玉蜀黍畑の唄/CornSnakeSongs

iconアネリ・ラベンダー/Anery-Lavender

iconAnerythristic+Lavender


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 AnerythristicLavenderのコンビネーション。ぱっと想像するに意味があるのかと思えてしまう組み合わせではあるが、これが意外や意外、なかなかに綺麗な表現形になる(と、管理人は主張し続けているが、「いや、そうかな………」という意見が周囲では多い。何故だ)。様相としてはゴースト、或いはファントムのそれに近い。斑紋内部が均一に薄灰色になり、地肌は白となる。誰が呼んだかmoon stone/ムーンストーンなんて名前もあるらしいが、使っている人を殆ど見たことがない(管理人も殆ど忘れてました。月長石は好きな石ですがね)。

 Hypo-Lavenderは、Lavenderの持つ透明な黒色色素を、Hypomelanisticにより研ぎ澄ませるという方向で当初考えられた品種であったと思われる。だがしかし、現在では、Hypomelanisticの持つ特性から、選抜交配を進めることでコットン・キャンディ調の色調、つまり蛍光を帯びた橙色が得られたことから、Hypo-Lavenderの品種改良はよりラベンダー色を薄くすることではなく、橙色を得る方向性で進められているものが多い。
 勿論、そうではない、コットン・キャンディ調の発色を出さずに、本来のラベンダー色のみをHypomelanisticで薄めるというLavenderをそのままHypo化する方向での品種改良も無いとは云えないが、人気が出なかったこともあって一般的であるとは言い難い。此は、もともとそういう方向性で考えるならば、既にゴースト/Ghostが存在していたことも一因だったのではないかと思われるのだが、個人の趣向よりも全体の人気の平均値が品種の方向性を決める市場にあっては、単純にコットン・キャンディ調のものの方が、つまり淡泊な赤色が入るもののほうが人気だったので、それがスタンダードになっていたというだけなのだろう(実際、ゴースト系も、その後にあってはパステル・ゴーストやディルートなど、うっすらと赤や黄色が混ざるような品種に人気が出ているようである。これは、黒系品種はチャコールが存在するので、そちらで需要は満たされるという事なのだろうか……)。

 作出初期のゴースト/Ghostのような、つまり黄色や赤色をほぼ完全に欠損する方向性(Anerythristicの老成に伴い頸部に出る黄色などではなく、全身の模様における黄色の欠損)で、黒色色素に重点を置いた品種改良は、此迄に一般受けしなかったからだろう、段々減ってきている印象がある。シルバー・クイーン・ゴーストのように、根強い人気を持つ品種もあるので、消えたりはしないだろうが、ブリーダーに聞くと、「ゴーストは人気ないから、あまり品種改良する気にならない」というコメントは多いように感じる。
 実際のところ、ぱっと思い浮かべてみるに、LavenderAnerythristicCharcoalといった一つの遺伝子ではなく、複数の遺伝子の組み合わせで成り立っている品種にあって、白黒のみで追求されているものは片手で余るぐらいしかない。その中で人気があるもの、といったらPewterや、Hypo-Pewterぐらいだろう。

 このように、人気のない白黒系品種の中で、人気がない以前に、そもそも知名度自体が低いのがAnerythristic-Lavenderだろう。案外古くから作出されている筈なのに、人気がある、ない以前に、その名前が巷間に上ることすら少ないように感じる。それがつまりは、人気がない、ということなのかもしれないが。

 取り立てて確証はないが、Pewterや、Hypo-Pewterがそうであるように、おそらくこの品種は何世代かを経ても赤系の発色を呈さないタイプの品種である。Hypomelanisticを使用していないからか、それともAnerythristicが黄色や赤を多少残していても、Lavenderがそれを打ち消しているのか、原理は定かではないが、いずれにせよ”薄い”Lavender色のみのヘビとなっている。
 Hypo-Lavenderが、当初Lavenderの持つ透明な黒色色素を、Hypomelanisticにより研ぎ澄ませるという方向で考えられた品種であったならば、Anerythristic-LavenderもまたLavenderの持つ透明な黒色色素をAnerythristicで研磨していると考えることが出来るように思う。
  Black-Albinoとも呼ばれるAnerythristicは、見れば分かるように、単純にコーンから赤を抜いた蛇とは少々異なり、元来の黒よりも若干だが薄くなる傾向があるので、より全体的に薄い、Lavender独特の透明感のある質感が映える澄んだ印象のヘビになっている。

 Anerythristicと各Hypomelanisticのコンビネーションによって作られるのがゴースト系であるとするならば、本品種はゴースト系とは呼べないが、Lavenderの、「黒色色素を薄くする」性質を、Hypomelanisticのそれに見立て、Anerythristic-Aに作用させて作り出されたと考えれば、品種の目指す方向性は近いかもしれない。とはいえ、これを最初に作出した人間が、これを狙っていたかといえば、そんなことは管理人には分かりようもなく、単に管理人が、この品種がなんでこんなに綺麗になるんだろう!と、最初に知ったときに驚き、次いで、その表現形から理屈を逆算して、「そうか、こう考えれば、こんな風に綺麗になるのも納得かな」と前述のように考えた、というだけですが。

 ―――此処まで読んだ時点で何となく大半の人は気付いているような気がするが、この品種は人気が高い訳ではなく、むしろ、たぶん、おそらく、まちがいなく人気はあんまりない品種である気がする。ただ、管理人はこの品種がとても好きなので、依怙贔屓して沢山書いてみた。というか、このサイトにはそういう品種が殆どなので、むしろ、長文で美辞麗句が書き連ねられていたら、「これは人気のない品種なのではないか」、と訝しむのが正しいのではないかと。

 まぁ、そもそも知名度が低いようにも思う。組み合わせからすればそれなりに昔に作出可能なので、かなり古くから存在していたのではないかという気がするのだが、最初にいつ頃作出されたのかも定かではないし、現在であっても、あまり見かけない。不思議………。これを目当てで作出するかどうかは別にして、スノウ・ラベンダー(グレイシャー)を作ろうとすれば、確率的には此方が出てくる可能性の方が高い筈なのだし、それなりに作出されておかしくないと思うのだけれど。

 物凄くどうでもよい余談だが、管理人はこれを出そうとスノウ×ラベンダーの子供を育てて、その後三回このペアで繁殖を繰り返したがアネリ・ラベンダーが出ず、諦めて購入したという過去があったり。購入したその年には、グレイシャー×トリプルヘテロでブリーディングしたが、結局アネリ・ラベンダーは得られなかった。呪われてんのか。(まぁ、グレイシャーは出たけれど。あとスノウやオパールは出ているので、確率的に出ていない訳ではない。でも同じ確率でもスノウばっかり出るのはなんなのか………)

Anery Lavender
(LastUpdate:(2010/11/06))