ブリーダーが手放さないのでありました(お後が宜しいようで?)。

Hypomelanistic Lavender Striped
(LastUpdate:(2009/01/29))